まるも亜希子の「寄り道日和」

ルノーのハイブリッド三兄弟に興味津々

ルノーのハイブリッド三兄弟、次男はキャプチャーE-TECH HYBRID。デザインは既存のガソリンモデルとほとんど変わりませんが、走りは別人級。ステアリングヒーターや8色のアンビエントライトなど、贅沢な装備が標準です。燃費はアルカナと同等で、価格は374万円〜となっています

 輸入車で唯一、フルハイブリッドとなるE-TECH HYBRIDの日本導入をスタートしたルノーのハイブリッド3兄弟が出揃いました! まず長男はミドルSUVでブランニューモデルとなるアルカナ。次男は本日情報解禁ホヤホヤの、コンパクトSUVのキャプチャーE-TECH HYBRID。そして末っ子が、コンパクトカーのルーテシアE-TECH HYBRIDです。

 もともと私はハイブリッド車を愛車として10年以上乗ってきたこともあり、電動化車両が大好き。そしてハイブリッド車は、日本が世界に誇れる希望の星であり、まさか欧州ブランドからガチライバルとなるフルハイブリッドが出てくるとは……思いがけない展開で興味津々だったのです。

 この3台に搭載されているハイブリッドシステムは、ルノーが欧州で販売してきた小型EV、「ZOE」で得た10年以上にわたる知見を活かしつつ、F1で培った技術を量産車にフィードバックして開発された独創的なもの。とくに、一般的なトランスミッションで必要とされるクラッチやシンクロナイザーを省いたことで、小型・軽量化し、なおかつダイレクトにギアの歯を噛み合わせることができる、「ドッグクラッチマルチモードAT」を採用しているところが特徴です。基本的に搭載されるシステムは3台とも共通なので、車両が変わったとしても乗り味はそれほど変わらないのかな、なんて思っていました。

末っ子のルーテシアE-TECH HYBRIDは、コンパクトカーに乗っていることを忘れてしまうような、プレミアムな乗り味にびっくり。燃費は輸入車ナンバーワンとなる25.2km/L(WLTCモード)と超優秀。価格は329万円〜です

 ところが! 私が感じたのは3台それぞれまったく異なるフィーリングでした。まず末っ子のルーテシアE-TECH HYBRIDは、ガソリンモデルと同じ日に同じコースで試乗したのですが、まるでルーテシアじゃなくて車格が1つ上のメガーヌに乗り換えたかと思うような、プレミアム感とガッシリと剛性の高い安定感、あり余るほどのパワーが全域で続くなめらかで上質な走りにビックリ。ガソリンモデルのルーテシアは、もちろん安定感や剛性感もしっかりあるのですが、それ以上に自分の手足と同化したかのように、遅れなく返ってくるレスポンスのよさ、ヒュンヒュンと軽快に吹け上がるエンジン、キビキビと小気味いいハンドリングが本当に気持ちのいい1台。それと同じ車名とは思えないほど、大人っぽく洗練された走りに感じたのがルーテシアE-TECH HYBRIDだったのです。

 そして、その真逆の印象を受けたのは、キャプチャーでした。ガソリンモデルのキャプチャーに初めて乗った時には、重厚で上質になった走りに感銘を受け、とくに高速道路でのしっとりと安定したクルージングを絶賛。それがキャプチャーE-TECH HYBRIDに乗ってみると、それよりも強く印象づけられたのが発進直後からの驚くほどの軽やかさ。なんの引っかかりもなく、どこまでも伸びやかな加速フィールが続くのが本当に爽快で、どうしてこんなにも違うのだろうと不思議に思うほどでした。キャプチャーE-TECH HYBRIDの試乗レポートもアップされているので、気になる方はぜひ。

 そしてアルカナはといえば、ちょうど2台の真ん中をとったような、ほどよい軽やかさとパワフルさ、なめらかで上質な加速フィールがバランスよく感じられる印象。何よりデザインやカラー使いがオシャレでカッコよくて、ほかにない世界観が新鮮でした。

E-TECH HYBRID三兄弟の長男となる、ルノー・アルカナ。この後ろ斜め45度からのセクシーなデザインがたまりません。鮮やかなオレンジのカラー「オランジュ バレンシアM」もインパクト大ですね。燃費は22.8km/L(WLTCモード)で輸入車SUVナンバーワン。価格は429万円〜です

 現在、ハイブリッド車を手放してクリーンディーゼルエンジン車が愛車なのですが……、またハイブリッドに乗りたくなって困っています(笑)。自宅周辺の道が狭いので、私がもし買うとしたらキャプチャーかな。後席が前後に16cmのスライドができて便利だし、荷室容量もクラストップレベルの大きさなので、ファミリーにもおすすめです。日本のハイブリッド車がどうも好きになれない、という人にもぜひ体験してみてほしいです。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。