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トヨタ、“カローラ生誕50年”を記念する「カローラ花冠パレード」がゴールのトヨタ自動車東日本 宮城大衡工場に到着
全国のトヨタカローラ店74社をリレー方式で巡ったパレードのフィナーレ
2017年8月21日 00:00
- 2017年8月7日 開催
8月7日、トヨタ自動車東日本 宮城大衡工場(宮城県大衡村)にて「カローラ花冠パレード」のゴール式が行なわれた。
このパレードはトヨタ自動車および全国のトヨタカローラ店がカローラ生誕50年を記念して催した「笑顔の花冠プロジェクト」の一環として行なわれたもので、3月6日に初代「カローラ」を生産したトヨタ自動車 高岡工場(愛知県豊田市)を出発したバトン代わりの4つの花冠(=カローラ)が4つのルートに分かれ、全国のトヨタカローラ店74社をリレー方式で巡るものだ。全国を巡った花冠は8月7日の「花の日」に、現在のカローラ生産工場であるトヨタ自動車東日本 宮城大衡工場に届けられ、同社の従業員や関係者の見守るなかで5カ月間に渡るパレードがフィナーレを迎えた。
なお、50年という節目の年に“全国の販売店が一体となってお客さまへの感謝の気持ちを届けたい”という想いから始まったというこのプロジェクトでは、このパレード以外にも5カ月のあいだ全国のトヨタカローラ店で花にちなんだ店舗イベントやオーナーミーティングが行なわれた。
4つのルートに分かれて全国のトヨタカローラ店を巡ってきた花冠が再び集結してゴールを迎える「カローラ花冠パレード」ゴール式では、全国各地のトヨタカローラ店の代表者をはじめ、トヨタ自動車でこれまでカローラの開発に携わってきた関係者も集まり、花冠の到着に先立ちトークショーや世界各国のカローラ生産工場からのビデオレターの紹介などが行なわれた。
トークショーでは、2~3代目カローラの車両主査で現在トヨタ自動車の顧問を務める佐々木紫郎氏をはじめ、トヨタ自動車 相談役 豊田中央研究所 会長 加藤光久氏、トヨタ自動車 専務役員 佐藤康彦氏、そして販売店からはトヨタカローラ新大阪 代表取締役社長 トヨタ自動車販売店協会 カローラ店部会 部会長 久保行央氏の4名が登壇。各自のカローラの思い出やこれからのカローラについて語った。
佐々木紫郎氏は、カローラの前身とも言える「パブリカ」は優れた走行性能を持っていたものの、ヒーターの効きのわるさなどで北海道のお客さまや販売店に迷惑をかけたという当時の状況に触れ、真の大衆車を目指すべく、パブリカの発売翌年には次期モデルがすでに検討されていたと語った。それがカローラだったと50年以上前の誕生秘話を明かした。
また、当時トヨタ自動車販売の社長であった神谷正太郎氏が「大衆車とは一番売れるクルマのことだ」と明快に大衆車を定義したことに触れ、カローラが50年先にどのような形になっても「世界の大衆車であり続けてほしい」と未来のカローラへの希望を語った。
エンジン開発の現場で奮闘した加藤光久氏は、すでにベストセラーカーとしての道をまっしぐらに歩んでいたカローラが昭和50年代初頭の排ガス規制に直面したとき、その膨大な台数ゆえに非常に苦労したと当時を振り返った。その後、自身が希望して配属された製品企画室では4~9代目カローラを担当。エンジン開発時代から延べ20年以上カローラに関わり続けた加藤氏は、カローラのために命を捧げ、一方でカローラによって育てられたとも感じると自身の歩んできた道を振り返った。世界中をまわってみると世界のあちこちで走っているカローラが、「ランドクルーザー」とともにトヨタの代名詞となっていると実感するとともに、絶やしてはいけないクルマだと思っていると語った。
若い時代に国内営業部門でカローラの販売担当をした経験のある佐藤康彦氏が「一番の思い出」と披露したのが、カローラの歴史のなかで最後のFR車となった「カローラ レビン」について。当時の需要が500~600台/月程度だった時代に、全国のトヨタカローラ店に「最後のFRは半年間でどれだけ売れますか?」と問い合わせたところ、集まったオーダーが計3000台/月で、半年で2万台欲しいと言われてしまい、その生産に大変苦労したと語った。
また、バルセロナオリンピックにちなんだカラーとして設定したものの、あまり売れなかったというオレンジ色の「カローラ FX」が、今はアフリカのコートジボワールでタクシーとして走っているとの情報を最近知り、集まった販売店の代表者たちに「先輩方に売っていただいた25年前のカローラ FXが、今なおコートジボワールでたくさん走っていることをみなさんにご報告します」と語り、会場の笑いを誘っていた。なお、オレンジマイカメタリックのボディカラーが設定されたカローラ FXは、たった1年で廃止されてしまったとのことだ。
販売店から登壇したトヨタカローラ新大阪 代表取締役社長の久保行央氏は、初代カローラ発売当時に同社の社長であった父親から「このクルマは絶対売れると確信を持って仕事をしていた」と聞いていたそうだ。「カローラが飛ぶ鳥を落とす勢いで売れたことに感謝しつつも、50年間の感謝の意をなかなかお客様に伝える機会のなかったが、今回のプロジェクトでそれぞれのディーラーがそれぞれのアイデアを出しながらお客様に感謝の意を伝えることができた」と述べるとともに、ちょうどゴール式の当日に開催中であった仙台七夕まつりに触れ、短冊に「車名No.1」と書きたいと述べ、カローラが再び車名別販売台数No.1の座に返り咲く期待と決意をのぞかせた。
代表者4名によるトークショーのあと、最新のカローラ アクシオと初代カローラの2台が会場に到着。トヨタカローラ宮城、トヨタカローラ函館、トヨタカローラ福島、トヨタカローラ岐阜の各代表者から、トヨタ自動車東日本 取締役社長 白根武史氏、トヨタ自動車 常務役員 山本卓氏、トヨタ自動車 常務理事 朝倉正司氏、トヨタ自動車 専務役員 佐藤康彦氏に、カローラ生誕の地であるトヨタ自動車 高岡工場から出発した4つの花冠(カローラ)が手渡され、5カ月に渡って全国を巡ってきたカローラ花冠パレードが完結した。
ゴール式ではこの式典に集まった関係者全員の記念写真を撮り、全てのプロジェクトが終了した。
宮城大衡工場は東北の復興と発展を念頭に置いた一大拠点
「カローラ花冠パレード」ゴール式当日は、会場となったトヨタ自動車東日本 宮城大衡工場を見学する機会も得た。
トヨタ自動車東日本は、2012年7月にセントラル自動車、関東自動車工業、トヨタ自動車東北が統合されて生まれた新しい会社で、宮城大衡工場では現在、カローラ アクシオのほかに「カローラ フィールダー」「シエンタ」を生産している。
自家発電の排熱を有効利用する野菜工場や、技能実習に重点を置いた人材育成を行なうトヨタ東日本学園など、自動車生産以外の施設も数多く見られた。また、東北に根ざした仕入先サプライチェーンの拡大を目指す「東北現調化センター」を設立するなど地域連携にも力を入れているそうで、自動車生産はもちろん、人材育成、自動車関連以外の地元にあるさまざまな企業との相互研鑽活動など、東北の復興と発展を念頭に置いたさまざまな取り組みを行なう一大拠点として機能している様子が工場見学でうかがえた。