まるも亜希子の「寄り道日和」

わが家にやってきたスカイラインクーペ

ちょっと見ないうちに、一般家庭とは思えない修羅場と化していた、わが家の玄関先。クルマのシートが2脚にハンドル、散乱する工具たち。もうご近所さんは知ってますが、通りすがりの人はさぞ不審に思ったことでしょう(笑)。でも、ノーマルに近い状態から⾃分で少しずつ、ドリフト仕様に仕上げていくつもりのようなので、しばらくはこんな休日の光景が続きそうです。ちなみにBRIDEのバケットシートは、Car Watch編集部の”僕ちん@塩谷”さんから格安で譲ってもらいました(感謝!) そしてもちろん、ドリフトはサーキットで楽しみますよ〜

 火種となってしまたのは、私の何気ないひと言でした。物忘れがどんどんひどくなり、愛車のキーを探しまわったり、約束の時間をすっぽかしたりする夫に心配半分、怒り半分だったもので、冗談まじりに「左ハンドルのマニュアル車でも乗ったら、頭の老化防止にもいいんじゃない」と言ったのです。ちょっとイヤミも入ってたかもしれません(笑)

 すると夫はそんなイヤミには気付かず、すぐさま「確かに!」と食いつき、左ハンドル/MTの中古車を検索し始めたんですね。アバルト595がいいかな~、TTロードスターもあるじゃん、なんて最初は輸入車を物色してたので、私も久しぶりにちょっと元気なマニュアルの輸入車に乗りたくなり、静観することにしたのです。

 数日経って、「なんかいいのあった?」と聞いてみると、なにやら夫はモゴモゴと言いにくそうにしています。「実はコレにしようかと思ってるんだけどさ」と見せられた写真に、私はア然。

 スカイラインクーペ?? は? どこが左ハンドルなんでしょうか??

 すると夫は「いや~、頭の体操ならドリフトやる方がいいと思ってさ。今、スカイラインクーペのMT車でドリフトやるのが流行り始めてるらしいんだ」とケロリ。実はもうお目当の個体を見つけていて、何度かその中古車屋さんにも足を運んでいるとのこと。

 なるほど、私が原稿の締め切りに追われている時、娘とドライブに行くなんてルンルンと出かけて行った目的は、それだったのか、まったく。

 というわけで、私が思い描いていた元気な輸入車との生活とはかなり違った方向へ行きましたが(笑)、わが家にやってきたニューフェイスは、CKV36型と呼ばれるスカイラインクーペの6速マニュアル。でももともとは、私も2+2シーターのクーペを5台も乗り継いだ、クーペ大好き人間なわけですから、反対する理由もなかったのであります。

 ただ、納車後の最初の休日。いつもはお昼まで寝ている夫が珍しく早起きし、どこかへ出ていったなぁとは思っていたんです。でもなんか様子がヘンだぞ~と玄関を開けてビックリ。玄関ポーチにスカイラインクーペの運転席は転がってるわ、ハンドルも置いてあるわ、足の踏み場もない修羅場と化しているではないですか。

 ということは? と慌ててスカイラインクーペの室内を見たら、ゲーッ、すっかりがらんどう! ハンドルもシートも付いてない運転席って、初めて見たんですけど。しかも私、1時間後にあなたと出かける約束してましたよね? 「あ、ごめんごめん、すっかり忘れてた。じゃあ急いでBRIDEのバケットシート取り付けるから、ちょっと手伝ってくれる?」と夫。その場で即席のアシスタントにさせられ、ボルトを締めたりシートレールを押さえたりと、いいようにコキ使われた私でした。

 っていうか、当初の目的だった物忘れのひどさ、ちゃんと改善させてくださいよっ。

 これからしばらくは、こんな休日が続くような予感でいっぱいですが、ひとまず久々に聴いた3.7リッター V6エンジンのフォンッというサウンドは、いい時代を思い出させてくれる哀愁がありました。ドリフトが頭の老化防止に効果があるのかどうかは、またあらためてレポートしたいと思います。

運転席もハンドルも取り去ってしまうと、こんな空間になるんですね~。当初は助手席までバケットシートに交換するつもりだったようですが、そこは私が断固反対し、本人も予想外に快適な純正シートだったことから、とりあえず助手席だけは残すことになりました、ホッ
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。