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10時間をどう楽しむ? 耐久レースならではの「SUZUKA 10H」の楽しみ方

2019年8月23日~25日 開催

夏休みの最後の週末に行なわれる「SUZUKA 10H」(写真は2018年の模様)

 夏休みの最後の週末に、鈴鹿サーキットで行なわれるGT3マシンによる10時間のレースが「2019 第48回サマーエンデュランス『BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース』」(略称:SUZUKA 10H)だ!!

 実に20年前にこの鈴鹿サーキットでF1世界チャンピオンを決めたミカ・ハッキネン選手の復帰参戦に加え、脇阪寿一選手の参戦、2018年でSUPER GTから引退した本山哲選手の参戦、さらに道上龍選手も加えての永遠のライバル対決など、もう2度と見られないかもしれない歴史的なレースになることは必至だ。前回はそんな魅力的な参戦選手や、世界のGT3マシンの最速決定戦であるSUZUKA 10Hの魅力について紹介したが、今回は10時間という長丁場のレースをたっぷり楽しむためのポイントを紹介したい。

耐久レースだからこその見どころとは?

 その名のとおり、決勝レースは実に10時間。10時スタートでゴールは20時となる。2017年までの鈴鹿1000kmが12時30分スタートで18時過ぎにはゴールだったので、実に4時間以上も長くレースを楽しめる計算だ。さらにこの時期の日の入りは18時30分ごろなので、最後の1時間半はナイトレースとなり、見る側にとっては量(長さ)だけでなく質(見どころ)も盛りだくさんのレースとなる。

 走行するマシンは、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)と呼ばれる性能調整が行なわれているので、どこかのマシンが圧倒的に有利ということはない。しかし、それぞれのマシンは駆動方式も違えばエンジン形式も異なるので、例えば直線が速いマシンがいれば、コーナーが速いマシン、ブレーキングで詰められるマシン、立ち上がりの速いマシンなど、車重や駆動方式、エンジン特性などによってマシンの個性が現われる。もちろんエンジンサウンドもメーカーの個性が現われるところなので、好みのエンジンサウンドを探してみるのも楽しいだろう。

マシンのバリエーションの多さもSUZUKA 10Hの魅力

 さらに路面温度の高い日中と、温度の下がる夜間では、結果的にマシンによる得手不得手にも変化が現われてくるので、天気や気温に注目しても楽しめる。特にナイトレースとなればドライバーの経験が勝敗を分けるシーンもあり、最後の最後までレースをとことん楽しめるハズだ。

夜は気温も路面温度も下がることで本調子が出てくるマシンも

SUZUKA 10Hならではの予選から楽しもう

 SUZUKA 10Hの予選は24日(土)に行なわれる。前回もお伝えしたとおり、SUZUKA 10Hは独特の予選方式をとっていて、Q1では、各チーム3名のドライバーが全員タイムアタックを行なう。つまり応援しているドライバー、気になっているドライバーの走り、タイムを全員チェックできるということだ。そのQ1は24日の13時からドライバー1タイムアタック、13時30分からドライバー2、14時からドライバー3と各15分間行なわれる。

 この3人のタイムアタックの合計を元に上位20台がQ2「Pole Shootout」を行なってポールポジションを競う。こちらは17時30分から20分間だ。

 Q2終了後には、17時55分からポールポジションを獲得したチーム・ドライバーによる「ポールシッターインタビュー」。続いて18時5分からハッキネン選手も参加する「ドライバーインタビュー」が続き、決勝レース前からその意気込みを聞くことができる。

 さらに18時40分から(一部優先チケットは18時30分から)は、パドックエリアで決勝に向けて準備を行なうピットを見学できる「ナイトオープンピット」が実施され、予選日からSUZUKA 10Hをたっぷり満喫できる内容となっている。

10時間もあるから場所を移動しながら観戦してみよう

 せっかく10時間もあるのだから、同じ場所でレースを見続けるのではなく、いろいろな場所に移動してみるのもいいだろう。SUZUKA 10Hの場合、ホームストレート前のV席やラウンジ、2コーナー外側のBエリア、日立オートモティブシステムズシケイン前のQエリアを除いて自由席なので、S字コーナーや逆バンク、130R、ヘアピン、スプーン、最終コーナーなど場所を移動しながら観戦を楽しむのもオススメだ。

 特にヘアピンやスプーンコーナーはGPスクエアから遠いので普段はなかなか足を運ばないかもしれないが、ヘアピンはかなり近くでマシンを見ることができるし、晴れていることが前提だが、日没前のスプーンコーナーは路面が夕日で照らされて、この場所でこの時間でしか見られない印象的な写真を撮ることもできる。実は鈴鹿を撮り慣れた人にとっては鈴鹿1000kmの頃から人気の撮影スポットでもあるのだ。

2009年の鈴鹿1000kmにてスプーンコーナーで撮影された写真。天気がよければ夕日の中を駆け抜けるマシンが見られる

 もっと言えば、なにもずっとレースを見続けている必要はない。鈴鹿サーキットはフードのバリエーションの多さも魅力で、各所にはさまざまなお店があるので、観戦場所を移動しつつ、食べ歩きなんていうのも楽しめるはずだ。他にもレーシングコース横の「GPスクエア」では音楽イベントや希少なヘリテージカーが展示されるコンクールデレガンスが開催される。レースの勝ち負けだけでなく、夏の最後の思い出作りとしても楽しめること請け合いだ。

写真は別のレースの時のものだが、GPスクエアはもちろん、そのほかの場所にもバリエーション豊かなフードブースが出展する

オススメの観戦席は?

