特別企画

【特別企画】スバル「レヴォーグ」で日本一短い国道と夜景ドライブを楽しむ

港湾都市 神戸を巡る日帰りルート

 先頃JNCAPの予防安全性能アセスメントにおいて安全性の高いクルマ「ASV+」に輝いたスバル(富士重工業)の「レヴォーグ」。本企画ではそのレヴォーグによるドライブ企画をお届けする。

 今回のドライブの相棒となったのは、2.0リッター直噴ターボを搭載するレヴォーグ 2.0GT EyeSight。上位グレードの2.0GT-S EyeSightがビルシュタイン製ダンパーを搭載するのに対し、カヤバ製ダンパーを搭載する。方向性としては、2.0GT EyeSightがオールラウンド性、2.0GT-S EyeSightがスポーツ性を志向したものになる。最高出力221kW(300PS)、最大トルク400Nmという覚えやすいパワースペックはどちらも一緒だ。

 このドライブ企画はスバルのWebサイト「ドライブルートコレクション」(http://www.subaru.jp/levorg/sp/)と連動しており、ルートのテーマは“わが未知をゆこう。”となる。そこでCar Watchでは、1つ1つはよく知られている観光スポットながら、組み合わせることで違った景色が見えてくる、港湾都市 神戸を巡るルートを選定した。

 JR大阪駅を起点に、神戸方面へスムーズにでかけ、六甲アイランドやポートアイランドを巡るほか、ポートアイランドの向かいにある神戸税関前の日本一短い国道、国道174号も訪ねていく。ドライブの終わりは六甲のワインディングロードを抜けて、絶・夜景の東六甲展望台へ。車内から楽しめる夜景ポイントを紹介する。

旅の始まりはスマートに

グランフロント大阪の地下駐車場。巨大な地下空間に最新式の駐車設備が広がる。南棟に機械駐車する際は専属スタッフが機械駐車設備を操作してくれる

 1人でドライブする際には問題とならないが、複数人で出かける場合に問題となるのが待ち合わせ場所だ。そこで今回は待ち合わせにお勧めの場所として、JR大阪駅に向かいにある「グランフロント大阪」を紹介したい。

 グランフロント大阪であれば、地下に巨大な駐車場があり、雨の日でもJR大阪駅から濡れずに行くことが可能だ。さらにカフェやレストランも充実しているので待ち合わせに困ることはないだろう。

JR大阪駅。2011年にリニューアルオープンし最新の駅として生まれ変わっている
グランフロント大阪。JR大阪駅の向かいに建ち、2階は屋根付きデッキで直結されている

 グランフロント大阪で無事友人と会えたら、いよいよドライブへと出発。取材当日はあいにくの雨、そして助手席はレヴォーグ連載を執筆いただいている高橋学カメラマンという状況だが、あくまでもゲストを乗せているというシチュエーションで記事を進めていく。

グランフロント大阪を出て、いよいよ神戸へのドライブがスタート

 実はグランフロント大阪を待ち合わせ場所にしたのは、JR大阪駅に近いこともあるが、阪神高速 11号池田線 梅田入口が至近にあるのも大きなポイント。この入口からは阪神高速 環状線に出ることができるため、神戸だけでなくいずれの方面へも効率よく向かえる。出かけた直後に市街地の渋滞に巻き込まれなくてすむのだ。

阪神高速 梅田入口。グランフロントのすぐ近くにあり、どこへでかけるにも便利
梅田入口から阪神高速に入ったら、まずは環状線方面へ。独特の構造をしている阪神高速だがカーナビの表示に従えば迷うことはないだろう
普段関東近辺を走っているとこれほど自己主張の激しいレーダー取り締まり機はあまり見かける機会はない。これを見るたび、モグラ型ロボット「モゲラ」を思い出してしまう
首都高速は車線数まで頭に入っているが阪神高速はうろ覚え。正直カーナビだけが頼りのドライブ。知らない土地に行くとカーナビのありがたさが身にしみる
東船場JCT(ジャンクション)を天保山方面へ
天保山方面へ。神戸の案内も出てきた
西船場JCTを天保山方面へ
この中で、びしっと位置が頭に入っているのは、天保山、摩耶、芦屋の3つ。このような渋滞表示は、毎日走る人向けだと再確認
阪神高速は神戸までダブルネットワークを構築している。それを理解していないと、「神戸が2つあってどちらにいけばよいのだ?」なんてことに。運転に迷いは禁物なので、「迷ったらまっすぐ進む」と個人的には決めている。ま、この場合は天保山方面へ
やはりモゲラにしか見えない
いろいろな意味で難易度が高い案内板。天保山JCTの事前案内看板なのだが、関西空港がこの看板ではなくなっている
関西空港が復活し、ユニバーサルシティが緑のゾーンに入った天保山JCTの案内看板。カーナビがないと、都市高速の運転は不安だ。ここは迷わず神戸方面へ
いよいよ湾岸線へと入っていく。湾岸ドライブはどのような地域でも楽しいが、阪神高速の湾岸線は日本で1、2を争う美しさだと思う
湾岸線の楽しさは橋を堪能できることにある。その中でも斜張橋は格別で、視界を過ぎ去っていくケーブルがスピード感とシンクロする
中島PA(パーキングエリア)へと向かう

