まるも亜希子の「寄り道日和」

ホンダの「UNI-ONE」に試乗しました

ジャパンモビリティショーの「Tokyo Future Tour」というエリアで行われた、未来の街中の様子をストリートモブのような感じで演出していたショー。いろんなカタチのモビリティを、ひとりひとりがチョイスして乗りこなし、充実した毎日を送っているような未来を感じさせてくれました

 あけましておめでとうございます! 2024年がスタートしましたね。皆さまはどんな年末年始でしたでしょうか。わが家は新しい家族(犬)が増えて例年以上にドタバタでしたが、昨年末はコロナにかかって寝込んでいたので、それに比べたら順調なスタートです。

 占星術研究家の鏡リュウジさんによれば、2024年は星の動きによって「テクノロジーと人間性」のサインが読み取れるそうですね。そう聞いて、思い出したのがジャパンモビリティショーで見た、さまざまなパーソナルモビリティが街中で一堂に会し、それぞれの人を輝かせている光景。若い人もお年寄りも、荷物を運ぶ人も障害をもつ人も、みんなが自分に合ったカタチや機能をもったモビリティを乗りこなして、楽しそうにしているのです。

ホンダの次世代ハンズフリーモビリティとして、大きく進化したUNI-ONE。シンプルだけどどこか温かみのあるデザインはグッドデザイン賞を受賞しており、 街中はもちろんショッピングモールやテーマパーク、公園や病院など、いろんな場所に馴染むところがいいですね

 そんな光景が現実になった時に、間違いなく存在しているだろうなと思うホンダの次世代ハンズフリーモビリティ「UNI-ONE」に試乗することができました。これはモビリティショーのホンダブースで見て、乗ってみたいなと思っていたもの。実は2009年にU3-Xという、この元祖となるようなモビリティに試乗したことがあったので、10年以上の月日が流れてどのように進化したのか、ちがいを感じたかったという気持ちもありました。

2009年に試乗したU3-Xの試作機。惜しまれながら引退したASIMOのバランスをとる技術を応用して、人との調和を目指した新しいモビリティとして登場しました。ほんの数分で、同じくU3-Xに乗る人と手をつないでダンスをしている写真も残っていたので(笑)、手軽に乗りこなすことができるモビリティだったといえます

 まず見た目は、U3-Xが一輪車に近かったのに対して、UNI-ONEは背もたれのない椅子に近い印象に変化。座面に座るとアームレストのようなところにスマホが置かれ、それをタッチして起動させると、突如としてUNI-ONEがムクっと立ち上がります。これで、隣りに立っている人と同じような高さの目線になりました。

 エンジニアの方にお話を聞くと、U3-XもUNI-ONEも座りながら移動できるところは変わらないのですが、椅子のような形に変わったのは、U3-Xの時に最初に座ってバランスを取ることがちょっと難しく、車椅子からの乗り換えができなかったり、後ろにひっくり返ってしまうことがあったのだそう。そこで、車椅子からでも安全に座ることができ、なおかつ、歩いている人と同じ目線にすることで、一緒に歩きながらでも違和感なく会話が楽しめるように工夫したとのこと。

 UNI-ONEの動かし方はU3-Xの時と同じように、体重を前にかければ前進し、左右にかければその方向に曲がったり旋回することができ、体をまっすぐにして前後左右に体重をかけない状態だと、停止することができます。手も足も使わず、慣れてくれば意識して体重をかけようとしなくても、「右に行きたいな」と思うだけでスススーっと動いてくれるようになる、直感的な移動が可能に。

 UNI-0NEはいろんな場所で試乗イベントを行なっていて、3歳児から乗ることができるそうですが、年齢が若いほど「なんにも説明しなくても、すごくスムーズに乗りこなすのでこちらが驚いています」と言っていました。U3-Xよりもちょっと大きく、重くなったので気軽に持ち運ぶという感じではなくなりましたが、そのかわり2つの駆動輪と制御技術によって転倒を防ぎ、万が一の際は自動でローポジションに戻って安定させるのだそう。移動だけじゃなく、立ち仕事の現場に導入すればスタッフの負担を軽減することもできるし、長時間歩行が難しい人もこれなら一緒に遠くまで歩いていけます。現在、いくつかのテーマパークなどで警備員やスタッフの負担を軽減するために、導入が検討されているそうで、いろんな可能性が広がるモビリティだなと感じました。

このように、スカートやハイヒールを履いていても、安全にスムーズに移動できることを体感できました。両手が空いているので、バッグを持ったり膝の上にノートPCを置くこともできますね。誰かと並んで歩くこともできるし、手を繋いで引いてもらえば、それだけで何もしなくても一緒について移動することができるので、介護の現場などでも活躍しそうな気がしました。

 2024年は、こうした未来の可能性を感じさせてくれるモビリティにたくさん出会えたらいいなと、ワクワクしています。皆さまぜひ、今年もお付き合いのほどよろしくお願いいたします!

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。