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JAL、「初日の出・初富士フライト」ツアー開催

上空2万フィートから地上より早い2015年の初日の出

2015年1月1日開催

上空2万フィートから見た2015年の初日の出

 1月1日、JAL(日本航空)は2015年の初日の出と富士山を鑑賞できる周遊ツアー「初日の出・初富士フライト」を開催した。本ツアーは、2009年より毎年開催されており今年で7回目となる。成田空港発と羽田空港発の2つのコースが用意されており、今回は成田空港発のルートに同行した。

 成田空港発は成田国際空港との共同企画で、日本で最も早い初日の出が見られる千葉県銚子沖を旋回し、初日の出を鑑賞したあとに富士山上空を飛行し成田空港に戻るルートだ。費用はJALスカイラックスシートを利用する場合、窓側2席は8万円、中央部は2万5000円、エコノミークラスは、窓側2席6万5000円、中央席2万円、さらに翼の上でやや視界が翼で遮られる席は窓側2席で6万円、中央部で1万9000円となる。参加特典として、フライトの搭乗証明書やおせち風の弁当、紅白まんじゅうが付き、海外旅行券5万円分などが当たる抽選会にも参加できる。JALの広報担当者によると、毎年このツアーは好評を得ており、窓側2席はいずれも発売開始1時間半で完売、中央部も数日で完売するという人気ぶりを見せたという。

ツアー募集のWebページ(http://www.jal.co.jp/domtour/hatsuhinode/)より

 ツアーの出発には成田空港の国内線用搭乗口65番が使用され、ゲートの前では出発前に縁起物の獅子舞のパフォーマンスと日本航空代表取締役副社長 佐藤信博氏より挨拶が行われた。佐藤氏は「本フライトは2009年より成田国際空港株式会社の協力により実施しています。なかなか予約が取りにくいというのは嬉しい悲鳴です。本日は雨も予想されましたが、天候に恵まれ上空は素晴らしい空気と初日の出、富士のご来光が楽しめると思います。JALはこれからも皆様の期待に応えられるように驚きと感動のあるサプライズな企画にチャレンジしていきたいと思います」と挨拶した。また、乗務したCA(客室乗務員)のうち2名は1977年10月~87年12月まで使用されたJALの6代目の制服と、同じく88年1月~96年9月まで使用された7代目の制服(実際に使われていた本物)を着用して乗務していた。

日本航空代表取締役副社長 佐藤信博氏より出発前の挨拶が行われた
佐藤副社長と成田空港のイメージキャラクター「くうたん」(左)と成田市のイメージキャラクター「うなりくん」(右)。さらに、JALの6代目の制服を着用した天野CA(右)と7代目の制服を着用した松尾CA。
JAL 6代目の制服を着用した天野CA
JAL 7代目の制服を着用した松尾CA

 この日搭乗したツアー参加者は193名(うち幼児1名)、乗員や関係者などを含めると計233名がボーイング767-300ER型機を使用したツアー専用機に乗り込み、5時45分に成田空港を出発した。なお、便名は2015年にあやかって「JL2015」と名付けられていた。

65番ゲート前では獅子舞のパフォーマンスが行われた
65番ゲートに張られた初日の出フライトを盛り上げる幕
出発案内には年賀状のようなHappy New Yearの表示。便名は2015年ということで「JL2015」
振り袖を着たスタッフと記念撮影できるサービスも

 離陸してベルトサインが消灯すると、ツアーを企画したジャルパックの代表取締役社長 二宮秀生氏より挨拶が行われ「今年は未年ですが、羊に関することわざとして“羊頭狗肉”という言葉があります。このままだと看板に偽りありという意味になってしまいますので、少し変更し“羊遠くに行く(ようとおくにいく)”という言葉にしてみました。旅は素晴らしいものです。この言葉に2つの思いを込めました。1つは“未年の今年もたくさん旅をしてほしい”という思いと、私共JALは本年も羊頭狗肉でなく、お客様にご納得いただける中身の伴ったサービスを提供していく、という思いを込めました。さらに、羊に大きいと書いて美しい、未年の未は未成の“未”でもあります。皆様のこの1年が美しい未来に繋がるものになるように願っております。」と述べた。さらに二宮氏と佐藤副社長が客席をまわり、参加者ひとりひとりに搭乗証明書を手渡した。

ジャルパック 代表取締役社長 二宮秀生氏より機内で挨拶が行われた
二宮氏と佐藤副社長が客席をまわり、参加者一人ひとりに搭乗証明書を手渡した
ツアー参加者にプレゼントされた搭乗証明書
搭乗証明書を開くと機長と副操縦士の写真と挨拶が載っていた
乗降ドア付近のカウンターには初日の出フライトをイメージした正月飾りが置かれていた

 6時10分頃には千葉県銚子上空に到達、旋回をして機体の両側の窓から初日の出が見られるように飛行していると、水平線が鮮やかなオレンジ色に染まり始め、6時35分頃最初の光りが明けの空に差し込んだ。そして6時45分頃になると雲海越しに見事な初日の出を見ることができた。この時の高度は上空2万フィート(6100メートル)。地上で日本一早い初日の出は銚子の犬吠埼灯台から6時45分頃に見られるが、本ツアーは上空から観覧するため、地上より約10分早く初日の出を見ることができる。

