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【特別企画】“Wで止まる”スタッドレス「BLIZZAK(ブリザック)」をミニバンで試す(後編)
「REVO GZ」は、“ブリザックでいちばん止まる”スタッドレスタイヤであった
(2012/12/21 00:00)
ブリザック REVO GZは夏タイヤではありませんでした(笑)
ミニバン用エコタイヤ「ECOPIA PRV(エコピア ピーアールブイ)」からスタッドレスタイヤ「BLIZZAK REVO GZ(ブリザック レボ ジーゼット)」に履き替えた愛車「ヴェルファイア」。乗りやすさと低燃費が自慢の夏タイヤから冬用スタッドレスタイヤに履き替えたと言うのに、ドライでもウェットでも抜群の安定感で走行でき、おまけに純正装着夏タイヤよりも燃費までよかったというビックリ事実は前編で詳しく紹介したとおり。
タイヤを触ると以前履いていたブリザック REVO 1よりもコンパウンドが硬く感じられたこともあり、「スタッドレスはグニャグニャで減りやすいほど雪道で効く」と長年信じ込んでいる筆者としてはドライ性能が素晴らしすぎるが故に本当に雪道で大丈夫なのか……という不安2割、期待8割を胸に秘めつつ信州は乗鞍高原までドライブしてきた。まずは挨拶代わりに、往路355kmを1分に圧縮したビデオをご覧あれ。
●【特別企画】ミニバン用エコタイヤ「ECOPIA PRV」で京都にGO
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120726_548873.html
●【特別企画】“Wで止まる”スタッドレス「BLIZZAK(ブリザック)」をミニバンで試す(前編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121212_578114.html
夏タイヤと遜色ないドライ/ウェット路面性能で快適長距離ドライブ
前編では走り慣れた一般道/高速道/ちょっとした峠道をREVO GZで走ってみて、とてもスタッドレスタイヤとは思えないほどの安定性と快適性を実感した訳だが、今回の道のりも8割以上がドライ路面の一般道と高速道。往復711Kmというちょっとした長距離ドライブなので、タイヤがイマイチだと運転手も同乗者も「体の疲れ」という分かりやすい症状が現れてしまう。
以前に乗っていた超重量級4WDミニバンに比べれば相当軽い愛車FFヴェルファイアだが、とはいえ「Lサイズ重量級ミニバン」であることに変わりはない。クルマの重量はタイヤ4本それぞれがハガキ1枚程度の面積で支えている訳で、クルマが重くなればなるほどタイヤへの負担も当然増える。寒くても硬くならない「しなやかさ」が求められるスタッドレスタイヤだが、柔らかいということは当然ドライ路面でのグニャグニャ感が出てきてしまう(はず)。愛車の標準タイヤサイズは215/60 R17 96Qなのだが、このサイズはREVO GZシリーズの中でも重量車向けに「しっかり感アップ」チューニングが施されているそうだ。
加重指数(LI) 96=タイヤ1本あたりの負荷能力 710kg、レボ発泡ゴムGZや非対称トレッドパターンなどさまざまな技術のおかげで、防音デッドニングしまくりで標準よりもさらに重くなっている愛車でも、まるで夏タイヤと同じような感覚でドライブすることができるのは開発努力と技術の進歩さまさまだ。
トンネルを抜けて、山を登ると、そこは雪国だった!
上高地や乗鞍方面にドライブしたことのある方ならご存じだろうが、ふもとにある「道の駅 風穴の里」を過ぎたあたりから急激に降雪量が増え路面状況も厳しくなるため、この道の駅でチェーンを装着するクルマが多く見られる。今回は時期がちょっとだけ早かったせいか(12月初旬)道の駅周辺もまったく雪がない状態で、その代わりと言っては何だが野生の猿が斜面をやたら歩き回っていた。
峠道を進み、東京電力の奈川渡ダム付近まで登ってようやくうっすらと雪景色が現れた。今シーズン初の雪道走行、筆者はわーいわーい!と子供のようにはしゃいでいるが、妻は昨シーズンのズルズルスリップ登れません体験(REVO 1を履き潰した後、安さに釣られて購入した某ブランド高速道路重視型スタッドレスタイヤの3シーズン目で大変苦労した件)が記憶に新しいらしく、「大丈夫なの?本当にチェーン巻かないの??」と心配顔。「大丈夫大丈夫」と笑顔で答えつつも、内心(本当に大丈夫かな……)と不安が残っていたのも事実。その後5分10分と進むにつれ景色は一変、アッという間に冬山銀世界と圧雪路面の峠道となった。
REVO GZの感触を確かめつつ慎重に慎重に、そろーりそろーりとアクセル、ブレーキ、ステアリングを操作する……必要もないんじゃないかと思うほど自然に登り、自然に曲がり、自然に止まる。タイヤのグリップを全身で確かめつつ運転したこともあり、宿に着くまでTRC(トラクションコントロールシステム、滑りやすい路面での発進や加速時のスリップを防止)やVSC(車両安定制御システム、カーブや急ハンドル時の横滑りを緩和)が介入することもなく走破できた。よっぽど滑りにくい雪道なのかと思い試しにクルマを降りて歩いてみたのだが、この時期らしい降っては溶け、溶けては凍り、また降ってを繰り返した見事なミルフィーユ圧雪凍結路面で、昨シーズンの某スタッドレスだったら確実にチェーンが必要な状態だった。う~ん、REVO GZ、(当たり前だが)雪道でもスゴいタイヤだぜ!
