まるも亜希子の「寄り道日和」
フィアット初のバッテリEV「500e」に乗ってきました
2022年4月14日 00:00
「ルパンのクルマが電気自動車になった!」とTVニュースでも報道されたという、フィアット初の電気自動車「500e」に乗ってきました。コンセプトカーを見た時からすごく気になって、楽しみにしていた1台。そのコンセプトカーで一番の驚きだった「観音開きドア」を採用したモデルは、残念ながら日本導入されなかったんですが、それでも、ガソリンモデルの500とはパッと見た印象がまったく同じなのに、よく見ると何から何まで違うデザインに、のっけからグイグイと惹きつけられました。
そしてさすが、愛とバカンスの国のクルマだなぁと感じるのが、屋根が電動で開閉するカブリオレもラインアップしているところ。眺めているだけで、ほっこりとした気持ちにさせてくれるEVというのは、三菱自動車のアイミーブ以来かもしれないですね。
試乗してみてまず感じたのは、初心者でも運転が苦手な人でも、最初からなめらかに走らせることができるようになったということです。というのは、ガソリンモデルの500を運転したことがある人なら、あの独特のトランスミッション「デュアロジック」の操作感に少なからず驚き、スムーズに走らせるにはどうすればいいのか、四苦八苦したのではないかと思うのです。
でも500eには3つの走行モードがあり、スイッチで切り替えられるようになっていて、NORMALにすれば何の苦労もなく、自然になめらかな加速フィールが得られます。118PS/220Nmとパワーも十分なので、坂道でも追い越し加速でも余裕たっぷりで、これぞモータードライブならではの美点ですね。
ただ、私のようにデュアロジックをだんだん上手に操れるようになっていく楽しさや、長く走るほどに500と気持ちが通じて一体感が出てくる歓びに魅力を感じていたような人にとっては、500eのNORMALモードはちょっと退屈というか、快適すぎて500っぽくないなぁ、なんて思ってしまうかもしれないんですね。そんな時は、走行モードをRANGEに切り替えると、アクセル操作だけで加速・減速・停止までできるようになり、かなりメリハリのある走りに。うまく走らせるにはそれなりにコツもいるので、これならガソリンモデルの時のような操る楽しさも感じられるなぁと思いました。
あともう1つ、SHERPAというモードがあるのですが、これはいわゆる「省電力モード」。スイッチでこのモードに切り替えると、エアコンは強制的にオフにされ、速度も80km/hまでしか出せないようになってしまいます(80km/h以上で走行中に切り替えた場合は速度制限なし)。ネーミングのシェルパには、エベレストなどの登山者を頂上まで導く案内人という意味もあり、最小限の荷物を背負って超人的な体力で登頂するイメージと、電気を最も効率よく使って目的地まで到達できるようにするイメージが重なりますよね(笑)。最大で335km(WLTCモード)という航続距離は、このSHERPAモードを駆使すると達成できる可能性が高くなるのかなと思います。
1つ惜しいところは、500eは200Vの普通充電のほかにチャデモ方式の急速充電にも対応しているのですが、充電口は1つのみ。チャデモを使う際には、専用の充電アダプターを差し込む必要があり、そのアダプターがけっこう大きくて重いのです。まだプロトタイプだったので写真撮影ができなかったのですが、だいたいイメージとしては、小さめのトランペットくらいな感じでしょうか。500eのサイズとデザイン的な理由で、普通充電と急速充電の2つの充電口をつけるのが難しかったそうなんですね。なので、自宅などの普通充電をメインで使う人にオススメかなと思います。
とはいえ、フィアットが作るとEVもこんなに愛嬌があって、見ているだけで楽しいクルマになるのだなぁと、感心させられた1日でした。