まるも亜希子の「寄り道日和」

子どもたちの想像力を実感できる「子どもアイディアコンテスト」

低学年の部で最優秀賞に輝いた「エビ+良い座席 ABCいいと。(エービーシート)」のプレゼンをする佐賀県・小学3年生・井ノ本花恋さん。持ち時間を上手に使い、作品の特徴をとってもわかりやすく伝えてくれました

 世界がよい方向へ進んでいくために大切なのは、これからを担う子どもたちの想像力ではないかと思うのです。自分ではない誰かのことを想う、想像力。今ある問題を解決するための、想像力。ちょっと先の未来がどうなってほしいかを考える、想像力。

 そんな子どもたちの想像力の豊かさ、強さ、圧倒的な面白さをひしひしと実感することができる「子どもアイディアコンテスト」の第23回最終審査会が開催され、審査員として参加させていただきました。

 2025年度は全国の小学生から9755作品の応募があり、ファイナリストとして低学年の部10組11名、高学年の部10組11名が日本科学未来館のホールに集合。想像力を駆使して考えた「未来にあったらいいな」と思うアイディアを、実際に作品として制作し、ステージ上でプレゼンテーションをする最終審査会に臨みました。

 開会直前、ホールには緊張した面持ちの小さなファイナリストたちが座っていましたが、審査員長である脳科学者の茂木健一郎さんが「人工知能に負けない脳をつくることが、これからの人類の課題だ! 今日は素晴らしい脳を持ったみんなが集まってくれた。スパークしてくれっ!」と気合い注入。茂木さんはいつも、こうして最初に子どもたちの緊張をほぐしてくれて、素晴らしいなぁと本当に尊敬しています。私も、娘と同世代の子どもたちがこんな晴れ舞台に立つのだと思うと自分まで心臓バクバクなのですが、その緊張感さえも良い経験となって、これからの人生にきっと役立つ時がくるよ〜という気持ちで、応援しつつプレゼンを見させていただきました。

 毎年、応募作品にはその時の世相や話題となった社会課題が色濃く反映されてくるのが興味深いところ。今回、最終審査会に残った作品には障がいを持つ方、介護や子育て中の方が少しでも便利に、安心できるようなアイディアが多い印象を受けました。たとえば、「エコーロケーションを利用した空間把握装置」(新潟県・小学5年生・鶴谷榛真さん)や、「ORIGAMINI(おりがみに)」(愛知県・小学6年生・加藤遥乃さん)はそれぞれ別のアプローチから目の不自由な人をサポートするアイディアをカタチにした作品。

 エコーロケーションというのは、コウモリが超音波を使って周囲の物体との距離や方向、大きさなどを認知する能力だそうで、歩く時に白杖を持つと手が塞がってしまうので、首飾りとイヤホンを使って空間把握ができるようにすれば、もっと手軽に安心して外出できるようになると考えたそう。そしてORIGAMINIはその名の通り折り紙を使って、地図や建物などなんでも再現することができ、目の障がいがあっても実際に見ているような感覚になれるというアイディアなんです。ネーミングセンスの良さにも感心してしまいました。

 また、妹が生まれて母乳をあげるためにアルコールやカフェインを自由に摂れないお母さんを見て思いついたという、「スペシャルさく乳器」(大阪府・小学3年生・盛川明莉さん)のアイディアには思わず、「私もこんなのが欲しかった〜!」と実感こもったコメントをしてしまいました(笑)。子育てをするすべてのお母さんたちのストレスをなくしてあげたいという、優しい気持ちにジーンときますよね。もちろん、子どもらしい可愛さ、ユニークさあふれる作品もたくさん。プレゼンにも趣向を凝らして、みんなとっても頑張っていたので、ぜひホンダ公式YouTubeチャンネルのアーカイブでチェックしてみてくださいね。

着物姿が素敵な兄弟でのプレゼンを頑張ってくれた、作品名「みらいにんぎょう ぼくわたし」の秋田県・小学4年生の根本侑茉さんと1年生の弓有吾さん。高学年の部の優秀賞に輝きました

 最終審査会の結果、低学年の部では最優秀賞に佐賀県・小学3年生・井ノ本花恋さんの「エビ+良い座席 ABCいいと。(エービーシート)」が、優秀賞には千葉県・小学3年生・小舩歩花さんの「生まれかわろう 変身リサイクルマシーン」と東京都・小学3年生・鈴木花歩さんの「なんでもなおせるカメレオンテープ」が選ばれました。高学年の部では、最優秀賞に神奈川県・小学4年生・高塚磨乃さんの「つながリンク手ぶくろ」が、優秀賞には秋田県・小学4年生と1年生の兄弟、根本侑茉さん・弓有吾さんの「みらいにんぎょう ぼくわたし」と先ほどの「ORIGAMINI」が選ばれました。審査員特別賞は茂木さんが「あったらいいな こんなトイレ」(新潟県・小学2年生・庄司樹慶さん)、私は先ほどの「エコーロケーションを利用した空間把握装置」を選出しました。参加した子どもたちが選ぶキッズ大賞は、低学年の部が先ほどの「スペシャルさく乳器」、高学年の部が大阪府・小学5年生・大﨑理央さんの「けずらない未来、とまらない学び 瞬芯AIえんぴつ」に決定しました。

 審査員として参加させていただきつつ、毎回私の方が授業を受けているような、とってもポジティブな気分になる「子どもアイディアコンテスト」でした。

今回の審査員は右から審査員長の茂木さん、私、ホンダの人事統括部長で応援団長の安田さん、ホンダで知能化・安全研究をされている岡さん、ホンダのデザイナーである黒崎さんというメンバーでした
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。