まるも亜希子の「寄り道日和」

子供を守るためにできること

交通マナーのよい街、犯罪ゼロの街を目指す第一歩として、このとっても目立つ黄色い腕章と自転車プレートをつけましょうということで、わが家もさっそくつけてみました。ただ、私は自転車で出かける回数よりも、クルマで出かけることの方が圧倒的に多いので、どうにかクルマにつけることはできないか? 現在、思案中です

 娘が小学校に入学してから、もうすぐ2か月。国語や算数の授業が本格的になり、お友達もできて、なんだかんだ悩みはあるようですが、おおむね楽しんで通学している様子にひとまずホッとしています。

 でも、いまだに毎日とても心配なのが、通学途中の交通事故。まだ朝はできる限り、私も一緒に登校するようにしていますが、帰りは同じクラスの子たちがみんなバラバラの方向らしく、途中からはほとんどひとり。それがすごく不安なんですよね。

 ほかの地域では、朝も帰りも集団登校・下校をしているところも多いと聞くのですが、娘の学区にはマンションがほとんどなく、子供が少ないので、集団にしたくてもできないというところでしょうか。

 入学式の前に、まずはどのルートを通って通学するのが最も安全か、3つほどのルートを検証しました。交通量の多さはもちろん、歩道の幅、危険な交差点がないかどうか、崩れそうなブロック塀などがないかどうか。いつも通っていた道も、こうした「通学路に適しているか」という視点で改めてチェックしてみると、新たな発見があるものでした。

 そして、クルマの運転手側から、歩いている小さな子供がどう見えるか。それも大切な判断基準になりました。木が生い茂っていて死角になっていたり、道路が斜めになっていて、横断してくる子供に気づきにくい十字路だったり、そうした場所はなるべく避けたいなと思ったのが正直なところです。

 どうしても危険な場所を通らなければならない時は、娘に「左右だけでなく、前と後ろからもクルマやバイク、自転車が来ないかどうか、確認すること」ときつく言って聞かせました。また、信号待ちをする時には、道路のすぐ脇まで前に出るな。なるべく道路から離れて、できればガードレールや電柱など、硬いものの後ろで待つように、と約束。これは2019年に、大津市で信号待ちをしていた園児にクルマが突っ込み、16人が死傷した痛ましい事故を教訓とさせていただきました。さらに、横断歩道の信号が青になったからと言って、何も見ないで渡ることも禁止。必ず左右を見て、クルマやバイクが来ないことを確認してから渡るように言い聞かせました。

 入学後、3日ほどは娘に気づかれないように尾行して、ちゃんと約束を守っているかをチェックしたのですが、娘は周りを歩くどの子供よりも用心深く、まるで探偵みたいな歩き方に(笑)。でも、最初はそれくらいでいいのかなと思っています。

 というのも、警視庁の調査データによると、小学生が関係する交通事故件数が一気に増加するのが、学校に慣れてきた7月からとのこと。令和2年のデータで見ると、4月が29件、5月が43件とだんだん増え、7月には78件にまで増加。そこから夏休みに入る8月、9月は少し減少するものの、夕暮れが早まる10月から再び81件に増加し、以降2月まで高止まりという結果でした。

 気になったのは、時間帯別の発生状況を見ると、ちょうど下校時間が始まる14時~18時までに集中しているという事実。娘が小学校に入ってから改めて感じたのは、朝の登校時間には児童の保護者が持ち回りで、主要交差点に黄色い旗を持って立ち、子供達の安全をサポートしているんですね。でも、下校時間帯にはそれがないのです。

 近年は、通学路や住宅地などにゾーン30を積極的に導入したり、クルマを運転しているとナビが「ここは通学路です。速度を落として走行しましょう」などと教えてくれたり、いろんな形で子供の交通事故を防ぐための工夫が進んできていると感じますが、やはり子供たちひとりひとりを直接、見守れるようなシステムや方法がもっとあればいいなと思います。

 ひとまず、そうした意見が言えるような環境に自分から参加してみようと、初めてながらPTAの役員になってみました。入学式の際に、PTAから黄色い腕章と自転車プレートが全家庭に配布されたのですが、そこに書かれた想いに感銘を受けたのも理由の1つです。「交通事故だけでなく、連れ去りなどの犯罪からも子供を守るために、どうか皆さん腕章と自転車プレートをつけてください」と。街中あちこちに子供を見守る人がいることで、地域全体で悪いことを許さないぞ、という雰囲気を作ることこそが、安心・安全な暮らしへの第一歩です、というような内容でした。

 確かに、そうですよね。子供が歩いていたら、自然とスピードを落とす。信号のない横断歩道で待っている人がいたら、止まって渡らせてあげる。みんながそれをやって、「やらなければいけない雰囲気」を作れたらいいなと思います。

娘がひとりで通学するようになると、これまであまり気にしていなかった「こども110番の家」の表示もすごくありがたい存在に。ランドセルには防犯ブザーをつけていますが、何かあった時に助けを求められる場所があちこちにあると、とても安心です。この表示は地域によってデザインがいろいろあるようですが、皆さんの地域はどんなデザインですか?
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。