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ボルボ、「IntelliSafe10(インテリセーフ・テン)」の全車標準装備に関する記者説明会

26万円前後だったオプション総額を6万円程度までコストを下げて標準装備化

2014年12月18日開催

ボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 木村隆之氏

 ボルボ・カー・ジャパンは12月18日、同日に発表した新安全・運転支援システム「IntelliSafe10(インテリセーフ・テン)」を日本国内で販売する全モデルに標準装備することについての記者説明会を実施した。IntelliSafe10の内容についての詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20141218_680976.html)を参照いただきたい。

 説明会では、ボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 木村隆之氏が「2015年モデルは60シリーズやV40のT5 R-DESIGNで先行して販売していますが、今日からはV40シリーズ、V70、XC70、S80などを含めたすべてのラインアップ車が2015年モデルとして販売を始めました。この結果、ボルボ全体で進めている新しい安全運転支援システムである“IntelliSafe10”が、日本で発売するすべてのボルボ車に標準装備されることになりました。グレードなどによらず全車に装備されています。これまでは“セーフティ・パッケージ”という名称でオプション設定などをしてきましたが、従来も非常に高い98%という装着率となっており、新しい“モデルイヤー15”ではリアビューカメラも追加して、10個の装備で“IntelliSafe10”を標準装備します」と紹介。

 また、「ボルボのグローバル展開で見ても、今回の全車標準装備というスタイルはかなり進んだものです。こうした安全装備は北欧で25%~30%、北欧以外のヨーロッパで20%といった装着率で、安全に対するお客さまの期待値が高い日本で、ほかの国に先がけて全車標準装備するということが今回の大きなポイントになっています」と語り、日本のユーザーが先進的な安全装備を強く望んでいることが全車標準装備化の理由になったことを説明した。

 このほかに木村氏は、説明会後の簡易的なインタビューで、セーフティ・パッケージの装着数が高まった近年になって、フロントバンパーやフロントグリル、ヘッドライトなどこれまで販売数が多かった補修用パーツの売り上げがグッと落ち込み、補修用パーツの販売計画を見直す必要まで出てきたというエピソードを紹介。しかし、ボルボが全社的に推し進めている安全キャンペーン「ビジョン2020」に資することであり、お客さまにとっても大きなメリットがあることなので問題だとはまったく感じていないとコメントしている。

ボルボ・カー・ジャパン マーケティング部 プロダクトグループ マネージャー 青山健氏

 IntelliSafe10を含むボルボの安全に対する考え方などについては、ボルボ・カー・ジャパン マーケティング部 プロダクトグループ マネージャー 青山健氏が解説。青山氏は、ボルボが「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者・重傷者をゼロにする」という「ビジョン2020」を掲げてさまざまな安全に関わる機能を開発してきており、今回のIntelliSafe10の全車標準装備化も「ビジョン2020」実現に向けた活動の1つであると語っている。また、IntelliSafe10の前身であるセーフティ・パッケージから大きな目玉装備となっている「オートブレーキ」の歴史についても解説し、2009年にXC60が採用した「シティ・セーフティ」が、日本初の「衝突回避を目的に完全停止するオートブレーキ」となったと説明。

 このシティ・セーフティは赤外線レーザーを使う低速域専用の機能で、2011年にはミリ波レーダーとカメラを併用して歩行者の存在を検知し、危険がある場合にオートブレーキを作動させる「ヒューマン・セーフティ」も登場。2013年にはシティ・セーフティの作動速度域が50km/hまで拡大し、ヒューマン・セーフティは自転車に乗っている人を判別して専用ロジックでオートブレーキを制御できるように進化した。この2種類のオートブレーキ機能は、IntelliSafe10で「歩行者・サイクリスト検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキ・システム(ミリ波レーダー・デジタルカメラ・赤外線レーザー方式)」として1つの装備に統合されている。

 IntelliSafe10で使われているIntelliSafeという言葉は、包括的な安全を実現するためのボルボの新しい安全哲学を表した造語。日常的な運転シーンでドライバーをアシストする「アシスト」、危険が迫ったときに衝突して事故が起きないようにサポートする「プリベント」、実際に衝突したときに乗員の被害を低減する「プロテクト」の3段階を想定して、それぞれに安全性を高める機能が開発されている。

 基本的には、2015年モデル以前のボルボ車でオプション設定となっていたセーフティ・パッケージを骨子として、こちらも装着頻度の高い人気のオプションとなっていた「リアビューカメラ」を追加したものがIntelliSafe10となっているが、全車での標準装備化に向けて広範なコスト見直しを行い、従来は26万円前後だったオプション総額を、6万円ほどの車両価格増加で追加しているという。

人の安全に直結するクルマを扱うメーカーとして、ボルボは創業当初から安全を最重要項目としており、現在では「ビジョン2020」という大きな目標を掲げて技術開発を続けているという
欧州から1年遅れの2009年に、オートブレーキ機能の「シティ・セーフティ」をXC60に採用して国内導入。今では多数のメーカーで採用車をラインアップしているが、ボルボはオートブレーキの先駆けになったことを強くアピールしている
IntelliSafe10から「シティ・セーフティ」「ヒューマン・セーフティ」を一本化
IntelliSafeは「インテリジェントセーフティ」からボルボが作り出した造語。先進的な10アイテム以上をセットにすることからIntelliSafe10と表記される
「アシスト」「プリベント」「プロテクト」の3段構えで乗員の安全性を確保する
セーフティ・パッケージに「リアビューカメラ」が追加され、新たにIntelliSafe10の名称でボルボ車の安全性をアピール

 また、記者説明会の会場となった東京都港区にある日本自動車会館では、同日から販売を開始したV40、10月1日に発売されたXC60の各2015年モデルも実車展示された。

2015年モデルの2台
V40 T4
XC60 T5
外観上の差異はリアビューカメラを標準装備しているところ
ドアパネルにIntelliSafe10のロゴステッカーを装着していた

(編集部:佐久間 秀)