まるも亜希子の「寄り道日和」
新型「スペーシア」で強く印象に残った「マルチユースフラップ」
2023年12月28日 00:00
いよいよ、2023年最後のコラムとなりました。長いトンネルのようだったコロナ禍から抜けだし、少しずつ日常を取り戻しながら走ってきた1年でしたよね。コロナ前に戻ったものもあれば、違う形態に変化したものもあり、苦い経験をしたことが学びとなって新しいものが生まれたり。それらをもう一度、自分になじませていくのが大変でもあり、面白くもあった1年だったなと思います。
自動車業界も、新たに登場したクルマには少なからず、コロナ禍の影響が反映されていると感じるモデルもありました。やっぱり大きいのは、当たり前にずっとあると思っていたもの、いつでもできると思っていたことが、突然そうではなくなるのだと思い知ったことで、今この時の幸せを存分に味わい尽くそう、思い立ったらすぐに行動に移そう、という気持ちに多くの人がシフトしたことでしょうか。
そして、ドライブに関していえば、車内で過ごす時間が増えたことで、もっと快適な車内を提供しようと試行錯誤し、新たな提案をした新型車がちらほらと見られたこと。その1台として強く印象に残っているのが、スズキの新型スペーシアです。鈴木猛介チーフエンジニアにいろいろとお話を伺ったところ、ライバルに対して新型スペーシアのウリはずばり、後席の快適性ですと断言。その言葉どおり、ほかでは見たことのない、3通りの役割で乗る人や使う人を快適にしてくれる「マルチユースフラップ」が新装備された後席はお見事だと思いました。
3通りとは、停車中にリラックスするためのオットマン、走行中に身体の揺れを抑えて安定させてくれるレッグサポート、座面に置いた荷物が滑り落ちるのを防ぐ落下防止ストッパー。私はとくに、荷物の落下防止ストッパーが自分の愛車にも欲しいくらい、響いてしまいました。
普段は急ブレーキを踏まないように気をつけて運転していますが、万が一の時にはやはり、踏まざるを得ないこともあります。そんな時に、座面に置いてあったバッグや買い物袋がザバーっと前に転がってしまったら大変。実は試乗中に、自分のバッグを後席に置いて、安全に配慮しながら何度か強めのブレーキを踏んでみたのですが、このストッパーがあるだけで落ちることがなかったので感心。きっとエンジニアの人たちは、さまざまな荷物で検証したのではないでしょうか。
また、新型スペーシアでは折りたたみ式のパーソナルテーブルも、後席の人が使いやすいようにリニューアル。なんと、タブレットを立てかけてもズリズリと倒れてこないように、ここにもストッパーがついているのです。カップホルダーの穴は不思議な形状だなぁと思っていたら、500mLの紙パック飲料から細いマイボトル、乳幼児用マグまで使えるように。娘がまだ小さいころは、出かけた先で停車し、後席で授乳したり離乳食をあげたりすることが多かったので、このテーブルはとってもいいなと思いました。これも、コロナ禍によって食べ物をテイクアウトして車内で食べたり、子供の習い事の待ち時間に大勢が集まる見学ルームにいるよりも、車内で過ごすことが多くなったりと、環境や考え方の変化によって、後席の重要性がアップしてきたことの表れでしょう。
さて、2024年はどんなことが起こり、どんなクルマが登場するのか。今から楽しみにしたいと思います。皆さま、1年おつきあいくださってありがとうございました! どうぞよいお年をお迎えくださいね。