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写真で見る ホンダ「インサイト」

3代目はミドルサイズセダンへと進化

3代目となる新型「インサイト」

 3代目となる本田技研工業の新型「インサイト」は、ハイブリッド専用車のコンセプトはそのままに、ミドルサイズセダンへと進化して登場する。

 初代インサイトが登場したのは1999年。1997年にハイブリッド技術「ホンダIMAシステム」を搭載するコンセプトカー「J-VX」として発表された後、1999年11月に「洞察力」「眼識」を意味する車名を冠してデビューを迎えた。

 この初代モデルはクーペ風スタイルのボディに2名乗車とパーソナル感を強調しつつも、10・15モード燃費で35km/L(MT車)と当時世界最高の燃費性能を実現していた。2代目が登場したのは10年後の2009年2月。ボディを5ドアハッチバックとすることで5名乗車を可能にするとともに、進化したIMAシステムを搭載。価格も180万円台からの設定とすることで、2009年4月には登録車の車名別販売台数で月間1位を記録するなど、ハイブリッドカーのすそ野を広げた。

 3代目となる新型では再びボディ形状を変更し、独立したトランクを持つセダンタイプとなった。デザインに関しても2代目がファミリーユースを意識したものだったのに対し、カジュアルにもフォーマルにも対応可能な、上質かつエレガントなムードのシルエットとディテールを採用している。同時にボディサイズも4675×1820×1410mm(全長×全幅×全高)に大型化。乗車定員は5名のままで変更はないため、より快適に過ごせる空間を手に入れたわけだ。また、セダンでは重要なポイントになるトランクスペースに関しても配慮。スペース面でネックとなる走行用のリチウムイオンバッテリーは、ECUなどと一体化したIPUとしてリアシート下に収納。トランク内だけでも519Lの大容量を実現するとともにトランクスルー機能も用意され、より多くの荷物を積載することが可能となっている。

 プラットフォームはDセグメントでの使用を見据えて開発された新世代の骨格を採用。1500MPa級の高張力鋼板を筆頭にハイテン材を積極的に使用することで、軽量ながら高い衝突安全性能とボディ剛性を確保。フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式のサスペンションを採用することにより、優れたハンドリング性能と乗り心地を実現している。

 安全面では安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を搭載。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせることで、「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」「誤発進抑制機能」「渋滞追従機能付ACC」などのほか、ステアリング制御まで行なう「歩行者事故低減ステアリング」「路外逸脱抑制機能」など、計10機能を実現。歩行者との衝突時に被害を軽減する「ポップアップフードシステム」も備えた。

 パワートレーンには2013年発売の「アコード ハイブリッド」以来の実績を持つ、独自の2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を採用。排気量の見直しや構造の合理化など年々進化を遂げており、この最新型ではパワーコントロールユニット「PCU」の小型化やモーター磁石の重希土類フリー化などを実施している。システムの核となるエンジンはすでに発売している「クラリティ PHEV」にも搭載されている、直列4気筒DOHC 1.5リッターアトキンソンサイクル i-VTECの「LEB」ユニットを搭載。吸排気系を専用設計とするなどインサイト専用にカスタマイズを加えるとともに、燃焼効率の向上やフリクション低減を強化することにより、無鉛レギュラーガソリン仕様ながら最大熱効率40.5%を実現。その結果、グレードによって異なるWLTCモード燃費では、28.4km/Lまたは25.6km/Lの省燃費性能を誇っている。

 グレードはベーシックな「LX」とラグジュアリーな「EX」、加えて内外装にブラック加飾やスエード調素材を使用した「EX・BLACK STYLE」の3タイプを用意。パワートレーンはすべて共通となっているものの、LXのみ車両重量が20kg軽くなるため燃費面ではよい数値となる。ただ、環境性能は全車「平成32年度燃費基準+50%達成車」「平成30年排出ガス基準75%低減レベル」認定車で同一となる。

 ボディカラーは「プレミアムクリスタルレッド・メタリック」のほか、「コスミックブルー・メタリック」「プラチナホワイト・パール」など6色を用意。EX・BLACK STYLEのみ「クリスタルブラック・パール」と専用色の「ルーセブラック・メタリック」の2色設定となる。価格はLXが326万1600円、EXが349万9200円、EX・BLACK STYLEが362万8800円。

