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トヨタWRC参戦車両「セリカ GT-Four」などが展示される特別企画展、6月24日よりメガウェブで開催

「トヨタWRC参戦の系譜~2017年新たな挑戦へ~」を9月4日まで

2016年6月24日~9月4日 開催(休館日:7月19日)

場所:メガウェブ ヒストリーガレージ 2階

入場料:無料

 トヨタ自動車が運営する自動車をテーマにしたテーマパーク「MEGA WEB(メガウェブ)」で、6月24日~9月4日の期間「“トヨタ WRC参戦の系譜~2017年新たな挑戦へ~”」と題した特別企画展が開催される。会場ではトヨタのラリー挑戦の歴史を振り返る展示物や実際にラリーを走ったマシンなどが展示される。

 場所はメガウェブ ヒストリーガレージの2階(東京都江東区青海1丁目)で、入場料などは無料。休館日の7月19日を除き毎日11時~21時の予定で開催される。

トヨタのWRC参戦車両「セリカ GT-Four」などが展示されている

 開催に先だって報道関係者にその内部が公開されたので、その様子を写真などで紹介していきたい。展示ではトヨタのWRCやそれに先立つラリー挑戦の歴史を紹介するパネル、実際にWRCなどのラリーに参戦した車両、さらにはトロフィーなども置かれており、ラリーファンには要注目のイベントとなっている。

懐かしの「セリカ GT-Four」や実戦投入されなかったグループS規定の「MR2」などが展示される

来年からのWRC参戦に備えてテストカーとして制作されたヤリス(日本名はヴィッツ)。ヤリス(テストカー)の展示に関しては6月24日~28日、7月6日~8月23日のみとなる

 トヨタは2017年よりWRC(世界ラリー選手権)へ復帰することをすでに明らかにしており、かつて4度のWRCチャンピオンに輝いた伝説のドライバーであるトミー・マキネン氏を中心にチーム体制を構築し、来年からの参戦に備えている段階になる。

 ラリーはサーキットで行なわれるレースとは異なり、公道などを閉鎖して作られる特設コースを順番に走ることでそのタイムを競う自動車レース。その最高峰がWRCとなり、トヨタは現在「ヤリス(日本ではヴィッツ)」をベース車両としてWRCのテスト車両を作っており、今回の展示でもその試作車のヤリスが展示されている。

 実はトヨタのラリー参戦の歴史は古く、1957年には第5回 豪州一周ラリーに、トヨタの「トヨペットクラウン RSD」が日本車として初参戦し、見事47位で完走している。今回の展示では、その時の車両のレプリカが会場の入り口近くに展示されている。

トヨペットクラウン RSDのレプリカ

 また、このほかにも1987年に導入される予定だったグループS規定向けに、「MR2」をベースにして開発された「222D」の型番がつけられたグループS仕様のMR2、WRCの中でもより一層過酷なラリーとして知られていたサファリラリーで勝った時の優勝車両などが展示されているほか、1993年に日本の自動車メーカーとして初めてWRCのマニファクチャラーズタイトルを獲得した時の車両となる「セリカ GT-Four(ST185)」など、前出のテストカーとなるヤリスを入れて合計で9台の車両が展示されている。

 また、そのトヨタのラリーやWRCの参戦の歴史を記録したパネル、トロフィーやポディウムでのシャンパンファイトに使われたボトルなども合わせて展示されている。さらにはモデラー団体WRC(We are Rally modelers Community)の協力による、WRCに参戦していた各種のラリーカーのモデルカーの展示(トヨタだけでなく、他メーカーも含む)が行なわれており、こちらもなかなか興味深い展示となっている。実車が展示されていないトヨタのラリーカーや、三菱自動車工業、スバル(富士重工業)、ランチア、アウディ、シトロエン、プジョーといったトヨタのライバルだった自動車メーカーのラリーカーをモデルカーで楽しむことができるので、こちらもじっくり観察してみるとそれだけでも十分楽しめるだろう。