海の上のパーキングエリア、中島PA

中島PAに到着したレヴォーグ。カップルだと、海を見ながらロマンチックな会話となる場所だが、高橋カメラマンと一緒の自分は、「あれ撮りましょうか」「こっちからはどうでしょう」と事務的な会話に終始

 湾岸線に入ったら、必ず立ち寄りたいのが中島PA。中島PAは海の上に作られたパーキングエリアといってもよく、そこから眺望は抜群だ。訪れた日は小雨のため、イマイチ抜けのよくない景色だったが、それでもここが特別な場所だと分かるはずだ。中島PAの2階には展望施設もあり、大阪湾の眺めを楽しむことができる。

 中島PAを出て湾岸線をひた走れば、最初の目的地である六甲アイランドに到着する。

中島PAから大阪方面を望む。ザ・湾岸線という景色
中島PAの施設。船を意識したデザインに見える
中島PAから六甲アイランドへと向かう。平日のためトラックは多いものの、快適な3車線区間
湾岸線を追従クルーズコントロールで走ってみる。多機能なEyeSightだが、操作を覚えてしまえばそれほど迷うことはない
ひたすら西へと向かう。大した距離ではないけど
いよいよ六甲アイランドへ。雨も止んできた
多くの斜張橋を通過できるのが、このルートのポイント
最後はくるっとカーブして六甲アイランドの一般道へ

人工島巡りは六甲アイランドから

 神戸には埋め立てで作られたさまざまな島があるが、六甲アイランドはその1つ。ここには、文教地区や商業地区、住居やホテル、工場などがあり、埋め立て島の要素が多く詰まっている。最初の島であまり時間を取ると、最後まで回れなくなるので、ガソリンスタンドで給油するなどして次のポートアイランドを目指した。

六甲アイランドで給油。ガソリン価格は低下傾向のようだ
六甲アイランドでレヴォーグを撮影
一般道を使い、ポートアイランドへ。六甲ライナーと併走する六甲大橋も斜張橋
2階建て構造の神戸大橋を通って、ポートアイランドへ

 六甲アイランドから神戸大橋を通ってポートアイランドへ。このポートアイランドが完成したときに開かれた博覧会が「ポートピア'81」(正式名称:神戸ポートアイランド博覧会)で、「ゴダイゴ」の歌やゲームソフト「ポートピア連続殺人事件」で全国的に有名な場所だ。

 このポートアイランドに来たらぜひ立ち寄ってほしいのが、スーパーコンピュータ「京」が収まる独立行政法人 理化学研究所 計算科学研究機構(AICS)。平日であればロビーに展示されるさまざまな「京」の資料を閲覧できるが、外観を見るだけでもインパクトはあるだろう。Car Watchを読むには、なんらかのコンピュータを介していると思われるが、その1つの究極の形がスーパーコンピュータになるからだ。

独立行政法人 理化学研究所 計算科学研究機構。スーパーコンピュータ「京」は、奥の棟に収まっている
「京」の展示用筐体。この筐体はロビーに展示されており、平日であれば見ることが可能だ

「京」の計算力は10P(ペタ)FLOPSを超え、京速といわれるほど速い。そのため、津波被害解析などさまざまな科学技術計算が行われており、クルマ関連でも空力計算などに活用されている。タイヤではダンロップ(住友ゴム工業)の次世代タイヤ技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」において、「京」が利用されることが発表されており、2016年にはそれらの商品群が登場してくる予定だ。

「京」が収まる建物を見ていたらお腹がすいたので、ポートアイランドの対岸にある神戸空港へと向かう。ここで、海と飛行機を見ながらランチをすませる。「今度の旅行は飛行機でどこかへ行こうか?」など次の予定を決めやすい場所だが、筆者の前に座っているのは高橋カメラマンで「次の仕事の予定は……」みたいなロマンのない会話になっていた。

