まるも亜希子の「寄り道日和」

自転車を安全に乗るために必要なもの

これは娘が3歳から5歳まで着用していた自転車用ヘルメット。私が昔、レース用にBellのヘルメットを愛用していたことがあり、これを見つけた時に嬉しくなって即買いしたものです。欧州の安全基準をクリアしており、軽くて丈夫で、黄色のカラーが遠くからでも目立つことと、夜間にクルマのライトに反射するリフレクター塗装も入っているという、理想的なヘルメットでした

 わーい、ようやくヘルメットが届きました! といってもこれは四輪用ではなく、自転車用。娘には3歳のころからヘルメットを装着していたんですが、2023年4月1日から大人も自転車のヘルメット着用が努力義務になったので、これは私と夫がかぶるためのヘルメットです。

 気に入ったデザインのものがずっと売り切れ状態が続いていて、なかなか買えずにいたんですが、だいぶ品揃えは回復した模様。わが家には大人用の自転車は1台しかないので、夫と兼用でかぶれるように、サイズ調整が簡単にできて、男女どちらがかぶっても似合うようなカラーを選びました。もちろん、安全基準をクリアしている商品です。

現時点では、自転車用ヘルメットが着用義務となっても、とくに安全基準に適合したものでなければならない、という規定はないのですが、やはりそこはクリアしたものを着用したいですよね。日本の一般財団法人製品安全協会によるSGマーク、日本自転車競技連盟によるJCF公認および承認、EU加盟国による安全基準を満たすCE(自転車用はCE-EN1078)、アメリカ合衆国消費者製品安全委員会が定めるCPSCをクリアしているものの中から選びました。ただ、右の娘用に買ったヘルメットは、購入時には自転車用という表記があったのに、届いてみたらスケートボード用となっていてビックリ。残念ながら買い直しです

 警察庁によれば、2023年2月時点で自転車のヘルメット着用率を調査したところ、全国平均で約4%にとどまるという、驚くほど低い数字でしたね。私もついつい、前髪が潰れてしまうのがイヤで、「ちょっとそこまでだし……」とノーヘルメットで自転車に乗ってしまっていました。

 でもよくよく考えたら、もし事故に遭ってしまったときは、大人だろうが子どもだろうが、頭を守らなければならないのは同じこと。子どもにだけヘルメットをかぶせて、親はかぶらなくていいというのは、やっぱり説明がつかないよなぁと思い直しました。

 データとしても、警察庁の統計で過去5年間の自転車事故の死亡者のうち、約6割の1237人が頭部致命傷を負っていたとのことで、致死率はヘルメットを着けていた人に比べると、非着用の人の方が約2.2倍に跳ね上がるという結果が出ています。万が一の時に、ヘルメット着用の有無によって生死がわかれるというのであれば、これは着用するしかないでしょ、と思うわけです。

 で、努力義務化になってから、ヘルメット着用率は上がったのかどうか、気になるところですよね。埼玉県警の調査では、2月の調査の時には都道府県別で3.3%だったのが、5月に同じ場所、同じ時間帯で調査したところ5.8%にアップしたそうです。じわりじわり、というところでしょうか。

 実は私も、規模は小さいながらも地元で調査してみました。というのも、今年は娘の小学校のPTAで広報委員をやっていて、地域ニュースの記事として自転車のヘルメット着用率調査をしてみよう、ということになったのです。同じ委員のママたちと協力して、学区内で自転車に乗る子ども200人(自分で運転する子100人/大人に乗せてもらっている子100人)を地道にカウントしたところ、子ども自身が運転している場合には、ヘルメット着用が55人、非着用が45人。大人に乗せてもらっている子の場合には、着用が45人、非着用が55人という結果に。どちらも着用率50%前後となるのでまずまずかなとは思うものの、大人が乗せている小さな子の方が着用率が低いというのは、ちょっと残念というか、大人の安全意識の甘さのようなところを感じてしまいました。

 チャイルドシートと同じで、子どもがイヤがるから、つけてあげるのが面倒だから、お金をかけたくないから、といった事情がありそうな気がしますが、なにかあってからでは遅いというのも、チャイルドシートと同じなんですよね。さらに調査中、ヘルメットは持っているのに、カゴに入れっぱなしでかぶっていない子どもも数人見かけたので、うちの娘も玄関で見送った時にはかぶっていても、途中で外してたら意味がないなぁと、あらためてヘルメット着用の重要性を話しておきたいなと思ったのでした。

 これから暑い日が続くので、通気性などいろいろと気になるところのある自転車用ヘルメット。みんなで使って、使い心地の面でメーカーにフィードバックしていけば、安全かつ快適にどんどん進化していくのかもしれないですね。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。