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スバル、2014年3月期決算&新中期経営ビジョン「際立とう 2020」発表

営業利益・純利益は過去最高の3265億円・2066億円。水平対向はすべて直噴にするほか次世代プラットフォームSGP投入

富士重工業 代表取締役社長CEO 吉永泰之氏
2014年5月9日発表

 スバル(富士重工業)は5月9日、2014年3月期の通期決算に加え、2020年へ向けての新中期経営ビジョン「際立とう 2020」を発表した。

過去最高実績となった2014年3月期

 2014年3月期の実績は、連結販売台数82万5000台(前年比13.9%増)、売上高2兆4081億円(25.9%増)、営業利益3265億円(171.1%増)、経常利益3144億円(212.5%増)、当期純利益2066億円(72.8%増)とすべての数字が過去最高を記録した。

 この実績は、前期1ドル82円、今期1ドル100円という為替の変化によるものが大きく寄与しているが、為替による営業利益の増益分は1700億円であり、前期と為替が同水準であった場合でも1500億円以上の営業利益は上げられたことから、実績を発表した富士重工業 代表取締役社長CEO 吉永泰之氏は「会社が強くなってきている。もっとも喜んでいる部分」と語った。

2014年3月期 実績
2015年3月期 計画
通結販売台数
株主配当

 詳細な数字については、富士重工業 取締役専務執行役員CFO 橋充氏が発表。地域別完成車販売台数では、北米で約8万4000台増、日本で約1万8000台増と好調だったものの、欧州は経済の影響などで約1万4000台減、中国は暦年ベース(2013年1月〜12月)で約5000台減となった。ただ、中国に関しては年度ベース(2013年4月〜2014年3月)では増加に転じているとのことだ。

 2015年3月期の見通しとしては、販売台数を約10万台増の91万6000台(11.0%増)、売上高2兆7200億円(13.0%増)、営業利益3400億円(4.1%増)、経常利益3300億円(4.9%増)、純利益2150億円(4.1%増)とし、為替は横ばいの1ドル100円で算出。いずれも過去最高になった2014年3月期を上回るとしていた。

 販売台数の増加割合に比べて、利益の増加割合が低めとなっているのは、「将来へ向けての投資を行うから」(吉永社長)とし、今期の試験研究費109億円を上回る139億円を投入。技術開発を行っていく。

 配当については、2014年3月期が第2四半期末20円、年度末33円の計53円に対し、2015年3月期は第2四半期末28円、年度末28円の計56円を予定する。2014年度末は60周年の記念配当5円が加わっているため、2015年度は通年実績で2014年度を3円超えることになる。

 スバルは2012年3月期の販売台数が64万台、2013年3月期は72万4000台、2014年3月期は82万5000台と急速に売り上げを伸ばしてきた。これに、円安が加わり、2年連続で過去最高業績を実現することとなった。

通期実績 連結完成車販売台数
通期実績 連結業績
通期実績 営業利益増減要因
通期実績 連結営業外収支など
設備投資など
通期実績 事業セグメント別
通期計画 連結完成車販売台数
通期計画 連結業績
通期計画 営業利益増減要因
設備投資など

新中期経営ビジョン「際立とう 2020(Prominence 2020)」

 これらにより、2011年に掲げた2015年までの中期経営ビジョン「Motion-V」を前倒しで達成。吉永社長から2014年〜2020年を見据えた新中期経営ビジョン「際立とう 2020(Prominence 2020)」が発表された。

際立とう 2020(Prominence 2020)

 吉永社長は、「これまで選択と集中、差別化と付加価値の追求により事業の集中を進めてきた」とし、軽自動車から撤退して小型車以上のクルマにシフトしたことや、風力発電の売却などもその一環であるという。より差別化し、お客さまに価値を提供する、この方向をさらに強めていくことを考えた結果のキーワードが“際立とう”になったと語った。2020の個所は「ニーマルニーマルと、呼ぼうかなと思っている」といい、従来の中期経営ビジョンよりも長期の2020年を見据えたものになっている。

 2020年に企業としてありたい姿は。「大きくはないが強い特徴を持ち質の高い企業」であるとし、その方向性としては「スバルブランドを磨く」ことと、「強い事業構造を創る」ことであるという。

新中期経営ビジョン策定について
Motion-Vの振り返り
経営理念
際立とう 2020
ブランド戦略

 スバルブランドを磨くというのは、商品の魅力向上やお客さまとの新しい関係を意味し、スバルが掲げる「安心と愉しさ Confidence in Motion」の追求をさらに進めていく。スバルブランドを磨く取り組みとして、「総合性能」「安全」「デザイン」「環境対応」「品質 サービス」「コミュニケーション」の6つを挙げた。

