まるも亜希子の「寄り道日和」
ヒョンデのEV「インスター」
2025年6月19日 00:00
東京オートサロンで見たときから早く乗ってみたかったユニークなコンパクトEV、ヒョンデ「インスター」。5ナンバー規定いっぱいではなく、全長3830mm×全幅1610mmとひとまわり小さいボディサイズは、韓国版の軽自動車の規定に合わせてあるから。そこに、アイオニック5から継承するピクセルデザインという個性を吹き込まれ、どのクルマにも似ていない存在感を放っていると思います。
しかも、聞いてみるとこのインスターは今までのヒョンデEVの「集大成」となっているというように、技術や装備は最新のものを惜しげもなく投入。ボディが小さいから車格が下、装備は省く、という考え方ではなく、今できるすべてのことをインスターに注いでユーザーに届ける、という姿勢が素晴らしいなと感じました。
室内は、ゆったりと過ごしてほしいことからあえて4人乗りに。さすがにアイオニック5のように開放的なラウンジ感とまではいかないけれど、2580mmのロングホイールベースを活かしたスペースで、後席まで広く使えるようになっています。ただ、基本的には1〜2人で使うシーンが多いと想定しているのか、後席にドリンクホルダーやセンターアームレストがないのは残念なところ。私は1人で運転しているときでも、途中のSAなどで休憩するときには後席に移動して過ごすことが多いし、子供が小さいうちは付き添ったりお世話をしたりするために後席にいる時間が長いので、なんにもないとちょっと不便だなーと思いました。
それでも、シートアレンジが多彩なのは大きな魅力。前席・後席とも前後スライドとリクライニング、フルフォールディングが可能で、すべて倒すとフルフラットになるんです。寝転がるには、やや隙間や凹凸ができてしまうところもあり、身長165cmでギリギリかなーというところですが、クッションなどを活用すれば車中泊もできそうですね。
そして、感心したのは徹底して日本の道や運転事情に合わせたチューニングをしてきているところ。とくに、世界でも難関とされる首都高速道路での走行を何度もテストし、ナビと協調してカーブ手前で減速などをサポートしてくれるNSCCという機能も、安心して首都高を走れるように制御を最適化したのだとか。
試乗会場が横浜だったので、東京都心のごちゃごちゃとした区間までは走れなかったんですが、横浜エリアの首都高はスムーズに走ることができ、発進直後の加速が穏やかになっていたり、路面のギャップを超えたときの挙動も快適だったりと、確かに安心感の高い走り。フロントメンバーの追加でロードノイズを軽減し、サスペンションも30ほどの組み合わせを試して、日本専用にチューニングしてくれているのがありがたいところです。
また、急速充電は150kWの高性能な充電器にも対応しており、10%〜80%までの充電が30分ほどで完了するとのこと。外部給電とV2Lにも対応しています。コンパクトサイズなのにバッテリ容量が49kWhで458kmも走る実用性の高さと、最上位モデルで357万5000円(Lounge)という破格の値付けにもびっくり。あとは、オンライン販売がメインという中でどれだけ多くの人に実車を見てもらえるか、触れてもらえるかというところでしょうか。今後もインスターに注目していきたいと思います。




