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三菱自動車、2016年度の業績見通しを発表。営業利益は前年度比82%減の250億円に
軽自動車について、7月上旬を目途に水島工場での生産再開、販売の再開を目指す
2016年6月22日 21:54
- 2016年6月22日 開催
三菱自動車工業は6月22日、2016年度(2016年4月~2017年3月)の業績見通しについての説明会を本社で開催した。
同社は4月27日に2015年度の決算報告を行ない、本来であればこの場で2016年度の業績見通しについて説明される予定だったが、燃費不正問題の影響から開示を見合わせていた。しかし、6月17日にすべての調査結果と再発防止策を国土交通省に報告し、全容が明らかになり、それに伴う損益影響が見通せる状況になったことから今回の説明会開催に至っている。
今回の説明会には、常務執行役員 経営企画本部長 黒井義博氏、常務執行役員 経理本部長 野田浩氏の2名が出席。
まず黒井氏からは今回の燃費不正問題に関わる内容が説明され、国内販売台数および部用品販売の減少、愛車無料点検の実施費用、国内販売対策費用として計上される550億円が営業利益に影響するとした。また、eKワゴンやデイズなど燃費試験で不正行為を行なった対象車両に乗るユーザーに対する支払金として500億円、さらに日産自動車および三菱自動車の販売会社やサプライヤーに対する支払い、水島製作所の一時帰休費用などとして1000億円を特別損失として計上する。
一方で、将来の成長戦略のための投資を強化するとし、黒井氏は「燃費不正問題による一過性の損失はあるが、将来に向けた成長戦略を積極的に進めていく方針に変わりはない。今回の燃費不正問題によって、例えば設備投資額や研究開発費などを大きく見直すことは考えていない」とコメント。2016年度は2015年度実績に対し16%増となる800億円の設備投資を行なうとともに、新小型SUVや次期アウトランダーの開発、先行研究の強化のため970億円(2015年度実績比で23%増)の研究開発費を計上するという。
また、すでに発表されている日産自動車との資本・業務提携については、「提携を通じて抜本的に商品力・技術力を強化していきたい。現時点では提携の精査を行なっている段階で詳細はお伝えできないが、日産自動車様とのアライアンス領域は購買、生産、開発、販売、金融と多岐にわたり、今後大きなシナジー効果を実現できると私どもは確信している」(黒井氏)とした。
2016年度の業績見通しについては野田氏から発表された。それによると、まず販売台数計画は前年度比8万6000台(8%)減となる96万2000台を計画。地域別に見ると、日本は軽自動車の販売・製造停止の影響などから同4万2000台(41%)減の6万台で、その内訳は登録車が2015年度実績の4万3000台から1万1000台減少の3万2000台、軽自動車が5万9000台から3万1000台減少の2万8000台となる。
また、米国で5月に販売を開始した「ミラージュ G4(アトラージュ)」の販売けん引を見込む北米では同3000台(2%)増の13万8000台、経済情勢が低迷するロシアでの販売減少を想定して欧州では同1万9000台(9%)減の18万7000台、中国やフィリピンでの販売増を見込むアジアでは同9000台(3%)増の33万1000台、中南米や中東での販売減が想定されるその他地域では同3万7000台(13%)減の24万6000台となっている。
この販売台数計画と燃費不正問題を踏まえ、売上高は前年度比3578億円(16%)減の1兆9100億円、営業利益は同1134億円(82%)減の250億円、経常利益は前年度比1090億円(77%)減の320億円、そして当期純利益は燃費不正問題の特別損失1500億円を折り込む1450億円の赤字を計画することが明かされた。
なお、同社は6月21日に燃費試験データの不正操作を行なった「eKワゴン/カスタム」「eKスペース/カスタム」において、正しい測定方法で算出した燃費データを国土交通省に提出。また、これらの軽自動車に乗るユーザーへの補償金として、1台あたり10万円を支払うことを発表していることなどから、7月上旬を目途として現在稼働を停止している水島工場での生産再開、販売の再開に向けた準備を進めていることが黒井氏から発表されている。
そのほか、説明会の後に行なわれた質疑応答の場で、改めて燃費不正問題における国内販売への影響について聞かれた黒井氏は、「深刻な影響があろうかと思う。直近の5月では対前年比で軽自動車は25%にとどまるが、登録車は91%。そういう意味では、厳しいお声から励ましのお言葉までいただいているが、今年度は6万台という台数になろうかということで業績見通しに折り込んでいる。時間がかかることだが、一歩一歩信頼を積み重ねて国内のお客様にご理解いただけるように努力していくことが一番大切だと思っている。商品力とか営業力の強化とか、こういうことをしっかりやって三菱ブランドを選んでいただけるように頑張っていきたい」とコメントした。