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ランボルギーニ、ニュル北コース最速マシン「ウラカン・ペルフォルマンテ」を日本初公開

空力性能、軽量化技術などについて来日したアドバンスト・コンポジット部門 チーフがプレゼン

2017年6月8日 開催

3163万8800円(税別)

ウラカンのハイスペックバージョン「ウラカン・ペルフォルマンテ」のジャパンプレミアを渋谷ヒカリエで開催

 ランボルギーニ ジャパンは6月8日、「ウラカン」のハイスペックバージョン「ウラカン・ペルフォルマンテ」のジャパンプレミアを渋谷ヒカリエ(東京京都渋谷区渋谷)で行なった。ウラカン・ペルフォルマンテの価格は3163万8800円(税別)で、納車時期は今夏以降としている。

 3月のジュネーブショーで公開されたウラカン・ペルフォルマンテは、ウラカン クーペ(4WD)からエンジンの出力向上を図るとともに、ランボルギーニの特許素材であるレジンの母材に短繊維を埋め込んだ「フォージド・コンポジット」を採用して軽量化を実施。さらに独自の空力システムであるエアロ・ベクタリング機能付アクティブエアロダイナミクスを採用するなど、ベースのウラカンから多岐にわたる改良が行なわれた。その結果、ニュルブルクリンク ノルトシュライフェ(北コース)で量産車として世界最速となる6分52秒01のラップタイムを記録している。

ウラカン・ペルフォルマンテのボディサイズは4506×1924×1165mm(全長×全幅×全高。全幅はサイドミラー部含まず)、ホイールベースは2620mm。乾燥重量は1382kg
エクステリアの随所にランボルギーニの特許素材「フォージド・コンポジット」を採用するとともに、専用開発したアクティブ・エアロダイナミクス・システム「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」を採用。足下は専用設計のブロンズカラーの20インチホイールと専用開発されたピレリ「P ZERO CORSA」の組み合わせ
インテリアではエアベント、パドル、ドアハンドル、センターコンソールにフォージド・コンポジットを採用。ALAの作動状況を確認できるディスプレイをダッシュボードに用意する
ニュルブルクリンク ノルトシュライフェで6分52秒01を記録した「ウラカン・ペルフォルマンテ」のタイムアタック動画(7分13秒)
会場にはウラカンシリーズが並べられた

 発表会にはアウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区 代表のアンドレア・バルディ氏、アウトモビリ・ランボルギーニ 日本&韓国 カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏とともに、アウトモビリ・ランボルギーニ アドバンスト・コンポジット部門 チーフのルチアーノ・デ・オト氏から車両全体の概要が紹介された。

 はじめに登壇したアンドレア・バルディ氏は、2016年の販売台数が過去最高の3457台を記録して好調であることを報告するとともに、「ランボルギーニ第3のモデルであるSUV『ウルス』が今年末に発表されます。ランボルギーニは常にインスパイアを与えるようなクルマ、時代を超えるデザイン、そしてエモーションの詰まったクルマを出し続ける所存です」と挨拶。

 また、フランチェスコ・クレシ氏は、2014年に発表されたウラカンは現在、4WDモデルと後輪駆動である2WDモデルのクーペ/スパイダーという計4モデルを展開していることについて触れるとともに、「今日発表するのはウラカンシリーズのトップモデル。このモデルは最高のパフォーマンスを達成しており、これが私たちの最高峰のテクノロジーと言っていいと思います」と述べるとともに、「ペルフォルマンテは『パフォーマンス』を意味し、360度全方向からアプローチを変え、パフォーマンスを向上しました。重量、馬力などは大切な数値ですが、ランボルギーニでは最高のパフォーマンスを引き出すために、そしてエキサイティングなドライビングを提供するにはシャシーやパワートレーン、ギヤボックスなどすべてを完璧な状態に持っていきたいと思ったのです」と、ウラカン・ペルフォルマンテについてコメント。

アウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区 代表のアンドレア・バルディ氏
アウトモビリ・ランボルギーニ 日本&韓国 カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏
アウトモビリ・ランボルギーニ アドバンスト・コンポジット部門 チーフのルチアーノ・デ・オト氏

 そしてクレシ氏からバトンタッチしてウラカン・ペルフォルマンテの紹介を行なったルチアーノ・デ・オト氏は、「もっとも重要な技術は軽量化でした。ウラカン・ペルフォルマンテではランボルギーニが特許を取得している『フォージド・コンポジット』という素材を採用。また、エンジンやシャシーの変更を行なうとともに、エアロダイナミクスも向上しました」と述べる。

