DIYでクルマいじり
NAOさんのDIYでクルマいじり
第24回:ブリザック史上最高性能。「BLIZZAK(ブリザック)VRX」を重量級ミニバンで試す(後編)
(2015/1/23 00:00)
「BLIZZAK VRX」は、あの感動高性能「BLIZZAK REVO GZ」を超えたのか!?
過去記事で述べてきたとおり、筆者は雪国出身。それも比較的除雪予算が限られており市街地でもヘビーな圧雪凍結ガチャガチャわだち道路でのドライビングを要求される、ようするに北海道、新潟、長野(の主要地域)といった豪雪だが除雪・融雪もバッチリという環境では「ない」地域の出身だ。運転免許の路上検定も地吹雪の中だったし、生活と仕事の必要に迫られて毎冬スタッドレスタイヤを履き、職業ドライバーでもないのに常人の何倍もの距離を走ってきた。だからこそスタッドレスタイヤの性能向上に心から感謝しているし、高性能を体験した時の感動も大きい。
ぶっ飛び高性能を体感できた「BLIZZAK(ブリザック) REVO GZ」の新型上位モデル=当然よいに決まっているであろう「ブリザック VRX」だからといって先入観はなし。実際に乗ってみて筆者が感動できなかったのであれば、それを素直にお伝えするつもりで走り込んできた。
タイヤは命を乗せている。大好きな雪道ドライブでの事故やトラブルをゼロにしたい。それでは、NAOさんのバーチャル雪道ドライブツアー、スタートです!
●第23回:ブリザック史上最高性能。「BLIZZAK(ブリザック)VRX」を重量級ミニバンで試す(前編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/c_diy/20150105_682340.html
バッチリ止まります!そして「あの坂を登れます!!」
結論から先に言おう。ブリザック VRXは、これまで筆者が乗ってきたすべてのスタッドレスタイヤを上回る氷上グリップ性能を体感できた頂点のスタッドレスタイヤだと思う。
「あぁ~、この先はFFヴェルくん+スタッドレスではちょっとヤバそうだから、念のため次の道の駅で金属チェーンを巻いておかなきゃな……」というシチュエーションになるはずの場所・気温・天候・環境でも、「おっ!?、マヂか、VRX。頼むぞ!」と筆者に安心を与えてくれたのだ。「安心“感”」だけでは仕方ない訳だが、事実VRXに履き替えてから金属チェーンは3列目シート下に収納したままだ。
スタッドレスタイヤに求められる性能はさまざまあり、なにより「止まる!」が大切なのは言うまでもないが、特に重量級FFミニバンにとっては「目的地までのラスト1マイル、目の前の坂が登れるのか!?」というのも大きな課題だと思う。
新潟県の妙高高原を経由して関温泉まで峠を登り続ける県道39号(妙高高原公園線)は、日本有数の豪雪地帯かつ標高が高いため路面はガッチガチの圧雪凍結状態となる。そして日中暖かくなると表面が溶け出して、泣きたくなるほど滑りやすい路面となる。あのREVO GZを履いていても重量級FFミニバンには辛い坂道で、混んでいなければ坂を一気に登りきれるか、途中で止まらざるを得ない場合は手前でチェーンを巻くのがいつものことだった。
ところが、だ。まったく同じレベルのシビアコンディションではなかったものの、VRXはその斜面をいとも簡単にクリアする。もちろんTRC制御は入るが、アクセル開度に関わらず徐々に車速が低下して最終的には止まってしまうのではなく、「TRC制御がタイヤのグリップを最大限に活用して確実に登っていく」のだ。おっかなびっくり坂道発進を試してみると、ガガガ!っとTRCが作動しつつも、力強く登り出せる。前編で紹介したVRXの静粛性能も素晴らしいが、この「強烈な縦グリップ・登坂力」は特筆に値すると思う。
シチュエーション別、走行インプレッション その1
あらためて、ブリザック REVO GZは現時点でも最高レベルの高性能スタッドレスタイヤであり、総合バランスは天下一品と太鼓判を押したい。その上で、さらに進化したVRXをさまざまな状況下で実用した感想を述べたいと思う。REVO GZの重箱の隅つつきテスト動画は以下の過去記事で詳しく掲載しているので、ぜひ合わせて参照して頂ければ幸いだ。
