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AJAJ、免許を持たない若者に運転する楽しさ、安全運転の大切さを知ってもらうための新プログラム「U-18運転予備校」開校
モータースポーツジャパン2017内で開催
2017年4月17日 20:19
- 2017年4月15日~16日 開催
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)は、4月15日~16日に東京 お台場で開催されたイベント「モータースポーツジャパン2017フェスティバル イン お台場」で毎年行なっている「みんなの楽ラク運転講習会」において、新しいプログラム「U-18運転予備校」を行なった。
この「U-18運転予備校」は、4輪自動車の運転免許を持たない18歳以下の男女を対象としており、身長150cm以上で保護者同伴が必須の特別カリキュラムとして会場内の特設コースで実際に運転するというもの。4月15日、16日ともに定員は12名。定員の2倍以上の応募者の中から抽選で選ばれ会場に集まった参加者は、まず特設テント内での座学講習から受講。講師はAJAJの会長を務めるモータージャーナリストの菰田潔氏が担当し、自動車のドアの開閉方法や乗り込み方など初歩の初歩から始まった。
ベテランドライバーならもはや意識することもないようなドアの開閉だが、そこに潜んだ危険性などを解説しながら講習は続く。菰田氏はフォームが大切なスポーツの例を引き合いに出しながらドライビングポジションの重要性を説き、装着方法によりその効果が変わってしまうシートベルトの正しい使い方などをレクチャー。そのほかステアリング操作やアクセル、ブレーキペダル(今回の講習はAT車に限定されていたため2ペダルの解説のみ)の操作方法など、その目的と効果を体系的に説明しながらたっぷり1時間行ない、休憩を挟んでいよいよ実技講習だ。
会場を特設コースに移し、実技講習を行なった。用意されたクルマはトヨタ自動車「86」とマツダ「ロードスター」各2台の計4台。事前に受けた座学講習をなぞるように乗り込み、講師であるAJAJ会員のレクチャーを受けながら「アリさんブレーキ」と名付けられた運転を練習する。アリが歩くような超低速の走行をブレーキを上手に使い、微調整しながら行なうのだ。ちなみに、多くのAT車はブレーキを離すだけでクリープ現象により前進するが、その速度はアリどころか人間の歩行速度より速い速度に達してしまうため、この微調整は安全性においてもスムーズな運転においても重要な技術だという。
その後、Pレンジでもう少しアクセルを踏み込む体験をし、同じくPレンジのままステアリング操作の練習を行なった後、会場に用意された周回路での走行を体験。講習前半では微速域でブレーキの踏み具合に慣れず、いわゆる“カックンブレーキ”で少しばかり挙動が乱れるシーンも散見されたが、若さゆえかクルマに対する慣れは早いようで、数人の受講者に聞いたところ一堂に「クルマを動かすこと自体は案外簡単だったし楽しかった」と答えたのは印象的であった。
短いコースではあったが、初めての運転を経験した後はふたたび特設テントに戻って講義。運転自体ができても、無免許ではなぜ運転してはいけないのか? など、一般公道におけるドライバーの責任を説明し講義は終了。受講者全員に修了証が手渡された。ちなみに1人ひとりが語った感想の中には、86よりロードスターの印象がよかったなど、早くも自動車評論が飛び出したのも楽しいひと時であった。
一緒に受講した同伴の保護者からは、親が思った以上に自分の子供がきちんと運転できたとの印象を持ったとか、(普段運転している)妻よりブレーキングは上手いのではないかといった感想のほか、使い方によっては危険な道具にもなりうる自動車を若いうちに体験できたことがありがたいとの意見が挙がった。
今回の運転経験を通じてドライバーの立場を知ることによって、歩行者や自転車の立場での振る舞いが変わることによる安全性の向上は、自動車に関わるジャーナリスト全員の願いであろう。実際、AJAJも今回の新しいカリキュラムの目的を「交通安全」としている。また、会場では安全の大切さとともに、運転する楽しさを知ることによってクルマを好きになってほしいと菰田氏は語った。
今回の講習を受講した未来のドライバーが得た知識・技術は、実は現役のドライバー全員が必ずしも会得しているとは言い難いものもある。参加者の最年少は、この春入学したばかりの中学生という今回の受講生らの目に、現役ドライバーの振る舞いはどう映るだろう。そんなことも考えさせられる講習だった。
免許を取得していない若者に運転体験してもらうという今回の新しい試み。開催に難色を示す機関があった一方で、自動車メーカーに協力を仰ぐなどAJAJでは周到な準備をしてきたという。たった2日間、24人の講習であったが、この歩み始めた取り組みは自動車社会において大切な一歩だと感じた。