まるも亜希子の「寄り道日和」
新型「プリウス」のこだわりポイントあれこれ
2023年3月2日 00:00
当初はもう、「タクシー専用車にしてもいいんじゃないか?」という議論まで出たという、新型プリウス。世界に先駆けて登場し、ハイブリッドをここまで普及させた立役者として、これからも普及最優先にするという考え方で、それはそれで一理あるかもしれないですね。でも、「やっぱりお客さまに“愛車”として選ばれるクルマでありたい」という開発チームの強い想いによって、新時代のプリウスが誕生したというわけです。知人がディーラーに見にいったところ、すでに受注は2年半待ち? という話も聞こえてくるほどの人気で、開発チームの皆さんもきっと喜んでいるでしょうね。
そんな新型プリウスの概要や試乗インプレッションについては、すでにたくさん記事が出ているのでここでは割愛させていただくとして、私が取材した時に「そこまでするか!」というくらい、心に響いた開発チームのこだわりポイントをご紹介したいと思います。
1つ目は、“愛車”として選ばれるにはまず「乗りたい」と思わせることが大事だということで、デザインへのこだわりがものすごいのですが、中でも驚いたのは、パノラマルーフが装着されているモデルに関してのみ、なんとその中央についているシャークフィンアンテナが、ルーフ一体成形になっているというではないですか。つい、「その方が都合がいいんですか?」なんて聞いてしまうと、「いえ、単にその方が見栄えが良くなるので、こだわりました」とのお答え。確かに、パノラマルーフではない通常のルーフのモデルのアンテナは後付け感がちょっとわかるので、並べて見比べると一体成形の方が高級感がアップしています。そこまでするか……ですよね?
2つ目は、同じくデザインへのこだわりの中で、リアのドアノブをCピラー近くにブラックアウトして配置しているんですが、最初は「ああ、C-HRと同じやつね」と思ったのです。でもよくよく聞けば、縦型のドアノブは開けにくいというお客さまの声があるということで、バックドアと同じようなカチッと一発で開けられるスイッチ式を採用しているというのです。確かに、指先に力を入れなくてもすぐに開けられて、すごく便利。これにも感心してしまいました。
そして3つ目。これはバックドアを開けた時に、ふと目に入ると思うのですが、新型プリウスを開発するにあたっての強い想い、「ハイブリッドをもう一度生まれ変わらせる」を意味する言葉、「HYBRID REBORN」のロゴが、ちょうどテールランプの横、バックドアで隠れる部分に刻まれていました。最近なかなか、こうしたメッセージ的な文字が車体に刻まれているのを見た記憶がないので、よけいに心に響いてしまいました。
そんなわけで、こういう開発者の想いが見えるようなポイントを知ると、より一層そのクルマが好きになりますよね。街中ではまだリースかレンタカーかな? というような白い新型プリウスを2台ほど見かけたくらいですが、これから徐々に、愛車として生きる姿を見るようになるのが楽しみなクルマです。