EX・BLACK STYLE

インサイト EX・BLACK STYLE
EX・BLACK STYLE。ボディカラーは専用色のルーセブラック・メタリック
フレームレスのフロントグリルにフェンダー部まで回り込んだクロームバーを配置。このグレードではメッキ類が専用のブラッククロームメッキとなる
アンテナはシャークフィンタイプ
空力性能を追求するとスパッと切り落とした造形になりがちなリアエンドだが、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)や風洞テストにより立体的な造形を実現
EX系グレードのリアエンドにはトランクスポイラーを装備
全車LEDタイプのヘッドライトが標準装備となる
ポジション点灯時
ロービーム点灯時
ハイビーム点灯時
導光タイプのテールランプと発光タイプのストップランプを組み合わせたリアコンビネーションランプ
ポジション点灯時
ポジション点灯&ブレーキランプ点灯時
ウインカー点灯時
バックランプ点灯時
エンジンスペックは最高出力80kW(109PS)/6000rpm、最大トルク134Nm(13.7kgfm)/5000rpm。モーターは最高出力96kW(131PS)/4000-8000rpm、最大トルク267Nm(27.2kgfm)/0-3000rpmとなる
EX系グレードのタイヤサイズは215/50 R17。アルミホイールの塗装はマットブラックを採用
インパネはシンプルデザインを採用しつつ、ソフトパッド採用面の拡大などにより高品質感のある仕上がり
スムースレザーを使用した本革ステアリングは全車標準装備
ステアリングのスポーク裏に配置されるパドルはアクセルOFF時の減速度を3段階で変更するための装備
スポーク部に各種ボタンを配置
システムのスタートスイッチはステアリング右側に配置。全車ホンダスマートキーシステムを標準装備
シフトレバーではなくスイッチ式の「エレクトリックギヤセレクター」を採用。ドライブはプッシュ式、リバースはプル式スイッチとなっている
ペダルまわり。大型のフットレストを備える
メーターはアナログ式のスピードメーターと7インチ液晶の組み合わせ。パワーメーターを含むマルチインフォメーションディスプレイが液晶表示となる
左側のパワーメーター内の表示が切り替わっていく
マルチインフォメーションディスプレイの表示
モードスイッチで「SPORT」を選ぶと赤いアクセントカラーが加わる
モードスイッチで「ECON」を選ぶとギヤ表示の上に葉っぱのマークが点灯
各種ワーニングもこのエリアに表示される
8インチHDモニターを備えるホンダインターナビは全車に標準装備。オーディオ面でも8スピーカー&専用チューニングとなる
センターコンソールにDC12VとUSBソケット×2を配置
ETC2.0車載器も標準装備
ステアリングコラム右側のスイッチ群
センターコンソールボックスは2パターンでの使用が可能。リッドを開けると収納スペースが現れる
シートは先代モデルより座面を30mm、シートバックを50mm拡大。表皮は本革とウルトラスエードのコンビネーションタイプ。運転席&助手席シートヒーターが全車に標準装備される
運転席ドアトリム。こちらもウルトラスエードが使用されている
インナードアハンドルもブラッククローム仕上げ
リアシートは6:4分割可倒式。センターアームレストにはドリンクホルダーがある
519Lの容量を持つトランク
フロア下にはジャッキなどのツール類を収納
トランクスルー機構を装備
トランク側から背もたれを前倒しする時に使うレバーを備える

EX

インサイト EX
撮影車両のボディカラーはルナシルバー・メタリック
メッキカラーの違いにより、EX・BLACK STYLEとは印象が大きく異なる
Honda SENSINGは全車標準装備。フロントウィンドウ上部にカメラなどが備わる
特長的な造形を持つヘッドライト
電動格納式リモコンカラードドアミラーが全車標準装備。鏡面の曇りを除去するヒーテッド機能も搭載
アウタードアハンドルでは施錠用のスイッチをボタンからタッチセンサー式に変更。リモコンキーを持っていれば、グリップ上にある3本のライン部分に触れるだけで施錠、解錠が可能
燃料は無鉛レギュラーガソリン仕様。燃料タンク容量は40L
リアバンパーロア部のメッキがEX・BLACK STYLEとは異なり、シルバーとなっている
車名バッヂがトランクリッドに付く
タイヤサイズはEX・BLACK STYLEと同じ215/50 R17。ホイールの塗装がマットグレーになる
ソフトパッド部の表皮がプライムスムースになるほか、ルーフカラーもブラックからグレーに変更される
ステアリングは変わらず本革巻(プライムスムース)。スポーク部分の加飾がブラック系からシルバー系に変わっている
ルーフにはサングラスホルダーと照明類を備える
バニティミラー付きサンバイザーは全車標準装備。ルームミラーはEX系のみ自動防眩タイプとなる
EXのシートは標準仕様ではプライムスムースとファブリックのコンビネーションだが、撮影車両ではオプション(16万2000円高)の本革シートを装着
運転席ドアトリムもEX・BLACK STYLEとは印象が異なる
ドアアームレストのスイッチ類。下側のカップホルダー前にトランクオープナーが付く
EXのリアシート
リアドアトリム
運転席と助手席の背面下側にスマートフォンなどを収納できるポケットを設定
センターコンソール後端に後席用のエアコン吹き出し口を装備