2016ジュネーブショー

トヨタ、コンパクトクロスオーバー「C-HR」を激戦のセグメントに導入

日本国内では2016年内に市場導入

2016年3月1日~13日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

「C-HR」チーフエンジニアの古葉博之氏(写真:中央)は86レースに参加するなどのドライビングテクニックを持った開発責任者

 トヨタ自動車は、ジュネーブショーにて「C-HR」の市販モデルを世界初公開した。

 昨今、数多くの自動車メーカーからリリースされているコンパクトなSUV。国内外のメーカーも多数をラインアップしていて、今後もこのセグメントの販売台数は伸びていくと予想されている。

 トヨタは、2014年のパリモーターショーで3ドアのC-HRコンセプトを発表し、その後に2015年のフランクフルトショーで5ドアモデルを公開。5ドアモデルは昨年の東京モーターショーでも披露されたモデルなので、実際に見たことがある人もいるはずだ。

 市販モデルへと進化したC-HRだが、コンセプトモデルでも特徴的だったエモーショナルなデザインはそのまま残された。「センシュアル・スピード・クロス」をコンセプトに、SUVのたくましい足まわりやスピード感あふれるボディ、大人の色気を表現し、新ジャンルのスペシャリティを追求している。トヨタ独自のデザインとなるキーンルックやアンダープライオリティを採用しつつ、コンパクトなキャビンやリフトアップ感のある薄いボディで仕上げることで2ドアクーペのような流麗なスタイルを生み出している。

ワールドプレミアされたC-HR。ボディサイズは、4350×1795×1555mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2640mmになる
力強くダイナミックなデザインは、これまでのトヨタでは実現できなかったほどこだわり抜いているという。抑揚のあるフェンダーラインやリアハッチまわりは特徴的な作りとなっている

 エモーショナルなデザインとともに注力したのが走りのよさになる。プラットフォームは、新型「プリウス」で新規に採用されたTNGAになる。ただ、車高を上げたことや大径ホイールを採用したことなどにより専用部品を多く使っているそうだ。アーム類以外はほぼC-HRの専用品となっているので、クロスオーバーながらも優れたハンドリング特性を生み出している。

 組み合わせられるパワートレーンは、ハイブリッドとガソリンの2タイプ。ハイブリッドについてはプリウスに搭載される1.8リッター THS IIと同様のスペックになる。ガソリンエンジンは、直列4気筒 1.2リッターターボと2.0リッター自然吸気の2タイプを用意する。1.2リッターターボは、最高出力116PSで最大トルク185Nm(18.9kgm)。2.0リッターは、最高出力150PS、最大トルク193Nm(19.7kgm)になる。トランスミッションは、ハイブリッドが電気式無段変速機、1.2リッターは6速MTとCVT、2.0リッターはCVTとなっている。

 今年のニュルブルクリンク24時間耐久レースにエントリーすることが発表されているC-HRだが、エンジンはこの1.2リッターターボをベースに開発が進められているようだ。

 安全装備については、歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付レーダークルーズコントロールを始め、4つの先進安全機能をセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sence P」を採用している。

 市場への導入は、日本国内が2016年内で欧州が2017年初旬とアナウンスされている。

プレスカンファレンスでワールドプレミアされるC-HR
新型「ハイラックス」は欧州プレミアされたモデルになる。内外装ともに新たなデザインで作り上げていて、より力強さを強調。インテリアは、質感の高いデザインとともに7インチのタッチスクリーンモニターを採用している
こちらもワールドプレミアされた新型「PROACE VERSO(プロエース ヴァーソ)」。3列シートの大型MPVは、ビジネスにもファミリーユースにも対応する。3つのボディタイプを持ち、ユーザーの要望に最適なモデルが選択できるという

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。