まるも亜希子の「寄り道日和」

ユーチューバーに憧れる娘のお仕事体験

娘も体験した出光のガソリンスタンド。まずは元気な笑顔とあいさつでお客さまをお迎えすることが大事、と言うだけあって、みんな大きな声で「いらっしゃいませ」と言っていたのが印象的でした。実際のガソリンスタンドも、元気に出迎えてもらうとこちらまで明るい気持ちになりますよね。今さらながら、ガソリンスタンドはクルマに給油するだけでなく、ドライバーのメンタルを支える役割もあるのかなと、新たな発見をもらった私でした

 幼稚園生活最後のお遊戯会で、園児が1人ずつ将来の夢を語るシーンがあったのですが、うちの娘はなんと「大きくなったらユーチューバーになります!」と……。

 アチャー、これは完全に親の影響だわ。ユーチューバーがわるいとは言わないけれども、世の中にはもっとたくさん、素敵な仕事があるんだってことを娘に知ってもらわなければ。

 そう思っていたところ、妹から誘われたのがキッザニア。いろんなお店や会社などのパビリオンが並び、3歳~15歳までの子供たちがそこで働くことができる、体験型テーマパークです。私はもう10年ほど前に、今では大学生と中学生になった姪っ子たちを連れて来たことがあるのですが、娘は初めて。これはいい機会かもしれないと思い、豊洲にあるキッザニア東京へ行ってみました。

 80以上あるアクティビティの中で、女の子に人気なのは何と言ってもキャビンアテンダント。あの制服に憧れるんですよね~。あとはお菓子工場やソフトクリーム屋さん、ビューティサロンやファッションモデルなんかも人気だそうで、娘も当初は「絶対やりたい!」と言っていました。

見慣れたオレンジ色の看板は、「カーライフサポートセンター」として自動車整備士の仕事が体験できるアクティビティ。タイヤやバッテリー交換などをして、エンジンの調子を整えるんだそうです。オートバックスのツナギを着た子供たちがなんとも愛らしく、これも娘にやってほしかったなぁ

 私はせっかくなので、何かクルマに関する仕事をやらせてみたいな~と、やっぱり思っちゃいますよね。見慣れたオートバックスや三菱自動車、出光の看板を見ちゃうと、どれか興味を持ってくれないかな~と、淡い期待が湧いてくるわけです。

 とくに、三菱自動車ではカーデザイナーとしてクレイモデルを製作する仕事ができるんだとか! もう私がやりたいくらいですよね(笑)。まぁでも、あくまで娘の希望を優先して、あんまり強制はしないようにしていたんです。

 入園してすぐにやりたいと言い出したのは、警察官。これはきっと夫の影響ですね~。いつも、テレビで「警視庁24時!」みたいな特番を一緒に見てるからでしょう。キッザニアの警察官は、園内で起こった盗難事件を捜査するというもので、指紋を採取したり、トランシーバーで報告したり、なかなかみんな「なりきりミニ警察」って感じで楽しそうでした。一緒に行った3歳の甥っ子だけは、パトカーに乗れると期待していたらしく、不満げな顔をしていましたけどね。

 そして次に、早くもクルマ業界に目が向いたようで、出光のガソリンスタンドの仕事をしてみたいと! 本当はカーデザイナーもやりたいと言ったのですが、なかなか人気ですぐに定員が埋まってしまい、今回は断念しました。

 ガソリンスタンドの仕事は、まず大きな声でのあいさつから。そして、キッザニアで稼いだお給料で借りてドライブできるレンタカーが、給油をしに来るというシステムになっていて、小さなアウトランダーやミラージュが走ってくるのが超かわいい~。娘たちはそのお客さまを安全に誘導するのも大事な仕事。よそ見をしている子は怒られます(笑)。

 お客さまの希望を聞き、簡単な点検、窓拭き、給油を終えたら、お会計。実際のやりとりさながらに進んでいきます。保護者は少し離れた柵の外側から見学するので、子供たちの声がほとんど聞き取れないのが残念なんですが、身振り手振りで真剣にやっている姿を見るだけでも、「うちの子がこんなことできるなんて」と感動するものだなぁと思いました。

 そして続いては、こちらもすごく人気でなかなか予約が取れない、消防士。なぜ人気なのかって、それは真っ赤な消防車に乗れることと、思いっきり放水できるからなんです。うちの娘も3歳くらいまでは働くクルマが大好きでしたし、男の子ならなおさら、憧れの消防車に乗れるだけでテンションアップですよね。それに放水って、子供にとっては巨大な水鉄砲のようなもの。これも単純に「楽しそう~」って思うのでしょう。

 しかし、実際の消防士は命がけの仕事です。常にその緊張感を忘れずに、安全第一で仕事をするという基本から、このアクティビティでは教えられているように思えました。点呼を取る、整列する、キビキビ動く、耐火服を正しく着るといった、一連の指導は見ていて清々しいものでした。

子供たち垂涎の働くクルマ、消防車。ミニサイズですが、ウ~カンカンとサイレンを鳴らしながら、火事現場まで園内を走ります。乗り込んだ3歳の甥っ子はもう、得意満面。でも、命がけで働く消防士の緊張感も少し、感じ取ってもらえたのかなと思います

 あと、姪っ子と来たころはなかったような気がするのは、簡単な英語でのあいさつや数字などを言うシーンが度々見られたことです。最後にお給料を渡す時も、スタッフが「Here you are」と言い、子供達は「Thank you」と言ってもらう、というようなシーンです。これも、小学校から英語の授業が取り入れられている今の時代ならではですかね。

 のちに知ったのですが、アクティビティのすべての工程を英語で進行するプログラムも行なっているそうです。英会話としての完成度を求めるのではなく、人とのコミュニケーション力を磨くことを目指した英語学習として、これはすごくよさそう。

 さて、ほかにもいくつかの仕事を体験して、大満足で帰路についた娘。今のところまだ、ユーチューバーへの憧れは消えていないようですが(笑)、またキッザニアに行ったら、今度は新聞記者と病院をやってみたいなんて話しています。

 ちなみにお給料は「キッゾ」という園内でしか使えない通貨を現金でもらうのですが、園内の銀行に口座を作ると、そこに貯めておけるシステム。でも娘は何度言っても「銀行に入れたらなくなっちゃうからイヤだ」と、現金で持ち帰ることを選択。何かを勘違いしているのか!? 分かりませんが、こうしたお金の勉強もこれから必要になりますね。

 仕事体験を通じて、あいさつや接客、お金を稼ぐよろこびなど、いろんなことが身につくキッザニア。今度行った時にはぜひ、カーデザイナーを体験してもらいたいなと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。