 ただし、季節は真夏の10時間という長丁場。例えば晴天であれば日陰が欲しくなるし、雨や夕立であれば雨宿りできる場所が欲しくなる。サーキットでは観戦席での傘の利用は禁止なので、突然の雨に備えてカッパやポンチョなどを用意しておきたい。また、場所によってはテントやパラソルが設置可能な観戦席もあるが、いい場所は早めに抑えられてしまうので、できれば屋根付きの席を確保しておくのがオススメだ。

鈴鹿サーキットでパラソルやテントを設置可能な観戦席

 手軽に屋根付きのスペースを確保したいならV2指定席(特に上のほうの席)がオススメ。V2指定席は日曜日のみ有効で3300円(アウトレット席は1650円)となるが、V1エリアやB・Qエリアにも入ることができるので、雨が降ったらV2席、それ以外のときには他の観戦スポットを移動しつつ楽しむことができる。V2観戦席からの見え方などは、鈴鹿サーキットのWebサイトに詳しく紹介されているので確認してほしい。

ホームストレート前で屋根のあるV席。上段がV2席で屋根の下になるが、上のほうが雨には濡れにくい。その上のガラス張りの部屋はVIPスイートになる

 他の屋根付きの観戦席といえば、ピットビルの中にあるホスピタリティテラスやホスピタリティラウンジ、ファミリーラウンジ、VIPスイート・プレミアムといった観戦エリアもある。ホスピタリティラウンジやファミリーラウンジ、VIPスイート・プレミアムであれば、エアコンのついたラウンジ席で観戦できるので、真夏でも快適にレース観戦ができる。

 エアコンの効かないテラス席にはなってしまうが、今回のSUZUKA 10Hならではのオススメなチケットが10Hファンテラスだ。これは100枚限定のチケットで、なんと土曜日にはハッキネン選手のサイン会が行なわれる。記事掲載時点ではまだチケットが残っているとのことだが、ハッキネンファンにはかなり貴重なチケット。早めに入手しておいたほうがよいだろう。

 これらホスピタリティテラスやラウンジのパスには、屋根付き観戦席という以外にも魅力がある。それが、パドック入場やピットウォーク入場、激感エリアでの観戦も含まれるということ。ピットウォークでマシンに近づけるのはもちろんだが、2コーナーイン側・S字コーナーイン側・最終コーナーイン側に設けられた激感エリアというのも、レースを間近で楽しめる観戦ポイントだ。特に2コーナーイン側は迫力満点!! ただし、その分人気もあるので譲り合って観戦してほしい。

 ラウンジまでは手が届かないという人も、パドックパスがあればパドックエリアやピットウォーク、激感エリア、V1、B、Qエリアに入場可能だ。パドックエリアには冷房完備のSMSCレストエリアもあるので、レースの途中で涼をとったり雨宿りしたりもできる。また、パドックからは遠いスプーンカーブまでシャトルバスも運行。さらにパドックエリアからはトンネルを使ってD席(S字や逆バンク前)までダイレクトにアクセスできるなど、パドックエリアに入れるメリットは大きい。

激感エリアでも人気の2コーナーイン側。かなり近くでマシンを見ることができる
パドックエリアからはトンネルを抜けてD席へのアクセスも容易

家族や仲間とプライベート感覚で楽しむ新シート

 また、家族や仲間などグループで観戦するなら、新しくできた屋根付きのボックス型観戦席「R-BOX」を活用してみてはいかがだろう? 最大6名まで入れるR-BOX Mと最大8名まで入れるR-BOX Lの2サイズがある。専用のWi-Fiが用意され、スマホやタブレットを用意すればアプリを使ってレース中の順位やタイム差、走行している映像をリアルタイムで確認できる。他にも特典としてピットウォークやパドックウォークに入れるほか、土曜日には10Hスペシャルバックヤードツアーも予定される。

最大8名まで入れるR-BOX L(左)と最大6名まで入れるR-BOX M(右)

 同様にできたばかりのシートとして、GRAN VIEWシートもある。これはオリジナルピザなどを提供するカフェ「COURSE SIDE PIZZERIA-GRAN VIEW-」のテラスに設けられた専用席。目の前にはプールが広がり、優雅にレース観戦ができる。エアコンの効いたカフェ内からも観戦が可能なので、涼みながらレース観戦を楽しむこともできる。こちらもR-BOX同様にWi-Fiを使ってレースの映像配信サービスを受けられるほか、グリッドウォーク、ピットウォーク、10Hスペシャルバックヤードツアーが特典としてつく。

