まるも亜希子の「寄り道日和」
はるばる北海道で新型フェアレディZを体験しました
2022年7月28日 00:00
実車を見ずに、カタログだけで注文したのは初めてだったのだと、ディーラーを出た後に夫から聞かされて「え〜っ!」と絶句した私。てっきり、仕事でこっそりプロトタイプにでも乗って、気に入ったから購入を決意したのだとばっかり思っていたのに〜! まったく、ネットでパーツを買うのとはケタがちがうんだぞッ。とツッコミたくなりましたよね。
納車はだいぶ先になりそうな感じなので、これはもう日産の開発チームのみなさんを信じて待つしかない、と腹をくくっていたのですが、なんと、北海道のテストコースで新型フェアレディZを試乗する機会をいただき、ドキドキしながら出かけてきたのです。数時間後に私たちは笑っているのか、後悔しているのか。緊張の瞬間がやってきます。
すでに夫の試乗記はアップされていますが、私がどうしても確認したかったのは「デザイン」と「乗り心地」。この2つです。というのも、正直なところ写真で見た新型Zのデザインには、私としてはあまり響いていなかったこと。スポーツカーはカッコよくないとダメだし、50年以上の歴史を背負っている証をどこかで感じさせてほしいと思っていました。だから、開発チームの皆さんに直接、新型Zのデザインに込められた想いをうかがいたかったのです。
そして乗り心地は、レーシングカーとしてサーキットを走るためだけに存在するマシンならいざ知らず、公道を速く気持ちよく走るためのスポーツカーならば、乗り心地がよくなければ本当に満足できるドライブにはならないと信じているからです。運転席だけでなく助手席もある以上、同乗者も楽しめる乗り心地であるべきだと思うのです。
久しぶりに訪れたテストコースでは、イエロー、ブルー、グレーにバーガンディーと、たくさんの新型Zが出迎えてくれました。まずは、デザインからうかがいます。1969年にクーペとなったS30から数えて、7代目となるのが新型Z。フェアレディZという名前は、ミュージカルの「マイ・フェア・レディ」に由来しているということで、これまでどこか女性らしい抑揚のある美しさがボディラインなどから感じられたのですが、それが写真で見た新型Zのデザインからはあまり感じられなかったことが、私には引っかかっていたところでした。
でも、デザインに込められた想いをうかがっていくと、来る日も来る日も、後ろ斜め45度の位置に椅子を置いて陣取り、カッコよく見えるかどうかだけを議論し続けたという、相当なこだわりを実感。ちょっとこれまでとは毛色が違うように見えたヘッドライトのデザインは、S30が点灯したときに反射して見えるアイラインがモチーフになっていると聞き、よくよく見るとなるほど! テールランプにも、2段に並んだ長方形のS30のモチーフが、LEDで再現されていると聞いて感心してしまいました。
そして、そこまでするならば、フロントグリルにもS30みたいに中央を通る横棒を一本入れてよ、と思う人も多いと思うのですが、こればっかりは「できるものならそうしたかったけど、この横棒が一本入るだけで冷えないから、どうしようもなかった」とのこと。こうして1つ1つ、各部のデザインに込められた意味や想いを知ってあらためて新型Zを眺めてみると、すべてがストンと納得できて、素直にカッコいいと思えるようになりました。
続いて、乗り心地です。テストコースの路面はザラザラしたりゴツゴツしたり、一般道でありがちないろんな状態が再現されているのですが、まず感心したのは接地感の高さとロードノイズの少なさ。直進では軽やかに転がっていくような感覚で、カーブに入ると吸い付くような感じになって、プレゼンの時にブランドアンバサダーの田村宏志さんが、「Zはダンスパートナーです」と言っていた通りだなと実感。路面からのインフォメーションは伝わってきつつ、不快な突き上げや微振動が抑えられており、乗り心地のよさにホッとひと安心です。
しかも、STグレードのシートは、運転席と助手席の座面の両端の硬さを変えているというのでビックリ。降りてからクッションを触ってみると、本当に運転席の左右は硬く、助手席はふっくらと柔らかい感触でした。「助手席の方が快適に乗ってもらえるように」との心遣いがうれしいところですね。
もちろん、市街地、高速道路、山道を想定したコースのどれも楽しくて、「もっと乗りたいなぁ」と思いつつ試乗時間が終了。MTとATの両方に試乗した中で、偶然にも、いちばん気に入ったMTモデルのSTグレードは、わが家が注文した仕様そのもの。心底ホッとしたことを日産の皆さんに伝えると、逆に皆さんからも「安心しました〜」と笑顔が返ってきました。「やっぱり買うのやめる」と言われたらどうしようと、ひそかに心配だったらしいです(笑)。そりゃそうですよね。
というわけで、ほかにも、新開発したタイヤの内側にスポンジの吸音材を入れており、その入れ方がBS、ヨコハマでちょっと違うことに驚いたりと、注目ポイント盛りだくさんの新型Z。ひとまず、はるばる北海道まで行った甲斐があり、納車を待つ楽しみが倍増した私たちでした。