●【特別企画】“Wで止まる”スタッドレス「BLIZZAK(ブリザック)」をミニバンで試す(後編)
「REVO GZ」は、“ブリザックでいちばん止まる”スタッドレスタイヤであった
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121221_579572.html
いわゆる「限界性能」を引き出せるテストコースならいざ知らず、交通法規を遵守して安全運転している限り、「REVO GZでは難しいけど、VRXならバッチリ~」という状況は前出の妙高高原エクストリームつるつる登り坂など数える程だろう。それほど両者ともに高性能なのだが、乗り比べれば「VRXの圧倒的勝利」であることもまた事実。VRXが盤石の氷上グリップを発揮することで、TRCやVSCといった制御機能もより効果を発揮してくれる。
その昔、筆者が車重1t程度のクーペに乗っていた頃は「(当時の)ABSなんて邪魔邪魔。軽くロックさせて雪で輪留めを作ってポンピングした方が早く止まるじゃないか」と思っていたが、いまは21世紀(笑)。パーキングブレーキをチョンチョン効かせてケツを出してからカウンターを当てて曲げようなどとは考えず、TRC・VSCなどの走行制御機能をフル活用して走るのがベスト。人間がどんなに頑張っても、4輪の回転数をバラバラにリアルタイム制御することなどできないのだから。
凍結したカーブでVSCが介入する状況を例に挙げると、REVO GZは走行ラインをある程度外れてから「グイッ!」と元に戻されることが多かったが、VRXは走行ラインを外れることなく、「す~っ!」っとVSCの説明図に出てくるようなイメージで走行することができた。
※以下の映像はドライブレコーダー取り付け位置の関係でフロントガラスに氷が貼り付いたままの状態に見える動画がありますが運転者の視界はクリアです。一部破損してしまった動画データを修復して使用しているため、ノイズが入る個所があります。映像は編集調整してあります。大きなカタカタ音はドラレコ固定金具のビビリ音です。撮影は各種法規に則り安全に十分配慮して行っています。
信頼できるから運転が楽!、安心できるからランチが美味い(笑)
日中は外気温が0℃~+3℃とよくもわるくも一番滑りやすいコンディション(寒くて凍るから滑るのではなく、氷が溶けて水の幕ができる状態が一番危険!)。雪も降り続き車室内は湿度満点。エアコンの除湿効果が薄れ、デフロスター全開でも間に合わないので窓ふきタオルや窓全開強制換気で視界確保。もちろん寒いがシャキッとするので気持ちよいぞ(笑)。
冬用ワイパーは全体がゴムで覆われ隙間に雪が詰まったり氷が付着しにくい構造にはなっているものの、それでもダメな時はダメ。定期的にスノースクレイパーでゴシゴシしたり、ワイパーをバンバン!と叩いて氷落としが必要になる。
苗場スキー場や、祝!北陸新幹線まもなく開業、冬の千里浜なぎさドライブウェイを楽しみつつ、高速走行もチェックしてみよう。
●第16回:9型大画面ナビ「AVN-ZX02i」で、1都7県1300km弾丸ドライブ
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/c_diy/20130222_588231.html
シチュエーション別、走行インプレッション その2
2013年1月14日(月)、2014年2月7日(金)、2014年2月14日(金)、今年の正月。
覚えているだろうか、普段雪が降らない太平洋側の関東平野部でも10cm程度の積雪となり、2014年2月14日(金)は近畿から東北の広い範囲で未曾有の大雪、山梨県などでは集落や道路上のクルマが孤立状態となり陸上自衛隊が災害派遣出動するほどの被害となった。