●トヨタ トラクションコントロール(TRC)
http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/safety/technology/technology_file/active/trc.html
●トヨタ 車両安定制御システム(VSC)
http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/safety/technology/technology_file/active/vsc.html
●国民休暇村 乗鞍高原
http://www.qkamura.or.jp/norikura/
GOOD MORNING 信州!乗鞍高原は今年もパウダースノー!
まだ真っ暗な夜明け前、正面自動ドアを手動で開けてもらって早速愛車へ向かう。昨日の圧雪路面に新雪が降り積もった状態を走るならこの時間帯しかない。昨夜からの降雪量は10cm程度で乗鞍としては降っていないも同然の少なさだが、走ってみるには十分。1シーズンぶりにスノーカッター付き雪はねブラシを手に取り、クルマの雪を払う。
筆者の出身地方面はベタついた重い雪が降るためクルマの雪はねも重労働なのだが、乗鞍はいつ来てもパウダースノー。この日の気温は-5度前後とスキーに最適なのはもちろんだが、まさに吹けば飛ぶような軽さなのでブラシでサッと払うだけでよい。
はやる気持ちを抑えつつ、安全に十分配慮した上で雪道ドライブを開始。昨日踏み固められた圧雪路は完全に凍結し、その上に新雪がふわっと乗っている路面状況だが、走る、下る、止まる、曲がる、登る、とにかくすべての動作においてガツッ!とタイヤがグリップしていることを体感。ABSも何もないクルマで雪道を覚えた筆者にとってTRCやらVSCやらの制御介入は未だに少々違和感があるのだが、REVO GZの場合はタイヤ自体がしっかりとグリップしていることをステアリングから、アクセルから、ブレーキから体を通して感じ取ることができ、とにかく乗りやすいのだ。
どんなに高性能な車両制御システムがあったとしても、物理的にタイヤの性能を超えた動作は不可能だ。これ以上進入スピードを上げたら、これ以上ステアリングを切り込んだらスリップするだろうなーという状況を(くどいようだが周囲の状況と安全を十二分に確認した上で)作り出してみても、一瞬VSCが介入してグイッ!とクルマを正しい走行ラインに戻せる氷上グリップは流石と言うしかない。前編で「夏タイヤ並みのドライ/ウェット性能があってライフも改善したのなら、雪道はダメなのでは……」と書いた不安は、1ミクロンのかけらもなく完全に解消。それどころか、重量級の、しかも雪道登坂には弱いとされているFFミニバンが水を得た魚のように雪道を走り回れ、ガツンと止まれるREVO GZ。実際に乗ってみないことには伝わりにくいとは思うが、登り、下り、坂道発進などをビデオで撮影したので合わせてご覧頂き、筆者感動の雪道グリップ性能を共有していただければ幸いだ。
本当に怖いのは圧雪凍結路がちょっと溶けかかった路面。でも強力グリップ!
真っ暗明け方に行った雪遊びじゃなくて走行テストは、本当に筆者の度肝を抜くブリザック REVO GZの感動性能を体感することができた。なにしろ、重量級ミニバン、それも凍結路登坂が苦手とされているFF車がチェーンなしでグイグイ登る、曲がる、止まるという、知らない人には「ふ~ん」かも知れないが、その実態を知っている人にとっては「ま、まじで!!」というグリップ力、トラクション性能を発揮してくれたのだから。
昨シーズン、スリップしまくり、チェーン脱着しまくりで筆者は疲れ、家族は不安を感じつつの雪道ドライブを多数経験しただけに、この感動は言葉では言い尽くせないものがある。ドライ/ウェットだけではなく、凍結路面でも自分のイメージしたとおりにクルマを操ることができ、リニアなグリップ感がステアリングを通じて感じられるので運転が楽なのだ。この興奮をとにかく誰かに伝えたくて仕方がないが、まだ外は真っ暗、妻も寝ているので朝5時の温泉につかりつつ一人でニヤニヤ。ニヤニヤ。ふふふ(笑)。
登るっ!登れるよ!重量級FFミニバンでも、REVO GZなら雪道が登れるよ!!
