まるも亜希子の「寄り道日和」

“ユルさ”も魅力の「コンパス」に試乗

外観の変更点は控えめなので、間違い探し状態かもしれませんが、ビッグマイナーチェンジでインテリアと装備がグッとモダンに盛り盛りになった、ジープ・コンパス。グレードは「Sport」346万円(10万円アップ)、「Longitude」385万円(2万円アップ)、「Limited」435万円(1万円アップ)となる3つです。試乗したのは「Limited」で、レザーシートにシートヒーター、ステアリングヒーターなど至れり尽くせりの快適装備。ハイテクかつ上質なコンパクトSUVになっていました

 昔から大好きで、一生に一度は愛車にしてみたいと想い続けているジープのSUVたち。今回、ビッグマイナーチェンジを受けた「コンパス」に試乗することができました。日本のユーザーの平均年齢が42歳と、同カテゴリーのSUV購入者平均年齢より9歳も若いデータが出ているというコンパス。なぜそんなに若者の心をつかむのか? とても気になっている1台でもあるのです。

 遠くから見た印象では、LEDヘッドライトが標準装備となって眼光鋭くなったのは感じましたが、外観からはそんなに変わっていないような? と思いきや!

 ドアを開けてビックリです。インテリアはガラリと大変身。センターディスプレイが10.1インチの大型画面になり、メーターは10.25インチのフルデジタルへと進化。センターコンソールやドアパネルも刷新されていて、スッキリと洗練された未来的な空間になっているではないですか。もちろん、スマホとの連携が可能で、地図も音楽も使い慣れたものがそのまま使えるというのが、若い世代には喜ばれるのでしょうね。

 試乗したのはトップグレードの「Limited」で、3つあるグレードで唯一の4WDモデル。直列4気筒 2.4リッターエンジンのパワフルな加速フィールと、重厚感がほどよい乗り味が印象的だったのですが、実はものすごく進化したところは試乗ではなかなか試すことができない、安全&運転支援システムの部分なのです。

 例えば、フロントのカメラが道路標識を読み取って、必要に応じてドライバーに通告したり、自動的に法定速度を認知して速度を制御してくれる「インテリジェント・スピード・アシスト」など、普段の街乗りでもしっかりサポートしてくれる機能。そして、ドライバーの注意力低下や無反応を検知して警報を発してくれる「ドライバー・アテンション・アラート」や、ジープ初搭載となったのが、従来の車線逸脱警報に加えて死角にいる並走車との衝突回避を図るステアリング自動補正機能「アクティブ・レーン・マネジメントシステム」。これは全グレードに標準装備というから太っ腹です。

バックで車庫入れする際や、狭い道をギリギリで曲がる時などにすごく見やすかったのが、「Limited」に標準装備のサラウンドビュー・カメラ。大きなタッチスクリーンに映し出されて、画像も鮮明でした。これ、他グレードにもオプション設定されたらいいなと思います

 しかもこんなに装備が充実したのに、価格はわずか1万円~10万円のアップにとどめているというのが、信じられないくらい良心的だなと感心してしまいました。

 でも、ここまで読んで「なんか優等生になっちゃったね」なんてガッカリした皆さん、ご安心ください。試乗も終盤に差し掛かったところで、偶然見つけたのです。これからオーナーになる人たちの楽しみを奪いたくないので、写真は出しませんが、コンパスのどこかにいるんです、ニョロニョロとユーモラスな「へび」が。

 これを見つけたときに、思わずニヤニヤしてしまいました。そして思ったんですね。コンパスが若い世代にウケるのは、この遊び心、このユーモアがあるからこそかなと。カッコよくて高性能なだけじゃなくて、クルマも人も、やっぱりちょっとどこかに“ユルさ”があったほうが魅力的なのかもしれないですね。新しいコンパス、オススメです。

さすがの使いやすさに感心したのは、このラゲッジ&シートアレンジ。後席が4:2:4分割で倒せるのは「Limited」のみで、「Sport」と「Longitude」は6:4分割になりますが、きれいにフラットなスペースとなるので荷物を積むのはもちろん、車中泊にもいいですね。バックゲートやポケットなど、あちこちに可愛いアイコンが隠れているので「ほっこり」しちゃいました。ぜひ見つけてみてくださいね
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。