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GM、新型「シボレー コルベット」、新型「キャデラック CTS」を発表

2014年4月から順次発売。消費税8%込みの価格を発表

新型「シボレー コルベット」、新型「キャデラック CTS」を発表するゼネラルモーターズ・ジャパンの代表取締役社長の石井澄人氏、セールス・マーケティング ディレクター グレッグ・セデウィッツ氏
2013年12月4日発表

 ゼネラルモーターズ・ジャパンは12月4日、新型「シボレー コルベット」、および新型「キャデラック CTS」の2車種を発表。2014年4月から順次発売し、価格は4月から8%になる新しい消費税を含めた金額となっている。シボレー コルベットが918万2000円~1159万円、キャデラック CTSが599万円~699万円。発売日はシボレーコルベットのコンバーチブルモデルのみ5月24日となっており、そのほかは4月24日。

新型V8エンジン搭載の第7世代シボレー コルベット

 7世代目となる新型シボレー コルベットは、従来型の雰囲気を残しつつもエッジを立たせたシャープなボディーラインが特徴で、彫刻的なエクステリアデザインと謳っている。まったく新しいフレームとシャシー、パワートレーンを採用し、GMは「従来のモデルから受け継いだパーツは2つ」と強調している。

 国内導入のグレードは、ノーマルグレードとスポーツ仕様でエンジン出力や足まわりが異なる「Z51(ズィー・フィフティ・ワン)」の2タイプ。それぞれにクーペとコンバーチブルを設定し、トランスミッションは6速ATとクーペのみ7速MTが用意され、合計6つのタイプがラインアップされる。エンジンはいずれのグレードも「LT1」で、同じ名前のエンジンの第3世代となるもの。V型8気筒OHV 6.2リッターで最新の潤滑システムを採用し、Z51では横Gのかかるスポーツドライビングを考慮してドライサンプシステムを採用する。

 エンジンのスペックはノーマルグレードが最高出力339kW(460PS)、最大トルク624Nm(63.6kgm)、Z51が最高出力343kW(466PS)、最大トルク630Nm(64.2kgm)。通常はV型8気筒エンジンだが、クルージング時は気筒休止機能が働いてV型4気筒エンジンとして動作。エコモードに設定すると急加速しない限りV型4気筒で動作する。燃費は国内向けのスペックは未発表だが、アメリカの「EPAハイウェイモード」では12.3km/Lとなり、同基準の燃費数値ではポルシェ 911カレラS、日産 GT-R、アウディ R8より優れているという。

 トランスミッションは6速ATと7速MTが用意され、7速MTでは正確なシフトチェンジを目的とした「アクティブ・レブマッチング機能」を搭載する。Z51のサスペンションではダンパーの大口径ピストン化に加え、第3世代マグネティック・ライドコントロール(磁性流体減衰力制御システム)を装備。さらにeLSD(電子制御リミテッド・スリップ・デフ)も採用している。

 タイヤサイズは、ノーマルがフロント18インチ、リア19インチ。Z51はノーマルよりそれぞれ1インチアップとなるフロント19インチ、リア20インチとなる。さらに「タイヤ温度検知システム」を搭載しており、タイヤの温度情報からトラクションを最適化するためにABSとeLSDをコントロールする。その結果、ブレーキ性能も向上して97km/h~0km/hまでの減速では制動距離を1.5mほど改善したという。

 エクステリアでは、Z51にeLSDの冷却用のインテーク、ブレーキ冷却用ダクト、リアスポイラー&ディフレクターを装備している。ボディーサイズは4495×1880×1230mm(全長×全幅×全高)で、車両重量はクーペ Z51の場合で1580kg。全体的に軽量化が推し進められ、従来型となる第6世代のスチールフレームよりも45kg軽く、57%剛性が向上した「新アルミニウムフレーム」を採用。カーボンファイバーボンネットの採用など各パネルの軽量化も図られ、新しいボディーは従来モデルよりも17kgの軽量化を実現している。

 インテリアは新型シートと360mm径のステアリングホイールで一体感のある操縦感覚を実現。メーターパネルは中央部が8インチスクリーンとなり、走行モードに合わせた表示を行うインパネを採用している。

シボレーコルベット クーペ Z51
ルーフは手動で取り外し可能
ラゲッジスペースに外したルーフを収納可能
従来の印象を受け継ぎつつ、よりシャープになったフロントマスク
LEDによるバックライトを採用したリアまわり
Z51のタイヤはフロントが19インチ、リアが20インチ
エンジンは新しくなったV型8気筒 6.2リッター
インテリア
メーターパネル中央は高輝度のマルチディスプレイを設定。状況に合わせて表示が変化する
ダッシュボード中央にもカラーディスプレイを装備
フロントシート
ルーフも収納できる開口部の広いラゲッジスペース
シボレーコルベットは2シーターとなる