プールサイドに設けられたGRAN VIEWシートの1階席
カフェテリアの上には2階席もある

若者よ集え!! 免許歴3年以内のルーキードライバーはペアで無料に

 SUZUKA10Hでは、若い人たちにもっとレースを楽しんでもらうべく、さまざまな取り組みを行なっている。特に免許取り立てのルーキードライバーにうれしいのが、「ルーキードライバー招待」だ。

 これは免許歴3年未満、つまり2016年8月26日以降に、初めて自動車運転免許証(普通免許・準中型免許・中型免許のいずれか)を取得した人を対象に、SUZUKA 10Hの観戦券とV1・B・Q指定エリア券 2名分を無料にするというもの。本人が免許歴3年未満であれば、同伴の方が運転免許を持っていない、あるいは保有後3年以上経過していても問題ない。

 ルーキードライバー招待には事前申し込みが必要。鈴鹿サーキットのWebサイトにて8月16日24時までに事前申し込みの上、チケットはレース期間中(8月22日~25日)に鈴鹿サーキットで現地渡しされる。当日はクルマで来る必要はないが、ルーキードライバー本人とその免許証の提示が必要となる。

 さらに鈴鹿市周辺(鈴鹿市・津市・四日市市・亀山市・桑名市・菰野町)に住む中学生以下が10人以上集まれば、SUZUKA 10H観戦券が無料になる「10kids invitation」も実施される。ただし小学生以下を含む場合は保護者の同伴が必要で、保護者の観戦券は別途必要となる。

 こちらも事前申し込み(鈴鹿サーキットWebサイトにて8月16日24時まで)が必要で、チケットはレース期間中の現地渡しとなる。

レース以外でも楽しめる音楽イベントやヘリテージカーイベント

 ニュル24時間などはコースサイドでBBQをしながら楽しむというのが観戦スタイルで、レース観戦に白熱するだけでなく、お祭り感覚で楽しめるのも耐久レースの面白さだ。

 SUZUKA 10Hでも、各所でお祭り感覚でフードを楽しめるほか、併催イベントとして音楽イベントも開催される。しかも音楽だけでなく、スプラッシュウォーターも満喫できる夏ならではの野外イベントだ。

 観戦券があれば誰でも入れるGPスクエアで開催されるのは、その名も「Bubbly Groooovy Sound Shower」(8月24日、25日 10時~19時開催)。都内最大級のナイトクラブ"CLUB CAMELOT"のDJによる音楽に合わせて、1ステージごとに約7000リットルのスプラッシュウォーターと24万球の鮮やかなバブルを放出。日中はだれもが知っている平成を代表する音楽を、夕方からはバブル時代の名曲を流して、それぞれの時間で違った雰囲気を楽しめるという。

Bubbly Groooovy Sound Showerを開催
こちらは2018年の泡トラの様子。今年もスプラッシュウォーターでずぶ濡れ必至?

 また、希少なヘリテージカーを展示・審査する「SUZUKA 10H コンクールデレガンス」を開催(8月25日 8時30分~17時開催)。1980年以前の美しく良好なコンディションを保った希少なオープンカーを見ることができる貴重な機会だろう。

ヘリテージカーを展示する「SUZUKA 10H コンクールデレガンス」も開催

事前イベントでレースカーが公道を走る

 SUZUKA 10Hの盛り上がりは予選や決勝から始まるものではない。レース直前の8月22日には、プレ・イベントとしてハッキネン選手も登場する「鈴鹿モータースポーツフェスティバル」が開催される。鈴鹿市内にあるショッピングモール「イオンモール鈴鹿」の第2駐車場で10時30分~16時に開催され、入場は無料。

 会場では、SUZUKA 10H参戦マシンの展示や、ドライバーによるトークショー、サイン会が行なわれるほか、鈴鹿市に拠点を持つ2輪・4輪チームのレース車両を集めたマシン展示や乗車体験、各種車両のエンジンサウンドパフォーマンス、タイヤ交換デモンストレーションも開催される。

 さらに11時~12時には「SUZUKA10Hレーシングカーパレード」として、SUZUKA 10H参戦マシンによる公道パレードも実施。鈴鹿サーキットモータースポーツゲートからイオンモール鈴鹿を、公道「鈴鹿市道加佐登鼓ヶ浦線(通称サーキット道路)」を使ってパレードする。

レーシングカーが公道をパレード。写真はスパ-フランコルシャンでの公道パレードの様子

 夏休みも後半となる8月22日~25日は世界中のチームやドライバーが集まり、GT3最速を決めるSUZUKA 10Hを、耐久レースならではのお祭り感覚で楽しんでみてはいかがだろうか?