まるも亜希子の「寄り道日和」
中高生がカーデザインに挑戦した「第7回カーデザインコンテスト」
2019年4月11日 00:00
すでに走行距離は13万kmを超え、もうすぐ連れ添って10年目に入る愛車のホンダ「CR-Z」は、私が初めて「ひと目惚れして実際に購入したクルマ」でした。2007年の東京モーターショーに、まだコンセプトカーとして出展されていた姿にビビビッときてしまったんです。
もちろん、それ以前の愛車たちも見た目が気に入ったからこそ購入に踏み切ったクルマばかりですが、CR-Zは静止している状態なのに、私の心を動かした。これがまさに、デザインの力なんですよね。人がまず最初にそのクルマに興味を持つきっかけとして、クルマのデザインというのはかなり大きな鍵を握っていると実感しています。
ということは今後、クルマが人の心を動かし続けることができるのかどうかは、デザイナーにかかっているところもあると思うのですが、じゃあ次世代を担うような人材はどうやって育てるのかしら? そもそもクルマのデザイナーという仕事に憧れる子供、目指す子供はどのくらいいるの? 疑問は次々と湧いてきます。
そんな時に、とても素晴らしい活動を見させていただきました。
日本の未来に、世界をリードするすごいカーデザイナーが誕生することを目指して、自動車技術会 デザイン部門委員会が実施している「カーデザイナー育成プログラム」があります。そのプログラムの一環として、全国の中学生・高校生、高等専門学校生を対象に、カーデザイナーへの「道」を本気で考えてもらうきっかけ、さらには登竜門となるべく毎年開催されている「第7回カーデザインコンテスト」の表彰式が開催されたのです。
今回のコンテストのテーマは、「10年後の暮らしを楽しくする乗り物」。それを学生たちが自由にスケッチし、作品の説明を添えて応募します。2018年11月1日から2019年1月20日までの約3か月という応募期間で、集まった応募作品はなんと386件。2018年の1.5倍と過去最高になったそうです。盛り上がってきてる感じですね~!
以前、脳科学者の茂木健一郎さんがおっしゃっていましたが、世界トップクラスの教育機関では、いわゆるお勉強ができる子供よりも、自分で考えて表現することや、何か1つのことをやり遂げる、突き詰める、ということを高く評価する方針に変わっているとのこと。そうした視点では、このカーデザインコンテストも合致していますよね。そんな理由もあるのか、このコンテストに挑戦することを新たに授業で取り入れた学校も増えているそう。すごくいい傾向だなと、今の学生たちがうらやましくなりました。
そんなことを考えながら見学した表彰式は、もう受賞者たちのレベルがハンパない高さでビックリ仰天! 最優秀賞(カーデザイン大賞)をはじめ、審査員特別賞など6名が受賞したのですが、どれもデザインが上手なだけではないんです。そのクルマがどうして必要なのか、どこがこれまでのクルマと違うのか、そのクルマがあることによってどんなメリットや感動が生まれるのか、といったことをすごく細かく、時に大胆に考えていて、なるほどなぁ~と感心しきり。思わずじっくり見入ってしまいました。受賞作品の講評を行なった、デザイン振興ワーキンググループリーダーの田村健司さん(本田技術研究所)も、すぐにでも作ってみたいと思わせる作品ばかりだと、絶賛していたのも納得です。
クルマのデザインを考えるということは、世の中の今を見つめ、人を見つめ、世界の未来を見つめることなのだなぁとあらためて感じました。私が中学生のころはまだまだ自分のことばかりで、世の中のことや世界のことなど、ちゃんと見つめたことなんてなかったんじゃないかなぁと反省。そうした時期にこのカーデザインコンテストに取り組むことは、デザイナーを目指すかどうかという以前に、彼らの人生においてとても大きな財産になるはずです。素晴らしいことですよね。
そしてもう1つ。おそるおそる応募者の男女比をうかがったところ、なんと!7割以上が女性だというではないですか。これは予想外で、もしかしたら近いうちに、世界に羽ばたく女性カーデザイナーが誕生するかも……。いや、ぜひ誕生してほしい! 期待に胸ふくらんだ瞬間でした。皆さんもぜひ、今後のカーデザインコンテストに注目してくださいね♪