ドライブ旅行、それも冬に出かける場合はある程度の非常食や防寒装備などを携行しておきたい。筆者は2kWのインバーター内蔵化や電気ポットと水、インスタント食品、脱出板と牽引ワイヤーなどを車室内のじゃまにならないところに収納するとともに、雪道長距離ドライブの場合はフロアジャッキなども座席の下に詰め込んでいる。そんなのいつ使うの(笑)、と思われるかも知れないが、この1シーズンだけでも数台のスタック車両を引っ張り上げ、駆動輪を側溝に落としたクルマをフロアジャッキでレスキューできた。道具さえあれば15分程度で完了でき、人助けにもなるし、こちらの経験値にもなる。もともとクルマが重いこともあり、これらの装備を積載したから燃費がわるくなったという感じも特にない(笑)。
さて、先ほどは皆さんがまず行くことのないエクストリーム雪道を紹介したが、今度は誰もが遭遇しうる一般道路と高速道路での走行シーン。スタッドレスタイヤの性能が高ければ高いほど心に余裕ができ、心理的にも安全運転ができる。この動画を見て「こういう状況になるのか」と知っていただくだけでも、十分肥やしになると思うのでお時間があれば是非ご覧いただきたい。
今年の旧正月は2月19日(木)。豪雪シーズンはこれからが本番であり、普段雪が降らない太平洋側都市部に住むドライバーにとっても他人事ではない。乗るなら冬タイヤ、なければ乗らない。事故ってからでは遅すぎるのだ。自分と他人の生命と財産、家族の顔を思い浮かべて是非ご一考頂ければ執筆者冥利に尽きる。余裕があればVRX、ほんとオススメですよ。
静かで快適、かつ圧倒的な氷上性能とトラクションのVRX。
クルマはドライバーがコントロールしてナンボとよく聞くが、それは「タイヤがグリップしている」からこそ成立する話。ダントツ性能スタッドレスタイヤのブリザック VRXに敬意を表しつつ、状況別の印象を整理したい。
●圧雪路 / 圧雪路の上に新雪
新雪をギュっと踏み固めつつ、何事もなく安定走行。イマドキのスタッドレスならどれでも行けるレベルなので、VRXなら当然朝飯前。
●凍結路 / 凍結路の上に新雪
凍結路では、VRXの実力をフルに味わうことができる。現行高性能タイヤのREVO GZと比較しても、VRXの氷上グリップ性能は格段に向上していた。
●トラックが蹴散らした氷の粒がちらばっている/部分的にそろばん道路
ガタガタ揺れるし接地面積は少ないし最悪雪道の部類に入るが、ここでもVRXの氷上グリップ性能が効果を発揮。とはいえ乗り上げた氷のツブそのものが動き回るような路面ではタイヤに関係なく慎重に走るしか手はない。
●圧雪路が溶けてガチャガチャ
筆者の田舎もそうなのだが、湿った雪が降り日中は比較的暖かい地方にありがちな路面。溶けかけシャーベット路面の走行では、REVO GZのほうがバランスがよいように感じられた。
REVO GZは「ベチャ雪に割って入る」、VRXは「ベチャ雪を一旦踏んでから確実に排水する」というイメージ。同サイズであってもVRXのほうが接地面積を稼いでいる=氷上性能を向上させているためだろう。
●圧雪凍結うねり道、わだち道
VRXの氷上グリップ性能は、ここでも効果を発揮。確実なステアリングインフォメーションを感じられるので、左右に振られずわだちの山部分を安定走行。意図せず横に流れてわだちに戻るようなこともなく快適だった。
●急な坂道に温泉がジャブジャブ流れ、部分的に大きな氷の塊がある道
こんなコンディションは全国広しと言えども滅多にない訳だが(笑)、体験したい人は万全の冬装備をした上で、新潟県は妙高高原のてっぺん、冬の関温泉へどうぞ。
永久凍土で氷の表面が全く溶けない地域は別として、日本国内の圧雪凍結路面であればどんなタイヤで走っても多かれ少なかれ滑るのは当たり前。その上でさまざまなスタッドレスタイヤを履いてみて、ブリザック VRXの高性能っぷりには本当に驚かされた。あのREVO GZから履き替えて「体感」できるレベルで性能を上げるというのは、並大抵のことではない。素直に凄いと思う。
●ブリヂストン特設サイト「冬の安全運転アドバイス」
http://tire.bridgestone.co.jp/blizzak/swd/
安心、感動、快適雪道ドライブならVRX。楽しい~!はもちろん、「感謝」という気持ちになった「ダントツ性能 BLIZZAK VRX」。これからも雪道の安全走行バックアップ、よろしくお願いします。高性能をありがとう!!