まるも亜希子の「寄り道日和」

アウディの急速充電施設で新型「Q6 e-tron」の充電体験

2025年4月にオープンしたばかりの「Audi charging station厚木」に立ち寄ってみました。新型Q6 e-tronはデザインもすごくカッコよくて、焚き火のようにゆらゆらと揺れるように光るテールランプなど、たくさんの種類がMMIから選択できる「コミュニケーションライト」を搭載。街で見かけたらテールランプをチェックしてみたくなりますね。

 テールライトが焚き火みたいに揺れる? 停車中にハンドルでゲームができる? などなど先進技術に遊び心が注がれた機能も話題となっている、アウディの新型「Q6 e-tron」。2020年に最初の「e-tron」が日本にやってきたとき、私は長野県の白馬で開催された日本EVクラブ主催の「ジャパンEVラリー in 白馬2020」に参加するため、そのe-tronの試乗を兼ねて往復を走らせていただいたんです。

 加速フィールはとてもパワフルで速くて、SUVなのにスポーツカーのように爽快。デジタルミラーが装備されていて運転感覚も新鮮でしたが、当時はまだ受電能力が50kW、WLTCモードでの航続距離は335km。都心を出た時に満タンだったバッテリは、雨が降り出した中央道の上り坂でどんどん減っていき(笑)、これはダメだと諏訪湖SAで急速充電のためピットイン。でも充電器の方もおそらく20~30kWしか出力がなかったのでしょう、30分では80km走行分くらいしか充電が進まずかなりショックを受けたことを思い出します。

 それからまだたったの5年なんですが、新型Q6 e-tronは受電能力150kW(チャデモは135kWまで対応)、航続距離はWLTCモードで最大672kmにまで進化。新たに開発されたPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)を採用したこともあって、試乗してみるとガッシリとした剛性感と軽やかな上質感が見事に融合していて、路面からの入力にも硬さがほぼ感じられず落ち着いた乗り心地となっていることに感心しました。

新型Q6 e-tronの充電口はリアにあります。操作はスマホででき、充電中の進捗状況も手元で見ることができます。最大出力150kWの蓄電池型急速EV充電器を2基、4スロット完備で、同時に4台が充電可能とのこと

 しかも、「e-tron GT」から搭載している800Vのバッテリを左右400Vずつに分けながら冷却システムを行なうことで、常に効率のよいバッテリ温度を管理。充電中は40℃に上げ、走行中は25℃程度をキープするらしいのですが、それによって安定して135kWを受電することが可能となるそう。年々、各社ともこうしたバッテリ管理の技術ではしのぎを削ってきており、これまでBEVといえば「充電がね……」といちばんのネックに捉えられていたところが、どんどん改善されているなぁと感じます。

 アウディは日本でも、すべてのEVユーザーが利用できる、高出力の150kWを備えたプレミアム急速充電ステーションをオープンしており、現在は東京・紀尾井町、芝公園と神奈川・厚木で稼働。今回は新型Q6 e-tronで、新東名高速の厚木南ICからすぐの立地にある「Audi charging station厚木」に立ち寄ることができました。

 ディーラーが併設されているんですが、充電器はすでにBYDや日産のBEVが先客で利用されていたこともあって、開かれた雰囲気が伝わってきます。屋根があるので雨の日でも利用しやすいし、遠出をした帰り道などに少し余裕がほしいなぁというときにも利用してほしい「経由地充電の新拠点」という位置付けだそう。確かに、ロングドライブで疲れてるけど翌日も遠出をするから短時間でも充電しておきたい、なんてシーンはよくありますよね。しかもPower Xのソーラーパネルで発電しており、カーボンニュートラルで電気を用意してくれるところも理想的だと思いました。

 今回はゲスト利用だったので、スタッフの方のスマホで充電の受付からスタート、停止まで操作をしていただきましたが、どのくらい充電が進んでいるか手元のスマホで分かるし、支払いもスマホで完了。とてもスマートですよね。ただ、150kW充電器のコードはめっちゃ太くて重い……。止めるときになるべく充電器側に寄せることをオススメします。とはいえ、いよいよ高出力充電時代がやってくるのだなぁと実感した試乗・体験でした。

併設のAudi厚木の店舗内もきれいで広くてオシャレ!
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。