 総合性能はクルマの進化。水平対向パワーユニットはすべて直噴化し、新設計次世代プラットフォームSGP(Subaru Global Platform)を全車に導入。SGPは衝突安全性能を全面的に引き上げるもので、1クラス上の動的質感を得ると同時に、インプレッサからアウトバックまでのプラットフォーム設計構想を統一。開発の効率化、多工場展開の容易な柔軟性を実現していく。

 安全追求は従来どおりだが、分かりやすいものとして、EyeSight(アイサイト)の進化を挙げた。EyeSightは、6月に発売されるレヴォーグでステアリング制御を行うver.3がデビュー。今後の方向性として、前方だけでなく全方位の衝突を回避する機能を備え、その先に自動運転があるとのことだ。

 但し、「スバルの考える自動運転とは、人を中心に据えた自動運転」とし、まず自律制御などがあった上で、信号などと通信を行うインフラ協調制御の機能を備えるとのことだ。インフラがなくても、しっかり自動走行するものを作り上げるということだろう。

 パワートレーン関連は、水平対向の直噴化の次のステップとして気筒停止システムを導入。その先にリーン燃焼があり、内燃機関の熱効率40%以上を目指す。その先に、新世代環境戦略車があるといい、まずは内燃機関の効率向上を目指していく。

 電動化への取り組みは、北米のZEV(Zero Emission Vehicle)規制に対応するプラグインハイブリッド車を2016年以降に投入。2018年モデルから対応が必要になることから、2017年には何らかの新車が登場しそうだ。これは、トヨタ自動車とのアライアンスを活かしたものとなるとのことだ。また、ピュアEV(100%電気自動車)については、販売面での苦戦も予想されることから、プラグインハイブリッド車でZEV規制に対応し、その後新世代の電動車両を投入していく。

 品質・サービスについては、それぞれのレベルを引き上げていく。とくにここ数年の販売台数の拡大によって「初めてスバルを買ってもらったお客さんが増えている。3年、4年後にもう一度スバルを買ってもらえるかどうかが極めて重要だと考えている」(吉永社長)とのことで、品質・サービスの充実を図る。

 コミュニケーションは、“スバルがあると人生がもっと愉しい”という提案を行い、主に若いスタッフで新しいコミュニケーション形態を模索していく。プロジェクト名は、「SNS(Subaru Next Story)」で、ソーシャルネットワークと同じ略称としている。

スバルブランドを磨く
SGPの導入
安全
EyeSightの進化
デザイン
環境対応
プラグインハイブリッドを投入
品質・サービス
コミュニケーション

スバルを磨き、強い事業構造を手に入れ、110万台+αへ

 販売がどんなに好調でも、生産・出荷がうまくいかなければ企業の成長はない。そのため、スバルは強い事業構造を創る8つの取り組みを行う。

 それが「商品戦略」「市場戦略」「生産戦略」「トータルコスト低減」「アライアンス」「航空宇宙事業」「産業機器事業」「人材育成、組織・風土」の8つ。商品戦略では、2016年に北米で新型SUVを投入するなど新型モデルを間断なく投入。生産体制は、日本(群馬製作所)、米国(SIA:Subaru of Indiana Automotive)、マレーシア(CKD)で、2020年度に107万台体制を構築するポテンシャルを持つ。本日、SIAで行っていたトヨタ「カムリ」の委託生産終了が発表されたが、この余力で生産体制の調整を行っていく。順調に販売が伸びれば、SIAでの能力増強を行うことになるわけだ。吉村社長は生産体制について「こういう構えでいきます」と表現していた。

強い事業構造を創る
商品戦略
市場戦略
生産戦略
トータルコスト低減
アライアンス
航空宇宙事業
産業機器事業
人材育成など

 2020年を見据えた経営ビジョン「際立とう 2020」だが、3年での数値目標も発表された。2014年〜2016年度の3年合計の収益計画として、売上高8兆円、営業利益1兆円、営業利益率12.5%を掲げる。2014年3月期の営業利益率は13.6%と非常に高いが、あと2年での平均を12.5%とすることで、試験研究や設備投資へ資金を回し、将来への基盤を構築していくとした。

 高い利益水準を維持しながら、2020年度には販売台数110万台+α、売上高3兆円+αの企業への成長を目指す。

2020年収益イメージ
3年の収益

(編集部:谷川 潔)