ポートアイランドから橋を渡って神戸空港へ
神戸空港には、飛行機を見ながら食事のできる場所がある
神戸空港とレヴォーグ

日本で一番短い国道です

国道174号。日本で一番短い国道です。全長187.1m

 ポートアイランドで「京」(の建物)や飛行機を堪能したら、今回のドライブの目的である日本一短い国道である国道174号へ。この国道174号は国道2号と神戸港の第3突堤を結ぶ道路で、看板によると全長はわずか187.1m。神戸税関のすぐ側を走っている。ちなみに神戸港の第4突堤と接続する人工島がポートアイランドになり、ポートアイランドから神戸側に渡って、左折すれば国道174号近辺に到着する。

 この記事を執筆するために国道を管理する国土交通省のサイトを確認してみたら、日本で二番目に短い国道、三番目に短い国道も港との接続道路になっており、国が港を重視していたことが分かるものとなっていた。

●日本で一番長い国道と、一番短い国道を教えてください(国交省)
http://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_10b_02.html

日本で一番短い国道とレヴォーグ
短いので3回くらい走って堪能した
日本で一番短い国道沿いに神戸税関はある
神戸税関の広報展示室は入庁手続きをすれば見学できる。折角なので立ち寄ってみた
神戸税関の中庭からパチリ

 国道174号を走り日本一短い国道を制覇したら、次はお隣のメリケンパークへ。メリケンパークには神戸のランドマークとなっている神戸ポートタワーがあり、ここではクルマを絡めて神戸ポートタワーを撮影できるのがポイント。「愛車で神戸へ行ってきました」みたいな写真を撮りたい人にお勧めだ。

 このメリケンパークからの眺めはよく、先ほど訪れた神戸大橋やポートアイランドがよく見えるほか、神戸や六甲の独特の風景も楽しめる。メリケンパークからは、商業施設の集まるハーバーランドへ、そして夜景ポイントとなる六甲へと向かう。

メリケンパークの駐車場から、レヴォーグと神戸ポートタワー
15時をまわり、空には青空が見えてきた
メリケンパークから三宮方面を見る
神戸大橋方面。右奥に見えるのがおそらくポートアイランド

六甲のワインディングロードを楽しむ

六甲のワインディングロードを東へと向かう

 メリケンパークやハーバーランドから六甲方面に向かうには、有馬街道と呼ばれる国道428号を使うのが一般的だろう。この国道428号を使って、六甲の山々へと急激に上っていく。とはいえ、300PS・400Nmの2.0リッターエンジンには、この坂道もちょっとした上り坂程度。アクセルを半分開ける必要もなく、まわりのペースにあわせられる。

 逆に言えば、このときまで2.0リッター直噴ターボエンジンの存在を意識することはなかった。このエンジンは低回転からのトルクも大きく、そして静か。1.6リッター直噴ターボと異なりアイドリングストップができないので、一定の静かなリズムを刻み続けている。エンジンの存在が薄いのは、それが心地よいリズムだったからだろう。

表情豊かな六甲の道路

「やっぱ2.0リッターターボいいよなぁ」と思いつつ国道428号の坂道を上ったら、「小部峠」の信号を右へ。ここから県道18号、西六甲ドライブウェイが始まる。この西六甲ドライブウェイを東へ進むと、六甲山記念碑台の近くの十字路でサンセットドライブウェイと名前が変わり、目的地である東六甲展望台のある芦有ドライブウェイへと続いている。

 この道は、狭めのワインディングロードとなっており、レヴォーグのボディーサイズなら快適な運転が楽しめる。GT-Sとは異なりカヤバ製サスを搭載するGTだが、日本の多くのワインディングロードにはGTグレードのほうが向いているように思われる。低速域のアクセルのON/OFFでしっかり姿勢を作ることができ、唐突な姿勢変化もない。

 同乗者とのドライブでは、いかに景色と会話を楽しみつつワインディングを抜けられるかが工夫のしどころ。速く走るのを目的とするのではなく、フラット感を優先して走るのを目的としたい。そのためには、会話をしつつ、景色を見つつ、でもステアリングとアクセル、ブレーキ操作は細心の注意を払って行う必要があり、これはこれで難易度の高い作業だ。景色を愛でつつ、“まったり”走るという意識で楽しんでもらえればと思う。

