まるも亜希子の「寄り道日和」

愛知県刈谷市のアイシン本社で発見したもの

愛知県刈谷市にあるアイシン本社隣接の「コムセンター」に入ると、左手にちょっと目立つ人の姿が(笑)。こちらは2022年1月にアイシン広報アンバサダー(見習い)として任命され、認知拡大のために活動している「タツヲ」さん。アイシンがサポートしているプロバスケットボールチーム「シーホース三河」所属のタレントさんだそうで、背番号は三河にちなんで「111」をつけています。私も小・中とバスケ部出身なので、親近感が湧きました

 クルマに欠かせない、さまざまな技術を日々生み出し、提供しているグローバルサプライヤーといえば、アイシン。クルマ好きの私たちにとっては、トランスミッションをはじめとするパワートレーンがまず思い浮かぶかと思いますが、実は走行安全や車体、快適装備にいたるまで、やってないところはないんじゃないかというくらい、多岐にわたる製品たちが揃っています。2021年のデータでは、自動車部品サプライヤー売上収益で世界ランキング第5位! 研究開発拠点は日本だけでなく欧州、アジア、北米、南米にもあり(2022年9月現在)、世界中のあらゆるニーズに応える体制が整っていることがわかります。

 そんなアイシンの本社は愛知県刈谷市にあるのですが、今回初めてお邪魔して来ちゃいました! 本来の目的はまたおいおい発表させていただけると思いますが、その本社社屋に隣接している「com-center(コムセンター)」なる施設。ここにも初めてお邪魔したら、なんと誰でも無料で見学できる、ものすごい歴史と技術と発見が凝縮された場所になっていてびっくりしたんです。

 しかも、クルマだけじゃなくて、私たちの生活を彩るあんなモノまで!? と、アイシンの守備範囲の広さにア然。ちょっとここでご紹介したいと思います。施設は1階と2階の2フロアにわたっていて、5つのゾーンに分かれています。

 入口を入ると、まずコーポレートゾーンからスタート。「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」というテーマを掲げ、世界中で挑み続けるアイシンの製品をはじめ、アイシングループ概要や企業活動が紹介されています。デーンと置かれている骨格だけの車両にはさまざまな製品が装着されていて、格納式ドアハンドルや、ミニバンについていて便利だなぁと思っていたユニバーサルサイドステップといった、私が注目していた技術もアイシンのものだったんだなぁと、今さらながら感心してしまいました。

ヒストリーゾーンに並ぶ名車たちにテンションアップ! 1965年の設立当初から、すでに日本を背負って立つクルマたちにアイシンの技術が注がれていたことがわかります。カローラとヨタハチはナンバー付きで動態保存なのもすごいですね

 そして続くヒストリーゾーンでは、50代以上の人なら思わず「懐かしい〜!」と駆け寄ってしまいそうな名車が並んでいます。今見ても素敵で、どこか愛くるしい「ヨタハチ」ことトヨタ・スポーツ800や、初代カローラ、トヨペット・コロナ。その先はアイシン創業の頃からの歴史がズラリと展開されていて、初期のころの部品からだんだん進化していく過程を見ることができるのですが、解説を読んでいくうちに、「あ〜、この部品がさっきのカローラについていたのね」なんてつながっていくのが面白いところです。1つ1つ見ていたら、あっという間に時間が過ぎてしまい、ここから私はちょっと駆け足での見学になってしまいました(笑)。なので、もし行く場合には時間をたっぷりとってお出かけくださいね。

 で、自動車部品では「自動車用ファクシミリ」という製品があったことに驚いたり、ミシンや編機、シャワートイレやペット用保温保冷マットなどなど、暮らしのさまざまなシーンでもアシインに支えられてきたことに感心しきり。実は、入口の正面には「エネルギー・住生活ゾーン」があって、エネファームなど水素エネルギーを活用した快適な暮らしのモデルルームがありました。未来のホームエネルギー、とっても気になります。

ヒストリーゾーンでものすごくビックリしたものの1つに、「自動車用ファクシミリ」がありました。セルシオなどの高級セダン向けだったそうなので、移動中にもFAXで書類などをやり取りしていたのでしょうか。高度成長期のエグゼクティブたちの多忙さが伝わってくるようです

 2階へと上がると、そこは「プロダクツゾーン」。車体、パワートレーン、アフターマーケットといったカテゴリーごとにたくさんの展示があり、カーボンニュートラル・電動化のコーナーではまさに今、引っ張りだこの技術の多さに目を見張ります。その技術の仕組みや、どんな特徴があるのかといった解説もしっかりあるので、もっとじっくりお勉強したいという人にもピッタリです。

 で、絶対に見てほしいのが、プロジェクションマッピングシアター。7台のプロジェクターを使って実物大のクルマ模型が3Dで目の前に現れ、テンション上がること間違いナシ。子どもも喜びそうなので、夏休みのお出かけにもよいかも? なんたって、見学無料という太っ腹ですからね(笑)。

 さらに、お肌や髪の乾燥などに悩んでいる人に、ぜひ見ていただきたいものもあるんです。それが、世界初・世界最小の水として私たちの健康・美容にものすごい可能性を感じさせてくれる、「AIR(アイル)」という技術。通常のスチーム粒子の1/1000程度という微細な水粒子で、わが家がシャワーヘッドに導入しているRefaのファインバブルよりももっと小さいというではないですか! お肌や髪に長く潤いを与えることができるという美容面での効果はもちろん、これから薬剤の浸透を助けるなどの医療、殺菌や非常用給水といった衛生、そして食品保存などのさまざまな分野での活用が期待されているそう。

 まだ一般販売はされておらず、一部の美容院などに試験的にリースで使われているという、この「AIR(アイル)」。私のあまりの食いつきぶりに押されたのでしょう(笑)、なんと今回特別に体験させてもらえることになりました!

水の可能性を無限に広げるアイシンの新規事業、「AIR(アイル)」の技術を体験させてもらいました。通常のスチーム粒子がクジラとすると、AIRは体長4cmの金魚くらいの小ささだというからすごい! 今回は髪に浴びてみましたが、手触りがスルスルとしてきたような? 回数を重ねるごとに違いがわかるようになるそうです。お肌に浴びるとふっくらとしてキメが整ってくるというから、今度はぜひお肌に浴びてみたい!

 見た目は、美容院でパーマをかけるときに当てる機械のような感じで、私も髪に当ててみます。スイッチを入れると一瞬、ブルーに光るのが特徴的。でもその後、どんなに目を凝らしても小さすぎて見えない水粒子は、音もなく濡れるでもなく、熱くもなく冷たくもなくシュクシュクと降り注ぎ、一定の時間が経過すると自動でスイッチが切れるようになっています。なんというか、「美容にいいコトしてます感」というのがないのはちょっと物足りなく感じる人もいそうですが、一方で普通にしていても美容にいいコトができてしまうというのは、当てはまるシーンが多そうな気がするんですよね。例えば長時間移動する新幹線のシートの頭の部分にこれがあったら、移動しながらお肌も髪のウルウルになれるし、ディーラーの商談テーブルとかにあったらパパの付き添いでしぶしぶついてきたママも、ちょっと嬉しいんじゃないかなと思ったり。お部屋でのーんびり過ごしたい、リゾートホテルに置いてあってもいいかもしれないですね。

 というわけで、クルマだけじゃなくいろんな方向で無限の可能性を追求しているアイシン。あらためて、もっともっと知りたくなりました!

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。