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スバル「フォレスター X-BREAK S:HEV EX」で雪の北海道を駆けめぐれ! 雪道での走り味や乗り心地はいかに?

「フォレスター X-BREAK S:HEV EX」でさまざまな雪道を走り倒した

2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したフォレスターのストロングハイブリッドモデルで冬の北海道・旭川を走る!

 2025年4月に待望の日本デビューを果たし、いまなお話題沸騰中の「フォレスター」で、冬の北海道を走り込んできた。目的はもちろん、その雪上走行性能をとことん確かめるため。試乗したのはこの6代目モデルから新たにストロングハイブリッドを搭載した「X-BREAK S:HEV EX」だ。

 ちなみにこのフォレスターは、アプライドA型(初期モデル)がまず北米で2023年に先行デビューを飾った。しかしそのパワーユニットは自然吸気の2.5リッター水平対向4気筒「FB25」ユニット(180PS/241Nm)であり、スバルはストロングハイブリッドの完成を待って、このアプライドB型で、満を持しての日本デビューを実現させたのであった。

フォレスターで冬の北海道を走ったのは、モータージャーナリストの山田弘樹。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに転向し、現在はA.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員であるとともに、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務めている。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦した経験を活かした執筆活動と同時に、レースレポートやイベント活動も積極的に行なっている
旅の相棒はフォレスター X-BREAK S:HEV EX。ボディサイズは4655×1830×1730mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm。スバル独自のシンメトリカルAWDに悪路の走りをサポートする「X-MODE」を搭載するとともに、最低地上高は220mmを確保し、アプローチアングルは20.3度、ランプブレークオーバーアングルは21.0度、ディパーチャーアングルは25.7度という参考値が公表されている
X-BREAKはグリルやDピラーのオーナメントにアクティブな印象の「エナジーグリーン」を採用
リアゲートの「FORESTER」の車名は、これまでのエンブレムから文字を彫り込んだオーナメントに刷新された
ダークメタリック塗装の18インチアルミホイールには、ブリヂストンのSUV専用スタッドレスタイヤ「DM-V3」(225/55R18)を装着
ステレオカメラと超広角単眼カメラを組み合わせたアイサイトを標準装備し、EXグレードは渋滞時ハンズオフアシストも可能な「アイサイトX」が搭載される
ストロングハイブリッドモデルのS:HEVは、最高出力118kW(160PS)/5600rpm、最大トルク209Nm(21.3kgfm)/4000-4400rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.5リッター直噴エンジンと、最大出力88kW(119.6PS)、最大トルク270Nm(27.5kgfm)を発生するモーターを組み合わせる
フォレスター X-BREAK S:HEV EXのインパネ。全体を水平基調でまとめている。中央の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムは全車標準装備
本革巻ステアリングホイールにはエクステリアと同じグリーンのステッチが用いられる。スポークの左側はオーディオやメーター内のインフォメーションディスプレイの操作スイッチを、右側にはアイサイトの全車速追従機能付きクルーズコントロールやアイサイトXのON/OFFスイッチを配置
ワインディングで活躍するパドルシフトは全車標準装備
シフトブーツにもグリーンのステッチを採用。フロアシフトでもマニュアルモードに変更すればシフトチェンジができる
プッシュスタートスイッチの横にはリアゲートの操作スイッチとともに「EV MODE」スイッチを配置

 今回訪れた12月初旬の北海道旭川は朝でも4℃と暖かく、市街地では道路脇に古い雪がわずかに残る程度だった。しかし幸運と言うべきか試乗当日は、夜からの冷え込みで道路にうっすらと雪が積もり始めるコンディションとなった。これならきっと、山間部を目指せば新雪に出会えそうだ。

 トランクに荷物を詰め込んで、転ばぬように忍び足で運転席へ。プッシュスタートスイッチで起動したあと、真っ先にステアリングスポークの下にあるステアリングヒータースイッチを引いて、インフォメーションディスプレイ下段のシートヒーターボタンにタッチすると、手のひらと背中がホワッと温かくなった。

 ところどころアスファルトが見える駐車場を出て、幹線道路へ。走り始めでなにより嬉しいのは、フォレスターの優しい乗り心地だ。モータージャーナリストを何年していても、雪上での走り出しには緊張感が伴うもの。しかしこのサスペンションストロークをたっぷり取って、ダンパーがしなやかに追従する乗り心地が、心を落ち着かせてくれるのだ。

まずはドライ路面からスタート

 パワーユニットがストロングハイブリッドであることも、特筆すべきポイントだ。S:HEVはアクセルの踏み始めからトルクの出方がスムーズで、唐突さがまるでない。つま先で微調整が効くから雪が敷かれた路面でも、速度の調整がとてもしやすい。

 そしてメーターのECOゾーンを中心に効率良く走っていると、気付けばモーターのみのEV走行になっていたりする。もちろんそこには、プロペラシャフトでつながれた後輪からの、ダイレクトな後押しも効いているはず。とはいえこうした余計なことを一切考えないで運転に集中できるのが、なにより素晴らしいことである。雪道ではまず緊張感を和らげ、視野を広げることが安全につながる。