 フォージド・コンポジットはフロント&リアスポイラー、エンジンボンネット、リアバンパー、ディフューザーなどに使用され、総重量をウラカン クーペ(4WD)から40kg削減することに成功しており、「このクルマではじめてフォージド・コンポジットを外部のボディパネルにも採用しました。フォージド・コンポジットはレジンの母材に炭素繊維を埋め込んで作成したもので、そのおかげで複雑な幾何学形状を実現します」と、デ・オト氏は説明する。

 パワートレーンについては、ウラカン・ペルフォルマンテではウラカン クーペ同様にV型10気筒5.2リッター自然吸気エンジンを搭載するが、ウラカン クーペが最高出力449kW(610HP)/8250rpm、最大トルク560Nm/6500rpmなのに対し、ウラカン・ペルフォルマンテではエアインテークシステムの最適化、チタン製バルブの採用、エグゾーストシステムの改良などによって470kW(640HP)/8000rpm、600Nm/6500rpmまで引き上げられた。合わせて7速デュアルクラッチトランスミッション「ランボルギーニ・ドッピア・フリッツィオーネ(LDF)」も最適化が行なわれたという。

 また、シャシーにも手が加えられ、サスペンションシステムではスプリングとバーを改良し、ウラカン クーペに比べて垂直剛性は10%、ロール剛性は15%向上。また、電動パワーステアリングを標準装備するとともに、4輪駆動システムやESCなどの再セッティングなども行なわれている。

各所に軽量素材であるフォージド・コンポジットを採用し、全体でウラカン クーペと比べ40kgのダイエットに成功
エンジン性能について
シャシーについて
4輪駆動システムやESCなどの再セッティングなども行なわれた

 そしてウラカン・ペルフォルマンテで大きなトピックとなる空力性能について。今回、ウラカン・ペルフォルマンテ専用に開発された、イタリア語で「翼」を意味する「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」を採用した。これはフロントスポイラー、リアボンネットのエアダクト、リアウイングなどに電動モーターで動くアクティブフラップを付け、フラップの開閉で走行状況に応じて最適なダウンフォースを得ることができるというもの。

 例えばフロントスポイラーでは、高速走行(70km/h以上)をしている際のコーナリングやフルブレーキング時にフロントスポイラー内のアクティブフラップを閉じて必要な高ダウンフォースを発生させる。加速させたいときにはフロントのフラップが開き、フロントスポイラーの風圧を削減するとともに車体底部へと空気の流れを導く。

 また、リアまわりではボンネットフード内のエアダクトに2つのフラップを備え、リアフラップが閉じることでリアウイング本来の性能を発揮し、高速コーナリング時やフルブレーキ時の安定性を高める。逆に加速させたいときにはリアフラップが開き、空気がウイング下を通るように導かれることで加速力を向上させるというギミックを持っている。さらにリアウイングのインナーチャンネルは左右で分かれ、高速でのコーナリングに最適なエアロ・ベクタリングを行なえるとしており、デ・オト氏は「例えば右のコーナーを曲がるときには左側のフラップが開き、左側のダウンフォースを軽減させることでよりコーナーを効率的にまわることができます。これを我々はアクティブ・エアロ・ベクタリングと呼んでいます」「フラップが動くだけでリアウイング自体はまったく動きません。そのためシステム自体を軽量にできるのです」と説明している。

ボンネットフード内のエアダクトに2つのフラップが備わる
ウイング下には切り欠きが入れられる

 なお、ALAはボディの動きをリアルタイムで電子制御する「ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ(LPI)」と連動して作動する。ALAの開発には3年の歳月を費やしており、今後アヴェンタドールへの導入も検討しているとのこと。

エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)について

 最後にウラカン・ペルフォルマンテのスペックが紹介され、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は8.9秒、最高速は325km/h、最高出力は640PS、最大トルクは600Nmであることが述べられるとともに、「もっとも重要なのはニュルブルクリンク ノルトシュライフェで6分52秒01を記録したことです。これは私たちが3年間ランボルギーニで努力を重ねてきた賜物なのです」と述べてプレゼンテーションを締めくくった。

ウラカン・ペルフォルマンテのスペック
ウラカン・ペルフォルマンテが6分52秒01を記録するまではポルシェ「918 スパイダー」が最速マシンだった