トピック
ポルシェブランド70周年の締めくくり。新型「マカン」発表会の舞台裏に密着してみた
魅力的なプロダクトとともに好調な販売台数を支えるキーパーソンたち
- 提供:
- ポルシェ ジャパン株式会社
2018年12月28日 00:00
発表会が開催されるまでの舞台裏
ポルシェ ジャパンは、12月19日に新型「マカン」の報道陣向け発表会を開催した。通常ならば、この発表会の場でアナウンスされたことを記事化して、読者に向けて発信するのがわれわれ報道陣の役目になるが、本稿では発表会が出来上がるまでに、どのような目的を持って構想が立てられ、それに対してどのようなプロセスを積み重ね、そしてどんなスタッフが携わっているのか。2018年にブランド70周年を迎え、その締めくくりのイベントとして行なわれた新型マカン発表会の舞台裏を紹介していきたい。
まず、舞台裏の取材がスタートしたのは、発表会の1週間前に実施されたマーケティング部と広報部の打ち合わせから。ここにはポルシェ ジャパンの七五三木敏幸社長も同席し、活発な意見交換が行なわれていた。そこにあったのは社長に対する単なる報告ではなく、いかにチームとしてよい物を造り上げていくかという姿勢。つねに最良のチームワークで物事を進めていくポルシェ ジャパンの現状が早々に見受けられた。
新型マカンの発表会では、顧客向けのスニークプレビュー(特別内覧会)が併催されることもあり、マーケティング部が主導してイベントの内容が決められていた。今回のイベントが決定したのは約2か月前。この日程が決まってからは数回の全体ミーティングが行なわれた後、われわれ取材陣が同席した打ち合わせが実施された。イベント本番の1週間前ということもあり、全体の方向性から細かい演出まで、おおよその内容が決定していった。
ポルシェ ジャパンでマーケティングを統括する山崎香織執行役員 マーケティング部長は、「ポルシェ ジャパンでは、以前は報道陣向けの発表会とVIPやお客さまをお呼びしてクルマを見ていただくスニークプレビューを分けて行なってきましたが、お客さまにクルマをご覧いただくスニークプレビューを(第3世代の)新型カイエンの発表から同時に開催しようという運びになりました。スニークプレビューは、その後に全国の販売店をまわることも想定していて、どのようなコンテンツを盛り込むか、そしてお客さまに何を感じ取っていただきたいかを検討しています」と述べる。発表するモデルやターゲット層など、その時々に合わせた施策を検討する中で、今回は新型マカンの世界観をモチーフにした一夜限りのクラブイベント「THRILLING. driven by Porsche」がスニークプレビューの後に催されることになったのだ。
マカンは登場以来、2017年末までに31万台を超えるセールスを記録するという同社にとって重要なモデルで、国内でも年間販売台数の約3割を占めている。「ポルシェに初めて触れるのがマカン」というオーナーも少なくなく、ブランドとの接点として大事な役割を担っている。
このことについて七五三木敏幸社長は、「クルマを購入している年齢層が全体的に上がっていく中で、新型車の発表をある特定の層だけにアプローチするのは難しいと考えています。われわれとしては、現在のお客さまももちろん大切ですが、その次の世代にフォーカスしてアピールし続けることも大事だと思っています。次世代の顧客層は20年後や30年後にコアなお客さまになっていただけることが想定されるので、長期的な戦略を立てることが必要になります」と述べるように、新型マカンは新しいポルシェオーナーの発掘や次世代の顧客層への訴求という重責も担っている。実際に、ターゲットの一部にはデジタルネイティブなミレニアル層が挙げられているのだ。
先に触れたクラブイベント「THRILLING. driven by Porsche」の来場者も、このミレニアル層が中心となることが想定され、新型マカンやポルシェの世界観を知ることで、実際や今後の顧客へと育っていくことが予想されるわけだ。
ここで2018年に行なわれたポルシェ ジャパンのイベントなどを少し振り返ってみたい。ブランド70周年を迎えた2018年には、まず5月に新型カイエンの発表が行なわれ、6月16日~17日には富士スピードウェイで「ポルシェ エクスペリエンス デイ」が、翌18日には箱根ターンパイクを貸し切って「ポルシェ トリビュート ツアー」が開催された。そして7月16日には、東京 豊洲でグランピングイベント「ポルシェ グラマラス キャンプ」を実施するなど、矢継ぎ早に熟考を重ねたイベントが行なわれていった。