シャーベットや凍結、ふわっふわの新雪などさまざまな表情の路面

 市街地から目指したのは、今夜の宿となる「ホテル大雪」。国道39号を通って上川町方面を目指し、途中寄り道をしながらさまざまな道を走ってみた。

 黒岳へと近づくにつれ、対向車のルーフに積もる雪の量が増えていく。国道は除雪が行き届いてはいたけれど、日向は残った雪が溶け出したシャーベット路面で、日陰はアイスバーンという、なかなかに極端なコンディションが混在した。

 こうした路面でも、走りの良さは揺らがない。SUVならではのシートポジションと、水平基調のインパネがもたらす、前方視界の広さ。大きな三角窓と、後方へオフセットされたサイドミラーや、ウエストラインが低いサイドウィンドウで得られる、死角の少ない側方の視界。

 道具としての使いやすさを追求した実直な作り込みは、何も目新しいことではなく、スバルの伝統だ。そしてこの実直さこそが、シャシーやパワートレーンの性能をドライバーへとつなげてくれる要となっている。

さまざまな路面を走行して感じたのは、性能の高さと死角の少ないウィンドウエリアの広さ

 高速道路でアイサイトを試してみると、ステアリングがビシッと座り、直進性の高さに拍車がかかった。個人的には普段の電動パワステも、このくらいかこれより少し軽いくらいで良いとも感じる頼もしさだ。操舵アシストも穏やかであり、雪で車線が判別しにくいときは、警告音を出すだけでアシストは行なわない。北海道の高速道路が基本的にはどこまでもまっすぐなこともあるが、アイサイトのおかげで街中での緊張感が柔らかくほぐれた。

シャーベット状の雪が残っていても、アスファルトが見える状況であればアイサイトは安定した挙動をみせた
さすがに道路を雪がおおってしまうとアイサイトには頼れない。フォレスターの素性の良さで走る

 黒岳に向かうワインディングロードでは、磨き上げられたフットワークの片鱗を垣間見ることができた。

 フォレスターは、足まわりがソフトなのに、雪道でも実によく曲がる。そこには縦置き水平対向4気筒と4WDの組み合わせがもたらすシンメトリカルバランスの良さだけでなく、内輪ブレーキのアシストや、4輪の緻密な駆動制御が効いている。

積雪とアイスバーンが混在する路面でも安定して走れる

 フォレスターが雪道でも積極的にクルマを曲げていくのは、アンダーステア極力避けるためだ。カーブで大きく前輪がスリップすれば、それ以上はハンドルでコントロールできなくなってしまうことを、開発陣は強く意識している。

 だから腕に覚えがあるドライバーだと、その曲がりたがりな制御をオーバーステアに感じてしまう場面もあるだろう。しかしこのときの挙動は実はまだニュートラルで、横滑りはしていない。仮にスナップすれば、瞬時にVDCが働く。そして4WDに慣れた雪国のドライバーは、ここからアクセルを踏んでいくことができる。

 そんな高度な走りもできてしまうフォレスターだが、基本的なキャラクターは穏やかだ。制御はちょっとイケイケだけれど、しなやかな足まわりと4輪駆動のトラクションが、そこにマイルドさを与えてくれている。

フォレスターの走破性が高いとはいえ、雪道での運転はあくまでも穏やかに

 ワインディングを登り切り、ホテルに近づくと、まだ誰も足を踏み入れていない新雪の道が現れた。ラスボスの登場に、「ちょっと深いかな」と尻込みする筆者。雪と生活を共にしない自分にとってそれは、ドキドキの瞬間だ。

 そこではたとX-MODEを思い立ち、「DEEP SNOW」を選んでみる。割と深めなその新雪をまたぐと、フォレスターの足下はズブズブと埋まった。それにおっかなびっくりしながらもアクセルをいつもより少し強めに踏み込むと、空転しながらもその勢いで緻密に雪を噛み込みながら、フォレスターはグイグイと進んだ。

深めな新雪でもフォレスターはものともしない

 その走り、クロカン4WDのごとし。不安をかき消す頼もしさは、相棒と呼ぶにふさわしかった。夏にオフロードを走らせたときも感じたが、フォレスターは厳しい状況にすこぶる強い。そのボディは岩場をものともせずにハイスピードで突き進み、新雪のなかにあってはタイヤがゴリゴリと大地をつかむ。

 ラダーフレームのクロカン4WDにも劣らない走破性を、モノコックボディの軽さで実現するからこそドライ路面でも快適で速い。あまりに優しいその乗り味に、ときに物足りなさを感じてしまうこともあったけれど、それはこうした厳しい環境を走り抜くために必要な柔軟さなのだとわかる。だからこそフォレスターは、アクティビティに向いているのだ。

厳しい路面にもタフに挑める

 ということで次回はロープウェイで黒岳に登り、スキーに挑戦しようと思う。さらに旭岳まで足を伸ばせば、クロスカントリーにも挑戦できるらしい。ここからがフォレスターの、真骨頂だ。

さまざまなバリエーションの路面を走りきって、たどり付いた先には“ご褒美”が待っている

※アイサイト、アイサイトXだけに頼った運転は絶対に行なわないでください。アイサイトは、運転者の判断を補助し、事故被害や運転負荷の軽減を目的としています。詳細は、販売店にお問い合わせください。

Photo:安田 剛