 1月1日は日本海側が悪天候のため、上空での天候不良が懸念されたものの、銚子上空ではほぼ揺れることなく、澄んだ空に昇る初日を楽しむことができた。そして、7時前には雲海が黄金色に染まり、ツアー参加者たちはこの貴重な瞬間を写真に納めようとカメラやスマートフォンで撮影していた。

6時10分頃に銚子上空に到達。空が白み始めてきた
6時35分頃、水平線から2015年最初の光りが明けの空を彩った
6時50分頃になると太陽が完全に顔を出し、雲海は黄金色に染まった
銚子沖で何度も旋回を行ったため、ルート表示は渦を描いていた
搭乗時に配られた、おせち風の弁当と紅白まんじゅう。紅白まんじゅうは成田市にある菓子屋「なごみの米屋」のもの。成田国際空港を表すNAAの文字とJALの鶴丸のマークが焼き印されていた

 数度に渡る旋回の後、ツアー機は進路を西に採り東京湾を横切り富士山上空に到達。7時13分頃から新年の初富士を鑑賞。高度は同じく2万フィート(6100メートル)。富士山は山頂付近に雲が掛かっていたが、乗客たちはその優美な稜線を楽しむことができた。こちらも機体の両側の窓から富士山が見られるように、最初は機体の右側から見えるように富士山の南側上空を西へ向かいつつ通過し、そして駿河湾に沿って旋回し今度は東へ向かい左側の窓から駿河湾を含めた富士山の全容を見ることができた。青く澄んだ富士山に乗客の誰もが見とれていたようだった。

山頂付近が雲に包まれながらも、初日に照らされる富士山の優美な姿を見ることができた
駿河湾に沿って旋回し今度は遠景の富士山と裾野の富士市を望む
駿河湾の海岸線と富士山が織りなす絶景を堪能できた
帰路は伊豆半島を通過し、館山沖へ進み千葉県の海岸線に沿って成田へ。
出発地と行き先が同じ成田空港のため、現地時間の表記が同じ「東京」になるという珍しい表示になった。

 伊豆半島を通過し、帰路についた機内では「新春運だめし」の抽選会が行われ、搭乗券の裏に予めランダムに貼ってあったシールの色によって各種景品の当選が発表された。また、ジャルパック提供の国内旅行券3万円分と海外旅行券5万円分は二宮社長が抽選し、当選の座席番号が発表された。さらに、サプライズプレゼントとして、佐藤副社長より200分の1スケールのボーイング787モデルプレーンが2名に贈られた。その他の景品は次の通り。JAL2015年カレンダー(10名)、NAA 野菜詰め合わせ(20名)、飛行機チャームボールペン(10名)、JAL CA ハローキティ(5名)、JAL しろたんぬいぐるみ パイロット(5名)、JAL限定腕時計(2名)、東京ディズニーリゾート 1デーパスポート2枚(1名)、ホテル日航東京宿泊券(1名)。

帰路の機内で行われた抽選会では、旅行券のほかサプライズ賞として、佐藤副社長より200分の1スケールのボーイング787モデルプレーンが贈られた

 帰路はやや大気の状態が不安定だったため、ときおり揺れたが8時11分に成田空港に到着し、出口で抽選会の当選者が景品を受け取りツアー終了となった。なお、成田空港第2ターミナル4階には専用の無料休憩ラウンジが設定され、ツアー参加者は10時30分まで休憩を取ることができた。

出口では抽選会の当選者へ景品の受け渡しが行われた
記念品を貰って満足げに帰って行く参加者たち

 佐藤副社長はツアー終了後の取材に応え「フライト中は、窓際の方が通路側の方に窓を譲り合いながら一緒に初日の出を見るなど一体感があってとても和やかな雰囲気が嬉しかったです。(すぐ満席になるので増便しないのか?という問いに応え)このフライトは定期便に影響を与えないように予備機材で行っています。そのため増便は今のところ難しい状況です。それでも、使用機材は国際線型のボーイング767と737を使っています。もう少し整備部門と調整すれば、大型の機材を使えるかも知れませんが、これからの検討課題です。2015年の手応えとして、お客様とわだかまりなく話せるようになってきているのが大きいと感じます。今年も成長していきたいと思います。また、初日の出フライトはお客様のご希望を伺ってベストショットの写真が撮れるようにタイミングを合わせて行ければと考えています。(スカイマークとの交渉に関して問われて)今はスカイマーク側がまだ検討しているようですので、11月に支援を要請されてから変わらずに待ち続けている状況です」と述べた。

 6代目の制服を着用していた天野CAは「客室サービス時に長袖(上着の下にセーターを着用しているため)だったり、スカーフの巻き方などの着心地が新鮮です」とのこと。同じく7代目の制服を着用していた松尾CAは「今の制服と比べると少しだけ動きにくいです。上着だけではなくワイシャツにまで肩パッドが入っていたのが時代を感じさせます」と語っていた。

 ツアー参加者で30歳代の夫婦は「2010年の同ツアーにも参加して、毎年楽しみにしているが、なかなか窓際のチケットを取れないので、今回窓際のチケットが取れたのは嬉しい。来年も参加したい」と述べていた。天候に左右されにくい上空からの初日の出や初富士の鑑賞は人生で一度は見ておいて損はないほど幻想的な光景だった。チケットを取るのは狭き門だが、お勧めしたいツアーの1つだ。

ジャルパック 二宮社長と初日の出フライトの乗務を終えてホッとした表情のクルーたちで記念撮影

(シバタススム)