このことについて山崎執行役員は、「マーケティングでも実際の市場でも『モノ』消費から『コト』消費へ移行していると言われて久しいです。つまり、価値あるものにお金を支払いたいという傾向が強いということがさまざまな調査でも示されています。そういった中で、ポルシェという価値をしっかりと理解していただくことにビジネスチャンスがあると考えています」と消費者マインドの変化について話していて、ポルシェ ジャパンとしてもクルマを購入することによって得られる経験を重視した施策に切り替えていることがよく分かる。
全員の発想や力が合わさることで100%の内容になった
さて、新型マカンの発表会とスニークプレビューのイベントの様子を紹介しよう。会場となったのは天王洲アイルのB&C Hall(東京都品川区)で、前日の12月18日から会場の施工がスタートした。
施工開始時のイベントホールには、翌日から新型マカンの発表会が行なわれることが分かるものはもちろん何もない状態。そこからステージや照明、音響などすべての必要機材が朝から持ち込まれ、それぞれの専門チームが手慣れた様子で手際よくセットを組んでいく。お昼過ぎにはステージが完成し、今回の主役となる新型マカンが会場に運び込まれる。小道具などの設置も進み、あらかたの施工が終わると、照明や音響などのセッティングが進み、最後はテクニカルリハーサルで締められた。
そして発表会当日は、早朝より本番で登壇する七五三木社長や山崎執行役員、司会進行を務める黒岩広報部長を含めたランスルーリハーサルが行なわれた。細かい演出方法はこの段階でも改良が施され、どのような見せ方をすれば来場者に新型マカンの世界観をより理解してもらえるかという目的に向けて、最後まで最善策を検討して試している様子が見受けられた。
発表会を控えた山崎執行役員は、「どんなイベントでも同じですが、妥協はしたくありません。なので、直前でも気付いたことがあれば難しいと思ったことでも演出側に伝えます。すべて1人で対応するわけではなく、チームで作り上げるものなので、最後はチームワークで最適なものができると思っています」と、発表会の開始まで最終調整に余念がなかった。
一方で、発表会で70周年の活動を報告した七五三木社長は、「イベントに携わったスタッフ全員の発想や力が合わさることで100%の内容になったと思います。それを参加していただいた報道陣の皆さまにお伝えするのが私の役割なので、基本的に発表の内容も含めてスタッフにお任せしています」というように、チームの長としてスタッフに全幅の信頼を置いていることも伺えた。
発表会の内容や様子の詳細については別記事を参照していただきたいが、11時からスタートした発表会には100名以上の報道関係者が集まり、新型マカンの国内プレミアを見届けた。
ポルシェ、マイチェンした新型「マカン」発表会。デザイン、走行性能、安全装備が進化
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1159323.html
プレスカンファレンスを取り仕切った黒岩広報部長は、「プレスリリースは直前まで内容や順番などを試行錯誤しました。プレゼンテーションの内容とプレスリリースの書き方を合わせることによって、現場での資料としての見やすさも求めました。発表会では、お越しいただく報道陣の皆さまに新型マカンをより理解していただくことが優先されるので、その点では手応えのあるものになりました」とコメントしていた。
報道陣向けの発表会が終わると、会場はすぐさまスニークプレビュー用のステージに切り替えられ、照明や小道具を含めた演出も変更。14時から各組1時間のスニークプレビューが4回実施され、21時に最終回を終えるとまた素早く演出を切り替えてクラブイベントが22時~24時まで行なわれ、長い1日が幕を閉じた。
70周年の記念すべき年を新型マカンの発表会とスニークプレビューで締めくくることとなったポルシェ ジャパン。まだ正式な数字は発表されていないが、2018年の年間販売台数は初めて7000台を超えることが予想されている。魅力的なプロダクトがこのセールスの根幹となっていることに違いはないが、その裏には顧客に向けて適切な情報公開や施策、体験の場を用意している広報部やマーケティング部の努力があった。
今回のイベントを通して強く感じたのは、七五三木社長を含めて綿密なコミュニケーションが取れていて、各セクションが良好な関係を築き同じ目的に向けて歩んでいる姿勢だった。このような理想的なスタイルが保たれていけば、今後もポルシェのブランド価値や販売台数が向上していくことは言うまでもないだろう。