デロイト、電気自動車に対する消費者意識調査
EVに積極的な購入意欲を示したのは中国、日本はもっとも保守的

EVに対する「潜在的初期採用者」(黄緑)の割合。日本での潜在的初期採用者の数は4%と、4地域でもっとも保守的な結果に。濃紺は「購入を検討しそうな層」、水色は「購入を検討しなさそうな層」

2011年4月19日発表



 デロイト トーマツ コンサルティング 自動車セクターは4月19日、世界17カ国で実施した「電気自動車(EV)に対する消費者意識調査」の調査結果(速報)を発表した。

 この調査は2010年11月~2011年3月にかけて、中国、米国、欧州(7カ国)、日本など世界17カ国で行われたもので、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドグローバル製造業インダストリーグループが実施したのをまとめたもの。いずれの地域もインターネット調査で回答を得ている。

 日本での調査期間は1月28日、29日で、東京23区、政令指定都市、その他地域に住む20~69歳の男女(自動車保有者9割、非保有者1割)を調査対象とした。サンプル数は2075。

 その他地域については、中国では主要都市部に住む18歳以上の自動車免許を持つ男女を、米国、欧州では都市部、都市部近郊、その他地域に住む18歳以上の自動車免許を持つ男女を調査対象としており、サンプル数は中国1163、米国1007、欧州4760(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、トルコ、英国)。

 調査結果によると、中国、米国、欧州、日本の4地域でもっともEVに対して積極的な購入意向を示したのは中国で、EV購入への関心が高く、1年以内に購入またはリースする可能性が高い層である「潜在的初期採用者」が50%いると言う。

 一方、日本の消費者における潜在的初期採用者の割合はわずか4%で、この保守的な回答の背景にはEVの車両価格と充電時間に対する要望が挙げられると言う。

 日本の消費者の63%はEVの車両価格に対し、ガソリン車と同等またはそれ以下の価格を希望しており、車両価格面でEVを特別なものと認めていない。さらに、日本の消費者の81%は2時間以内にEVのフル充電が完了することを希望しており、これは他地域(55~67%)に比べ突出して高いと言う。

 その半面、日本でのEV普及に向けた好材料として走行距離を挙げている。平日の平均走行距離が80km未満と答えた日本の消費者は94%であり、その割合は他地域(77~80%)に比べ高い。

 EVの車両価格を左右するのはバッテリーであり、走行可能距離を長くしようとすれば車両価格が高くなる。このトレードオフについて、デロイトは「バッテリー価格低下など技術的な進歩がなされない限り解決しない」としており、将来のEV普及に向けてはこうした消費者の意識変化や、自動車メーカーの取り組み、政府の政策上の支援などが影響すると結論づけている。

日本の消費者の63%は、EVに対しガソリン車と同等かそれ以下の車両価格を希望する。この結果は他地域に比べやや高い結果充電時間意識について。日本の消費者の81%は2時間以内にEVフル充電が完了することを希望しており、これは他地域に比べ突出して高い値だと言う実際の平均走行距離について。日本の消費者の94%は、平日の平均走行距離が80km未満

※記事中グラフの調査レポート発行者および出典:デロイト トーマツ コンサルティング「電気自動車(EV)に対する消費者意識調査」

(編集部:小林 隆)
2011年 4月 19日