まるも亜希子の「寄り道日和」

行ってきました大阪・関西万博2025

こちらもすごく楽しみにしていた、大屋根リング。ここからの夜景は夢のようでした。実際にのぼってみると、さらにもう一段上の通路があってびっくり。やっぱり行ってみないと分からないことも多いですね

 かなり弾丸ではありましたが、行ってきました大阪・関西万博2025! 当初はあまり興味がなかったのですが、やはり今ここでしか見られない未来のモビリティをこの目で見て体感してみたかったので、そこだけピンポイントで回れればいいかなーと、夕方17時から入場できるチケットで突撃。夢洲駅のホームから地上へとエスカレーターをのぼり、たくさんの国旗がはためくエントランスを目前にしたときは、「お〜、これが万博の雰囲気か」とちょっとワクワクしてきました。すでに帰る人たちも多かったので、「これはすいてるかも」と期待したのですが、やっぱり人気のあるパビリオンは大行列ですね〜。フランス館やアメリカ館など、2時間待ちの表示もちらほら見かけました。

 そんな中、真っ先に向かったのは大規模な実証実験が行われている万博会場内のEVシャトルバス「e-Mover」の停留所。レベル4の自動運転と走りながら給電するという最新のEVバスに乗ってみたかったんです。が……、事前のリサーチ不足で、自動運転はレベル4とレベル2が混在し、かつ手動運転のバスもあり、自動運転バスについては16時台で運行が終了……。私たちは残念ながら、運転士がしっかりハンドル操作とペダル操作を行うEVバスに乗車することになりました。ただ、ゆっくりとした速度でUSJ3個分もあるという会場の東ゲートから西ゲートまでをぐる〜りと、15分かけて移動してくれるので、最初に会場全体の様子をうかがうことができたのと、大屋根リングの下を通過する区間では異空間気分を味わえたのが、なかなかよかったです。

 そして終点の西ゲートでバスを降り、お隣フューチャーライフゾーンにある「未来の都市」パビリオンへ。ここは事前予約や当日予約が原則必要ですが、並んで入場することも可能で、このときは10分ほどの待ち時間で入れました。このパビリオンは「未来の発明」がテーマとなっていて、日立やKDDI、クボタなど13の企業がさまざまな未来への新たな技術やそれによって変わる暮らしの提案を見せてくれます。中でも私がいちばん見たかったのは、川崎重工業の「移動本能」を解き放つモビリティを具現化したという、「CORLEO」。カワサキのモーターサイクルとロボティクス技術を掛け合わせ、四つ足を自在に操ってどんな大地でも駆け抜けることができる、未来のライオンのようなパーソナルモビリティなんです。

人馬一体ならぬ、人獅子一体!? とワクワクさせてくれた、カワサキが提案する新感覚のオフロードパーソナルモビリティ「CORLEO」。マシンが常にライダーの挙動を感知して、ロボティクスによる4脚の悪路走破性と、モーターサイクルで培った操縦性・安定性を併せ持っているという、今いちばん乗ってみたいモビリティです。

 実物を見ると予想より大きく、これにまたがったら視点が高くて気持ちいいだろうなぁと感じました。もちろんここでは乗ることはできなかったのですが、動いている映像を見ることができ、草原や岩山、崖などを軽々とのぼり、ジャンプまでできる様子には心踊るものがありますね。人には「移動することによって幸せを感じる」といった仕組みが遺伝子レベルで組み込まれているという研究結果があり、まだ行ったことのない場所へ移動して幸せを感じると、脳内の記憶と意欲などに関わる領域が刺激され、パフォーマンスが上がることも判明しているのだとか。人からその移動本能を消さないためにも、今私たちにできることをやっていかなければと、あらためて気付かされました。

 同じパビリオンの中でもう1つ興味深かったのは、未来の“食と農業”をテーマとしたクボタの展示で、データを活用する無人自動運転を実現する汎用プラットフォームロボットの2台。やっぱり今、お米問題のこともあるので、農業の未来がどうなっていくのかすごく気になりますよね。作物の間隔や生育状況、作業内容に応じて車体の高さや幅などを変形することができ、農業はもちろん土木、建設業などの作業も無人で行える「Type:V」は世界初公開。もう1台は、4本の脚を柔軟に曲げ伸ばしすることで、果樹園などの傾斜地や凹凸のある地形でも機体を水平に保ちながら移動でき、収穫した作物の高精度な運搬が可能となるType:S。このType:Sは、Type:Vの後ろを追従走行することもできるんだそうですよ。

クボタの汎用プラットフォームロボット「Type:V」は世界初公開。お米をはじめ日本の農業の未来が心配な中、希望を与えてくれる完全無人の自動作業ロボットです

 クボタは1970年に開催された大阪万博で「夢のトラクタ」を展示したのですが、当時としては斬新だったコンセプトや機能が今では実用化されて当たり前になっているものも少なくないそう。だとすれば、この汎用プラットフォームロボットが普通に田んぼや畑にいる日が来るのも、そう遠くないのかもしれないなと思いました。

 あとは、空飛ぶクルマのデモ飛行が4月26日に発生した機体の一部損傷によって当面の間は運行休止となってしまいましたが、「空飛ぶクルマ ステーション」に行くと各社の機体が展示されていると聞いていたのでそちらへ。フルスケールのSkyDrive式SD-05型のモックアップがあり、予約すれば搭乗して記念撮影も可能です。私たちは自由見学で見てきましたが、本命だった丸紅の機体の模型は「調整中」との張り紙でお留守……残念。早くデモ飛行が再開できるといいですね。

開幕前から何かと話題の空飛ぶクルマ。来場者を乗せてのデモ飛行計画は頓挫し、アクシデントによってデモ飛行そのものも運休となってしまいましたが、ぜひ早く再開してほしいですね

 ここまで2時間くらいでざーっと回り、あとはライトアップされてとっても幻想的な大屋根リングにのぼってみたり、斬新なトイレの数々に驚いたり、でっかいミャクミャクの後ろ姿に萌えたりしつつ、最終の新幹線で帰京。もう少し時間があれば、万博グルメもなにか味わってみたかったところですが、お目当てのものと雰囲気は十分に楽しめました。

 気になったのは、会場内に休憩用のベンチはたくさんあったのですが、そのほとんどには屋根がなく、雨の日やかんかん照りの猛暑日などは「ちょっと一休み」できる場所が少ないのではというところ。晴雨兼用傘やハンディファン、帽子、ネッククーラーといった暑さ対策と、ちょっと広げて座れるようなマットやシート、簡易折りたたみイスのようなものを持参すると、待ち時間にも役立つかもしれないなぁと感じました。

 もし朝から1日たっぷり行かれるのであれば、ダイハツが提供している会場内来場者向けパーソナルモビリティの体験をぜひゲットしてください。当日の抽選なのですが、私たちが行ったときにはすでに抽選受付が終了していたのでそれだけが心残りなんです。詳しくは公式サイトの「未来社会ショーケース」内、「スマートモビリティ」のページをチェックしてくださいね。そんなわけで、超特急ではありましたが、ちょっとだけ未来へタイムスリップした気分になれた万博訪問でした。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。