まるも亜希子の「寄り道日和」
第8世代の新型「ゴルフ」が日本デビュー
2021年6月17日 00:00
2020年から「ヤリス」「フィット」「ノート」の国産コンパクト新御三家、輸入車勢では「208」や「ルーテシア」とフルモデルチェンジが続いて、1台たりともハズれがなく、個性的な実力派ばかりが登場するという、20年に一度とも言える”コンパクトカー大豊作”状態となっている今。
試乗記を書かせていただくたびに、どれもベタ褒めになってしまうので、もし自分が読者だったら「ほんとなの? どこもわるいとこないの?」と疑いたくなると思うんですが、仕方ありません。重箱の隅をつつく程度の弱点しか見当たらず、そんなのデザインやインテリアや、走りの楽しさでまったく気にならなくなるほどなのです。
そこへきて、ついに6月15日、日本で第8世代となる新型「ゴルフ」がデビューしましたね。1974年の初代登場から、世界中のコンパクトカーがベンチマークとしてきた超優等生。今回はどんなモデルになっているのか、興味津々でひと足早く試乗してきました。
ゴルフのフロントマスクというと、丸目が仕込んであるつぶらな瞳のようなヘッドライトのイメージが強かったのですが、新型は最新のLEDテクノロジーをふんだんに盛り込んだ、薄型のヘッドライトです。先進的というか、すごくクールで知的な表情になったなと感じましたが、皆さんはいかがですか?
そしていちばん驚いたのは、インテリアです。完全にデジタル化されたハイエンドコックピットが搭載されたと聞いていたのですが、いったい何がどうなったのかさっぱりイメージできず(笑)。でも実際に乗り込んでみて、説明を聞きながら試してみて、これは新しいと納得しました。
まず、ピアノブラックのパネルが運転席からセンターパネルまでを覆い、必要最小限の表示のみというシンプルさ。操作方法も今までとはまったく違って、例えば指1本で触れてスライドさせるとオーディオのボリュームが調整でき、2本指でスライドすると地図の縮尺が変えられるとか、空調なら指1本でタップすると0.5℃ずつ温度設定が変わり、スライドすると一気に調整できるという具合。この「タッチスライサー」という新感覚のエルゴノミクスは、何も知らずに乗り込んだ人にはちょっとわかりにくいのですが、オーナーになって慣れてきたら、果たして使いやすいものなのかどうなのか、とても気になります。
しかも、10年間無償でオンラインベースの機能とサービスが受けられる「We Connect」が標準装備というのも、かなり今どき感が強いですよね。多くの輸入コンパクトカーがスマートフォンとの連携で外界とつながる機能を提供する方向なのに対して、フォルクスワーゲンは独自のサービスを構築し、今後継続的に拡大していくとのこと。トヨタの「T-Connect」など国産メーカーのコネクテッドサービスはかなり進化していますが、それと比べてどうなのかもチェックしたいところです。
さて、肝心の走りの方はどうだったのか。直列3気筒1.0リッターターボの「eTSI Active」と直列4気筒1.5リッターターボの「eTSI Style」「eTSI R-Line」と3タイプに試乗して、これがどれも甲乙つけがたいほど美味だったのです。フォルクスワーゲン初の48Vマイルドハイブリッド搭載ということで、これまでのようにリニアで丁寧な走りのよさがスポイルされたりしてないかな? と少し心配もありながら試乗したのですが、なんのなんのまったくの取り越し苦労に終わりました。
とくに、御殿場で試乗した時のこと。朝から雨が強く、あわや試乗会そのものが中止になりそうな暴風雨となってしまったのです。そんな中、注意しながら高速道路を走ってみたのですが、風も雨もゴルフの周りだけ小雨になったのかなと思うくらい、室内がとてつもない静かさに包まれてビックリ。フロントガラスに当たる雨粒の音くらいで、路面のノイズも風切り音もしっかり抑えられていたことに、心から感心してしまいました。それが1.0リッターモデルでも感じられたのが、さすがゴルフです。
ファミリーユースで、遠出も頻繁にするならオススメはeTSI Style。そこから約5万円アップで専用シートや足まわりが手に入るeTSI R-Lineも、少し乗り味は硬いですが楽しい1台です。でもコスパ重視ならイチオシはeTSI Activeかなぁと、ついついカタログを眺めて妄想してしまう私でした。
新型ゴルフが気になっている皆さん、掛け値なしでドーンと背中を押しちゃいます!