新型キャデラック CTSは直列4気筒のダウンサイジングエンジン搭載

 キャデラックブランドのミッドサイズセダンとなる新型「CTS」は、キャデラックのデザイン哲学「アート&サイエンス」を継承して従来型と大きく印象は変わらないが、ヘッドライト形状とライト外側のLEDライト、フロントグリルなどを中心にデザインを変更。全体ではボディーが100mm長くなり、ロングノーズのプロポーションを強調している。

 搭載するエンジンは排気量をダウンサイジングし、ターボチャージャー付きの直列4気筒DOHC 2.0リッターの1種類。最高出力は203kW(276PS)/5500rpm、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/3000-4500rpmとなる。組み合わせるトランスミッションは電子制御6速ATで、後輪を駆動する。

 導入されるグレードは2グレードで、エンジンやトランスミッションは同一。上級仕様となる「エレガンス」にはマグネティック・ライドコントロール(磁性流体減衰力制御システム)を標準装備する。また、車内情報システムとして「CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)」を用意。40万円高のオプション装備だが、BluetoothデバイスやUSB端子、SDカードスロットなどで外部機器からデータを取り込み、スマートフォンのような使いやすさでインフォメーションとエンタテインメントデータをコントロール可能となる。

 ラグジュアリーカーとして静粛性にも力を入れており、単純にノイズレベルを小さくするより、走行性能に関わるノイズは許容しつつ、不快な周波数のノイズだけを低減するようチューニングしたという。

 ボディーサイズは4970×1840×1465mm(全長×全幅×全高)で、車両重量は1680kg。燃費は国内測定値は未発表だが、アメリカのEPA燃費でシティが8.5km/L、ハイウェイが12.8km/L、複合燃費が9.8km/Lとなっている。

キャデラック CTS エレガンス
グリルが大型化し、ヘッドライトも上部が大きくフロントフェンダーまで回りこむ形状に変化した
V字型フォルムのリアまわりは継承
タイヤサイズは前後とも245/40 R18
エンジンは直列4気筒 2.0リッター。かなり後方にマウントされている
インテリア
メーターパネルは全面液晶画面となっている
センターコンソールの画面はタッチパネル。指先で操作可能
リアシート
トランクスペース

新モデルは名古屋、大阪、福岡のモーターショーで展示

ゼネラルモーターズ・ジャパン セールス・マーケティングディレクターのグレッグ・セデウィッツ氏

 都内で開催された記者発表会では、ゼネラルモーターズ・ジャパンのセールス・マーケティングディレクターのグレッグ・セデウィッツ氏から、コルベットとCTSの説明が行なわれた。

 グレッグ氏は新型コルベットを「ハイパフォーマンススポーツカーで、レースで実証された技術を搭載。最先端技術をふんだんに盛り込み、ドライバーを次の領域へ導く」と説明した。先進装備の1つである7速MTのアクティブ・レブマッチング機能については「レースカーのドライバーが何百時間も掛けて培った能力を、一般ドライバーが使うことができる」とアピールした。

 キャデラック CTSについての説明では、軽量化したボディーについて「BMW 528i、メルセデス・ベンツ E250 アバンギャルドより軽い車体で、よりよいパワーウエイトレシオを達成している」と競合車との優位点を説明した。

ゼネラルモーターズ・ジャパン代表取締役社長の石井澄人氏

 一方、ゼネラルモーターズ・ジャパンの代表取締役社長である石井澄人氏は、世界と日本のGMの状況を説明。

 石井氏によれば、現在、世界で100モデル以上を開発中で、今年から来年にかけて60モデル以上の発売を計画しているとしてGMの企業規模をアピール。品質面でも、アメリカ国内の調査でJDパワーによる「初期品質調査」で今年度のトップになったことを挙げた。

 日本市場では、2010年以降に採用している白を基調としたCI(コーポレート・アイデンティティ)が好評で、ディーラーの来店者も増えてきていると説明した。今年発売したキャデラック ATSについては「ATSの購入者の半数が新規顧客」とし、「デザイン、パフォーマンスにひかれて購入している方が中心」と分析。さらに、新たに発表となったCTSによってキャデラック車販売の勢いを加速させていくと語っている。

 先日まで開催されていた東京モーターショーに出展しなかった理由について質問された石井氏は、「触れて、乗って、感じていただけることに宣伝広告費を充てたかった」と話し、限りある広告宣伝費をショーの出展費用として使うことより、販売ネットワークの充実などに振り分けると決断したことが説明された。また、アメリカのビッグ3が3社ともに出展しなかったことについては「それぞれの会社が判断した結果」として、示し合わせたわけではないとした。

 なお、東京モーターショーは不参加だったが、これから開催される名古屋、大阪、福岡のモーターショーには出展することが明らかにされた。今回発表のシボレー コルベット、キャデラック CTSのほか、最近発表した「シボレー カマロ」の改良モデルを展示するという。

セデウィッツ氏と石井氏の2人でコルベットとCTSをアンベール

(正田拓也)