入り口の看板
入り口にはラリーとは何かという根本的なことから解説されている。ラリーに詳しくない人でも分かりやすい展示が心掛けられている
内部の通路。左側にはトヨタのラリー参戦の歴史、右側にはモデラー団体WRC(We are Rally modelers Community)の協力によるモデルカーの展示が行なわれている
トヨタのラリー活動の概要を説明するパネル
トヨタのラリー活動を飾った懐かしい顔と車両
トヨタのラリー活動の年表
車両展示室、メインの部屋に6台が、そして隣の2つの部屋にMR2とヤリスが展示されている

セリカツインカムターボTA64/1985年

グループB用の車両としてセリカをベースに開発した車両。ビヨン・ワルデガルド氏のドライブで、1985年のサファリラリーに優勝した

MR2(222D)/1985年

トヨタ初のミッドシップカーとなるMR2をベースに作成されたグループS用の試作車222D。当時のグループBというほぼプロトタイプカー規定の車両が速くなりすぎたこともあり、FIAはグループSという新規定の導入を狙っていたのだが、グループBで重大事故が相次いだため、グループS導入も見送られて市販車ベースのグループA規定が1987年から導入されたことでお蔵入りになった車両

セリカ GT-Four(ST165)/1990年

トヨタがグループA規定のフルタイム4WDとして初めて導入した車両がこのセリカ GT-Four(ST165)。展示されているのはビヨン・ワルデガルド氏のドライブで、1990年のサファリラリーで優勝した車両。なお、同じ車両を利用して、現在トロロッソからF1に参戦しているカルロス・サインツJr選手の父親カルロス・サインツ氏が、トヨタ車/日本車に乗るドライバーとしては初めてWRCドライバータイトルを獲得したのもこのST165

セリカ GT-Four(ST185)/1993年

セリカ GT-Four(ST185)はトヨタのWRC参戦車両の中でも最も成功した1台だと言ってもいいだろう。1992年はカルロス・サインツ氏のドライバータイトルを、1993年はユハ・カンクネン氏のドライバータイトルとマニファクチャラーズタイトルを、1994年はディディエ・オリオール氏のドライバータイトルとマニファクチャラーズタイトルを獲得した。展示されているのは、ユハ・カンクネン氏がドライブして、オーストラリアラリーで優勝した車両

セリカ GT-Four(ST185)/1995年

このセリカ GT-Four(ST185)は、1995年にサファリラリーで日本人ドライバー藤本吉朗氏が優勝を飾った時の車両。当時のサファリラリーは、WRCの中でも特殊な一戦とされており、各チームともサファリ専用のスペシャル車両を投入するというラリーになっていたが、藤本氏の優勝でセリカGT-Fourは4年連続、通算8度目の優勝を飾った

セリカ GT-Four(ST205)/1995年)

ST205のセリカをベースにして開発されたラリーカー。1995年のコルシカラリー優勝車のレプリカ。ドライバーのディディエ・オリオール氏は、1994年にトヨタでWRCのドライバーチャンピオンを獲得

カローラ WR-Car/1997年

カローラ WR-Carはトヨタが新しいWRカーの規定に基づいて導入した欧州向けのカローラ ハッチバックをベースにした4WDラリーカー、通算4勝をマークし、1999年のマニファクチャラーズタイトルを獲得している

車両展示のほかに用意されている展示物の見どころを紹介

トロフィーなども展示されている
今やカルロス・サインツJrのお父さんと呼ばれる世代となった父カルロス・サインツ氏(トヨタ車をドライブして最初にWRCチャンピオンに輝いたのはサインツ氏だ)
車両は展示されていないが、モデルカーはちゃんと展示されている
モデルカーの展示はトヨタだけでなく、スバル、三菱自動車、ランチアなど他のメーカーの車両も含まれている
20世紀のトヨタのWRC活動を担っていたのは、現在TMG(先日あと3分までル・マンでトップを走っていたTS050-Hybridを製作しているのがトヨタのドイツ子会社となるTMG)の前身となるTTE(Toyota Team Europe)だ。そのTTEを設立したのが、今は亡きオベ・アンダーソン氏。そのアンダーソン氏の車両も、モデルカーで展示されている
モデルカーの展示に協力したのはモデルカークラブのWRC(We are Rally modelers Community)。その活動も紹介されている