のんびり朝食を取り、先ほどのREVO GZの素晴らしさを妻に力説し、一通り満足したところで昼の部を開始。地域にもよるが、雪道が一番滑りやすいのは「積もって凍った雪が融けている」状態。濡れた氷が滑りやすいのは言うまでもないことだろう。北海道や東北でイヤと言うほど雪道に慣れている人でも、比較的暖かい関東のスキー場に向かう際に思わぬヒヤリハット体験をしてしまうのはこのためだ。しっかり路面が凍った状態での高性能は今朝十分理解できたので、いよいよ最難関の「ちょっと溶けた圧雪凍結路」を走ってみることにしよう。
前編にも書いたが、筆者は1台を除きずーっとFF車を乗り継いできた。実家は豪雪地帯ではないが海沿いの積雪地域なので地吹雪や凍結が多いのだが、FFで走れないような場所は4WDで入ってもヒドい目に遭うというポリシーの元(笑)、FF車を好んで乗ってきた。その後初めてミニバンに乗るに当たり、重いしデカいし重心高いし雪道走行前提なのにFRは有り得ないな~と思いデフロック付き4WDを選んだのだが、抜群の走破性と引き替えにガソリンタンクに穴が空いているような極悪燃費と戦うハメになり、現愛車では再びFFを選んだ。
正直、昨シーズンの雪道では、FFヴェルファイアを選んだことを深く後悔した瞬間が何度かあった。以前乗っていたウインダムも重量級FF車なので同じような感覚で走れるかと思ったのだが、とにかく雪道登坂がまったくダメダメだったのだ。4WDからFFに乗り換えたということもあり、その時はまさか「タイヤが原因」だとは思いもよらなかった。確かに高速重視お値打ちスタッドレスの3シーズン目なのでグリップ低下は仕方がないが、それにしてもこのダメっぷりは重量級FFミニバンだからに違いない。あーぁ、デフロックできなくてもいいからやっぱり4WDにしておけばよかったなー、しおしお……と思いつつチェーン脱着を繰り返していた。
ところが、だ。ブリザック REVO GZを履いたFFヴェルファイアは、ガッチリ凍った明け方だけでなく、ちょっと路面が緩んで走りにくくなる日中でもまるで生まれ変わったかのように抜群の安定感で走行することができたのだ。FFでこの走破性なら、デフロック4WDに履かせたら乗鞍岳の山頂まで登れてしまうのではないかと思うほどのグリップ感。思わず「うおぉぉ!登る!」「ガッチリ止まる!!」と叫んでしまい、ビデオを撮り直すために登ったり下ったり何度も走り回ったのはここだけの内緒話だ(笑)。
盤石の安心感! ブリザック REVO GZに惚れまくり!!
ミニバンは室内が広く家族みんなが快適にドライブを楽しむことができる。室内が広いということはクルマ自体も当然大きく重くなってしまう。長距離ドライブともなれば家族全員の荷物が積み込まれ、重心バランスは後ろへ後ろへとシフトする。そして筆者の愛車は思うところあって敢えて選んだFF仕様。昨シーズンはタイヤがヘロヘロということもありどこに行くにも金属チェーンのお世話になっていた。金属チェーンは強力なグリップ力を発揮するものの、乗り心地は当然ガタガタ、制限速度すら出すことができず移動に時間が掛かり、ステアリングがブレまくって運転手が疲れるのはもちろん同乗者への負担も大きい。当分雪道方面へのお出かけは控えようかなとも思っていたのだが、それは完全撤回することにする(笑)。
ブリザック REVO GZは、筆者が期待する、セダン+REVO 1で楽しんでいたような安心安全快適雪道走行を、重量級FFミニバンでも可能にしてくれた。しかも、ドライ/ウェット路面でも1級の性能を持っているので、ライフを考えてしょっちゅう夏タイヤとの脱着を繰り返して腰が痛くなるということもなさそうだ。
いやはや、夏は思いどおりにならないハンドリングに「ヴェルファイアの走行性能はこんなものか……」とあきらめていたのがエコピア PRVに履き替えて激変し、あまりの雪道登坂性能のわるさに「FFヴェルファイアの走破性はこんなものか……」と後悔していたのがブリザック REVO GZへの履き替えて激変し、本当に目から鱗とはこのことだ。純正装着夏タイヤの性能がお粗末すぎたのは是非ともトヨタに改善を望みたいところだが、ヘボいスタッドレスタイヤを自己責任で履いた上にクルマが原因だと思い込んで文句タラタラだったことは愛車ヴェルファイアくんに深くお詫びしなくては。
雪道ドライブが安心快適だったことで、帰路も大いに盛り上がりつつ寄り道をドライブ楽しめた。
●お茶元みはら 胡蝶庵
http://www.mihara-net.com/
●手打ち蕎麦 うちぼり
http://www.ja-azm.iijan.or.jp/tourist/map/2010/04/post-201.php
クルマの評価をガラッと変え、安心快適ドライブで家族を笑顔にする力を持っているタイヤ。素晴らしいタイヤは、安心と、安全と、快適と、みんなの笑顔というかけがえのない価値を実現してくれる。
重量級ミニバン仕様のエコ対応スタッドレスタイヤ ブリザック REVO GZに出会えて、本当によかったと思う筆者であった。大大大、大満足満足!!