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日産、軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」を東京モーターショー2015で世界初公開

「グリップス コンセプト」を日本初公開。航続距離280kmの新型「リーフ」も登場

2015年10月5日発表

軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」

 日産自動車は、10月29日~11月8日(プレスデー:10月28日~29日、プレビューデー:10月29日、一般公開日:10月30日~11月8日)の期間に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催する「第44回東京モーターショー2015」の出展概要を発表した。

 今回の東京モーターショーで日産は、軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」(テアトロ フォー デイズ)を世界初公開。また、9月に開催されたフランクフルトモーターショー2015(IAA2015)で公開したスポーツクロスオーバータイプのコンセプトカー「グリップス コンセプト」を日本初公開する。また、プレイステーション専用ゲームソフト「グランツーリスモ」シリーズを開発しているポリフォニー・デジタルと協力して取り組んでいるバーチャルスポーツカー「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」の最新バージョンとなる実寸大車両の展示も実施する。

 このほかに日産ブースでは、1充電走行距離を向上させたマイナーチェンジモデルとなる「リーフ」をはじめとする市販モデルなどを含め、計20モデルを展示する。

2020年に免許を取得する世代に向けた軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」

軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」

 新世代の若いカスタマーにクルマの新しい価値を提供することを目的としたコンセプトカーとなる軽EVの「TEATRO for DAYZ」は、2020年に免許を取得する世代をターゲットカスタマーに設定。日産ではこの世代の若者たちを、生まれて間もないころからインターネット環境が整備されており、「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる世代でもとくに仲間との繋がりを楽しんでいる「Share Natives」と定義。そんなShare Nativesのユーザーが持つ行動特性や価値観を研究し、これまで自動車メーカーとして提供してきたクルマの商品性を大きく転換。クルマを仲間と自分の体験をシェアするための素材と考え、TEATRO for DAYZに自由に想像してシェアできる機能を盛り込んでいる。

 具体的には、エクステリアデザインではスピード感や力強さ、プレミアム感などの付加価値を敢えて排除。“真っ白なキャンバス”というイメージにより、Share Nativesのユーザーの創造性をじゃましないような外観としている。

 インテリアも白と黒のモノトーンを基調に、運転に最低限必要なステアリングやペダル類などの操作機器のみを設定。白いインパネやシート、ドアトリムは映像を表示するスクリーンとして、いつでも気分に合わせてデザインを自在に変更できるようにしている。空調やオーディオ類などの操作は音声入力やモーションセンサーでのアクションで行い、Share Nativesの使いやすさに合わせている。また、バランスボールをモチーフとしたシートデザインにより、従来のクルマとは異なる存在であることをアピールしているという。

「インテリア全体がモニター」というコンセプト。メーターや空調、カーナビなどをすべて画面表示で行うことにより、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)のレイアウトの制約から解放されているという

スポーツクロスオーバーのシリーズハイブリッドEV「グリップス コンセプト」

「グリップス コンセプト」

 日本初公開となる「グリップス コンセプト」は、搭載するガソリンエンジンを駆動力としては一切使うことなく、エンジンで発電した電気で日産「リーフ」でも使っている大容量モーターを動かして走行するシリーズハイブリッドEV「Pure Drive e-Power」をパワートレーンに採用。最高出力80kW、最大トルク254Nmを生み出すモーターにより、スムーズで力強く加速するほか、高い静粛性と良好な燃費も実現する。

 内外装のデザインには、1970年代のサファリラリーで活躍した「フェアレディ 240Z」や自転車のロードレーサーのエッセンスを投入。外観のカラーリングやダックテール形状のリアまわり、インパネ中央のエアコン吹き出し口などによってフェアレディ 240Zを連想させ、3スポークスタイルの大径22インチホイール、トレッドパターン風の凹凸を持つステアリング、センター部分にスリットを配置したシート、キャビン中央を前後に連続させるセンターコンソールなどでロードレーサーが持つシンプルさや軽快感を表現している。

 車両の開発コンセプトは「新世代に向けた新種の創造」と定め、将来的な日産車の開発に向けたピュアなデザインコンセプトカーであるとしている。

車両の中央に位置する黒いコア部分を、周囲のオレンジ色のボディーパネルで包み込むイメージで外観を構成。車両後方の跳ね上がったダックテール形状でフェアレディ 240Zを想起させる
Aピラー付け根を支点に斜め上方に開くフロントドア、リアフェンダーの前方側まで合わせて後方に開くリアドアで大きな開口スペースを実現
Aピラーはシースルータイプとなり、シルバー塗装のフローティングルーフと組み合わされる
3スポークスタイルの大径22インチホイール
ロードレーサーのタイヤ&ホイールを模したステアリング
クロノグラフ風のメーターデザイン
フェアレディ 240Zの3連メーターをイメージさせるエアコン吹き出し口
インパネからキャビン後方を経由してルーフまで連続するロードレーサーを模したフレーム。左右に分割されたシートもロードレーサーのサドルをイメージした形状となっている

新ボディーカラー「Fire Knight」で存在感をさらに高めた「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」

マット調でメタリックテイストの新色「Fire Knight」にカラーリングされた「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」

 プレイステーション専用ゲームソフト「グランツーリスモ」シリーズのゲーム内に登場するバーチャルスポーツカーとして誕生した「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」は、すでに2014年6月に開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2014」で実寸大車両が公開されているが、今回展示されるモデルは新しい新ボディーカラー「Fire Knight」によってカラーリングされたモデル。これまでと比べてカーボン素材で構成されるフロントリップスポイラーやリアウイング、リアタイヤの前方側フェンダーなどが明確化されているという。

 なお、NDE(日産デザインヨーロッパ)が中心となってデザインした日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモは、V型6気筒のツインターボエンジンとフロント2基、リア1基の3モーターを組み合わせるハイブリッドパワートレーンを想定する「近い未来のハイパフォーマンスカーの可能性を示す」というモデル。実車化に際してはデザイン処理などを一部変更しているとのこと。

フロントの「Vモーショングリル」からリアタイヤのフェンダーまでラインを連続させ、強い抑揚と空気の流れを表現

 このほかに市販モデルでは、「エクストレイル ハイブリッド モードプレミア」「ジューク 16GT FOUR パーソナライゼーション」「スカイライン 350GT ハイブリッド Type-SP クールエクスクルーシブ」「フーガ 370GT Type-S クールエクスクルーシブ」「セレナ ハイウェイスター VセレクションII」などに加え、EV(電気自動車)「リーフ」のマイナーチェンジモデルを展示。

 新しいリーフでは、1充電走行距離を現在の228km(JC08モード)から280km(社内測定値)に向上させる新グレードを設定。また、緊急ブレーキによって衝突回避や被害低減を図る「エマージェンシーブレーキ」、走行中の車線逸脱の回避を支援する「LDW(車線逸脱警報)」を全車に標準装備する。この新型リーフは、11月に発表、12月に発売を予定している。

マイナーチェンジを行って12月に発売予定という「リーフ」(ゴールド×スーパーブラック)

(編集部:佐久間 秀)