 レヴォーグ 2.0GT EyeSightであれば、余裕のトルクでありながら、アクセル操作にきちんとエンジンが反応し、コーナー直前ではアクセルの緩やかなOFFで前輪荷重を高められ、結果回頭性が向上する。コーナーの頂点を過ぎたところでじわっと加速すれば、フルタイム4WDでありながら脱出時の回頭性もしっかり高まる。峠道でのコーナリングでは、進入時、脱出時、次のコーナーへの接続と大きく分けて3つのプランニングが必要だが、レヴォーグはクルマがしっかりかつ適切な速度で反応するため、それらのプランがうまく行くことがほとんどだ。

 この1つの要因として挙げたいのはレヴォーグのボディー剛性の高さ。この基本ができているからこそ、すべての操作にクルマが迷いなく、そして遅れなく反応してくれるのだと思う。

 西日に照らされる晩秋の六甲山を見ながら、「あれ撮って」「これも撮って」とあまりロマンチックでない会話を楽しみつつ、高橋カメラマンと六甲を東へと向かった。

そろそろ日没時刻が近づいてきた

絶・夜景ポイント「東六甲展望台」

ドライブの最後のハイライトである東六甲展望台へ。芦有ドライブウェイで料金を支払中。通行止めの看板が気になるが、東六甲展望台は通行可能区間にある

 ドライブの最後に紹介するポイントは有料道路「芦有ドライブウェイ」内にある東六甲展望台になる。この東六甲展望台からは、大阪の市街地、大阪湾を望むことができ、大都市大阪の明かりと、六甲の闇との対比が印象的な場所となる。

 芦有ドライブウェイは、文字どおり芦屋と有馬を結ぶ道路だが、取材当日は六甲以北の宝殿~有馬間が通行止めとなっており、東六甲展望台に行くには、宝殿か芦屋から入る必要がある。

 普通自動車410円の料金を支払い、いざ芦有ドライブウェイへ。芦有ドライブウェイは街路灯が少なく、日の落ち気味の時間帯では真っ暗といってもよい状況だ。その暗がりをレヴォーグのライトでしっかり照らし、下り坂に注意しつつ南へ向かっていく。するといきなり眼前に街の明かりが開ける場所があり、そこが東六甲展望台になる。

なんとなく明るく見えるが、肉眼ではもっと暗く見えていた。レヴォーグのヘッドライトは明るく、運転をサポートしてくれた

 この東六甲展望台の夜景は圧巻で、180度の視界で大阪の風景が広がる。ときたま流れ星のような光跡を見つけることができるが、すぐに航空機の航跡だと分かる。これはほぼ正面に大阪国際空港(伊丹空港)を見ることができるためで、伊丹空港の運用時間内なら頻繁に離発着する航空機を見つけられることだろう。

 この場所をドライブの最後に選んだのは、数ある六甲の夜景ポイントの中で、容易にクルマの中から見ることが可能だからだ。気温が低く空気の安定する冬は夜景がとくにきれいに見える季節でもある。最大の難点は寒いことで、クルマのなかであればその寒さも気にならない。逆に、クルマでよかったと思える時間だろう。闇と眼前に広がる夜景、寒い車外と温かい車内のギャップを楽しんでいただきたい。なお、筆者と高橋カメラマンはレヴォーグをいくつかの角度から撮影するため、素直に夜景と寒さを楽しんで(?)いた。

 JR大阪駅からこの東六甲展望台まで神戸を楽しみつつドライブしてきて約85km。日本一短い国道を走ることで未知の道を制覇できるほか、フラットな光景の広がる神戸の六甲アイランド、ポートアイランドと、六甲のワインディングロードの対比を体感できる。さらに夜景をと欲張ってみたが、実際にドライブする際は自分なりにアレンジしてもらえればと思う。

 なお、今回のドライブの相棒となってくれたレヴォーグだが、パワフルな2.0リッターモデル以外に経済性に優れる1.6リッター直噴ターボモデルもあるほか、12月11日には特別仕様車「1.6GT EyeSight S-style」も発表されている(発売は2015年1月13日)。ハイウェイツーリングはもちろん、日本を最優先して開発したというボディーサイズは、六甲のワインディングロードでの取りまわしも容易だ。その辺りはちょっとした街中の試乗で体感できると思うので、レヴォーグのドライブ力を確認していただきたい。

東六甲展望台の夜景は圧巻、そして圧倒的に寒かった。空には航空機の航跡が見えるときもあり、夜空を素敵に演出してくれる

編集部:谷川 潔

http://car.watch.impress.co.jp/

Photo:高橋 学