まるも亜希子の「寄り道日和」

ポルシェが大好きになる「Porsche Kids Tech Class」に参加してみました

BEVであるタイカンだって、容赦なしのドリフトやローンチスタートなど、いろんなコースを同乗試乗で体感することができます。家族みんなでワイワイ乗れるのがいいところ

 今やポルシェ乗りたちから「聖地」と呼ばれ、日本全国から参加者がやってくるという、千葉県・木更津市のポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC Tokyo)。独身時代に968を愛車としていたことがある私にとっても憧れの場所で、以前、1人でプログラムを体験させてもらったときには夢のような時間を過ごすことができました。

 そんなPEC Tokyoではなんと! 子供と一緒にファミリーで楽しめるプログラム「Porsche Kids Tech Class」があるというではないですか〜。うちの娘はクルマやレースには慣れすぎてしまって、あまり興味がなくなっていたのですが、誘ってみると思春期手前で恥ずかしがりながらも「えっ? ポルシェ?」となんだかうれしそう(笑)。夫の橋本も行ってみたいと言うので、3人で参加させてもらいました。

 午後からスタートするプログラムは、たまたま同じ学年の女の子も参加しており、娘はまたまたうれしそう。私が以前もお世話になったインストラクターの岩岡万梨恵さんをはじめ、3名のインストラクターが出迎えてくれて、まずは自己紹介や簡単な座学から参加します。

 最初はちょっと緊張気味だった子供たちですが、インストラクターたちがフレンドリーな雰囲気で質問などをしてくれて、少しずつ緊張がほぐれていくのが分かります。座学といっても難しいものではなく、ポルシェの歴史や電気自動車の歴史、仕組みや特徴などを面白く分かりやすく学ばせてくれます。これには大人たちも、「ヘぇ〜。そうだったんだ」なんて、ちょっとマメ知識がインプットできて得した気分でした(笑)

同乗試乗でカイエンに乗り、とんでもないオフロードを走っていきます。娘は助手席でしっかりとグリップを握りしめ(笑)、「え〜っ、ここ走るの?」と大騒ぎ。いい体験になりました。

 続いて、お楽しみの試乗です。ファミリーごとに1台ずつ、インストラクターの運転で出かけていきます。タイカンでオンロード、カイエンでオフロードの同乗試乗ができ、娘が助手席で夫と私が後席に座ってみんなで体感できるのがいいところ。PEC Tokyoにはたくさんのコースがあり、今回タイカンではまず本コースをスポーツ走行したあと、ローンチスタートの爆発的な加速を試したり、ドリフトをしてくれたり、じゃぶじゃぶに濡れた路面での緊急回避を見せてもらったり。娘はタイカンの助手席でしきりに「静か〜」「乗り心地がいいね〜」と感心しておりました。

 さらに、カイエンに乗り換えてオフロードに行くと、娘の表情は一変! とんでもない急坂を上ったり下ったり、モーグルや丸太橋、巨大なシーソーのような障害物さえも、たくましく乗り越えていくタフなカイエン。娘は終始キャーキャーと、絶叫マシンにでも乗ってるのかと思うくらい大騒ぎしておりました。日常生活ではなかなか、こんな路面で乗る機会はやってこないので、とっても貴重な体験になったと思います。

 その後、ちょっと休憩したあとはポルシェ独自の急速充電器、ポルシェターボチャージャーを見学。実際に充電コードを引き出し、タイカンの充電口に差し込む体験もさせてもらって、充電口の開け方を試したり、充電コードが「けっこう重いんだね」なんてつぶやいてみたり。こういうことも、やはり実際にやってみないと分からないことですよね。

 そして次はみんなでメンテナンスガレージへ。さっき自分たちが乗った、タイカンとカイエンが並んでおり、交代で運転席に座って一方はシステムがONになっても静かで、もう一方はブオオオンと勇ましい音がする違いを体感。ボンネットを開けてみて、どんな違いがあるのかをクイズ形式で確かめていきます。タイカンのボンネットの下には、コードが何本あって、どんな役割をしているのか? なんてことは大人でもなかなか見る機会がないので、私たちも興味津々でのぞかせてもらっちゃいました。

