まるも亜希子の「寄り道日和」
ドライバーの熱対策に試行錯誤
2025年7月17日 00:00
2モーターハイブリッド「e:HEV」の走りを鍛えるプロジェクトは、次のチャレンジである9月開催の「もてぎEnjoy耐久レース Joy耐」に向けて、反省会と課題出しをするミーティングを行ない、7月から再びサーキットでの走行テストを開始しました。タイヤやブレーキパッドの選択も含めていろいろと課題はあって、どれからやろうかというくらい山積み。限られた時間の中でも、エンジニアとドライバーは細かくセッティングを変え、走っては試し、また走っては試しという地道なテストを続けていきます。
シビックe:HEVは先日のマイナーチェンジでフロントマスクのデザインが変わったので、今回からわがチームのマシンもお色直しとなりました。純正のボディカラーの赤とマシンの赤はちょっと色味が違うので、まだそろってないんですけどね。従来よりフロントの開口部が精悍な感じになって、よりワイドに見えるようになっています。空力性能の方もよくなっているのか? 期待しちゃいますね。
今回、私としては心配なのが「ドライバーの熱対策」なんです。ハイブリッドカーは、バッテリの温度管理がとても重要なので、以前からバッテリを冷やすシステムというのは気を配っていたんですね。レーシングカーなので、市販車よりも温度が高くなりやすいということで、本来なら室内用のエアコンアウトレットに送る風の多くをバッテリの方へ送ったりしていました。ドライバーには、そのおこぼれで漏れてくる冷気が少し当たるようになっていたんですが、昨今の猛暑はそれだと全然追いつかず、室内の暑さが耐え難いレベルに。これは早急になんとか対策を考えなければとみんなで相談していました。
クールスーツも検討したのですが、ちゃんとしたものは高価なので、予算オーバー。バッテリに送る冷気を減らしてドライバーに当てるか、というのもちょっと微妙……。ということで、できることからやってみようと、少しの冷気を集約してダイレクトにドライバーに当てることができるよう、エアコンアウトレット代わりのホースを取り付けてくれました。小さな小さなスポットクーラーのような感覚ですかね。使用したドライバーに聞いてみると、「前よりは涼しいかも」とまずまずの感想。でも、ドライバー交代をしたときにホースが後ろに行ってしまい、使いたくても使えなかったというドライバーがいたため、ホースをゴムでロールケージにつないでもらい、後ろに行っても手で戻せるように改良を加えました。
昔はピットイン義務がなかったので、ハイブリッドカーは一度乗ると2〜3時間は連続でドライブしていたんですが、あのときはエアコンもないし窓も開けちゃダメだと言われ、よく平気でしたよね……。今はピットイン義務回数が決められているので、長くても1時間ちょっとですが、その代わり猛烈な暑さなのでドライバーの熱対策は必須。今後も何かいい方法がないかどうか、みんなで検討していくつもりです。
しかもこの日はお昼過ぎから豪雨となり、コースもパドックも川のようになってしまいました。マネージャーとしては、ピット内の配置について、こうした豪雨対策も必要だなと痛感。そちらもみんなでアイデアを出し合い、どんな天候でも安全に過ごせるピットを作りたいと思います。次のテストは8月。夏本番なので、そこでまたいろいろと検証してきます。