ピットガレージの見学では、大人でもなかなか見られない、下まわりをしっかり解説してくれます。BEVとガソリン車の違いなど、とっても興味深かったです

 このあとさらに、2台をリフト機で持ち上げてくれて、下まわりを見る機会まで! エンジンの排気がどうやって送られていくか、といったところや、バッテリを保護するカバーなどなど、こちらでもかなり貴重なものを見ることができ、娘も印象深かったことと思います。

 座学と試乗のプログラムは、これで終了! 最後はインストラクターから1人ずつ修了証を受け取り、お土産までもらって大満足の子供たちでした。しかし、さらなるお楽しみがこのあとに待っています。PEC Tokyoが誇る、ポルシェを感じながら素晴らしい食事が楽しめる「レストラン906」で、家族そろってディナーがいただけるのです!

 何が素晴らしいって、まず自然豊かな立地でポルシェが走っている姿まで見ることができる、最高の景色。一流ホテルでキャリアを重ねたシェフが、地元・木更津をはじめ新鮮な食材を厳選して使用したメニューを振る舞ってくれます。このプログラムでは、子供が自分のペースでおいしくいただけるよう、小さなお皿でいろんな種類のメニューを出してもらえるのがうれしいですね。おかげで、好き嫌いが激しい娘も「おいしい!」を連発。盛り付けも美しいので、「食べちゃうのがもったいないよ〜」と言いながらも、お腹がパンパンになるまで堪能していました。

最後はお楽しみのディナー! レストラン906の絶景を眺めながら、素晴らしいお料理の数々をたっぷり堪能させてもらえて、娘も大満足でした

 パン用のバターが911の形をして出てきたり、ポルシェ好きの心をくすぐる演出もさすが。夫は乳製品アレルギーがあるので事前に相談したところ、快く対応してくださって本当にありがたかったです。娘は最高の体験とサービスに感銘を受けたらしく、「また来たい! 絶対来たい!」と名残惜しそうに帰路についたのでした。

 私もこれまで数々のこうした家族向けプログラムを見てきましたが、まず子供と保護者が一緒に同乗して体験できるのがいいですね。子供だけ同乗するプログラムは他にもたくさんあるのですが、それだと子供が驚いたり喜んだりしているところがリアルで見られず、クルマを降りたあとで「どうだった?」と聞いてもあんまり話してくれなかったりして、ちょっともったいないのです。子供がどこでどんな反応をしたかが分かれば、その後のコミュニケーションも盛り上がるんですよね。

 また座学でも、ポルシェのすごさやクルマの楽しさといったところを無理に押し付けようとせず、基本的な知識をさらりと面白く教えてくれるのがいいなと思いました。子供って意外とアマノジャクだったりするので、乗る前から「面白いよ」と言われると反発しがち。どう思うかは、体験した子供たちに委ねるというところは、ヨーロッパ的な教育の土壌があるからなのかな、と感じました。

 このPorsche Kids Tech Classは定期的に開催していて、次回は9月28日(土)です。小学校高学年以上の子供と保護者1名が基本料金4万1500円となっていて、保護者(同行者)1名につき1万1000円で追加可能となっています。個人的にはこれ、ぶっちゃけ「ディナー代だけでもと取れませんか?」と思うくらいの大サービス価格! 同乗試乗は身長140cm以上の子供が可能で、食事不要の子供同伴は無料です。

 もし、ポルシェ好きな人が自分の子供や大切な人にその想いを伝えたいなと思っているなら、このプログラムに参加するのがいちばん手っ取り早いと思います。それくらい、うちの娘もポルシェが大好きになって帰ってきました。ついでと言ったらナンですが、夫は自分で運転したくてウズウズしちゃってたので、すべてのクルマ好きの皆さんにぜひ、ファミリーで楽しんでほしいです!

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。