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トヨタ、東京モーターショー2015でヴィッツサイズのコンパクトFR「S-FR」世界初公開

次世代FCV「FCV PLUS」、機械本来の魅力をアピールする「KIKAI」の3モデルをワールドプレミア

2015年10月8日発表

 トヨタ自動車は、10月29日~11月8日(プレスデー:10月28日~29日、プレビューデー:10月29日、一般公開日:10月30日~11月8日)の期間に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催する「第44回東京モーターショー2015」の出展概要を発表した。

 今回の東京モーターショーでトヨタは、新世代ライトウェイトスポーツコンセプト「TOYOTA S-FR」、燃料電池車(FCV)のコンセプトモデル「TOYOTA FCV PLUS」、人とクルマの新たな関係を構築する「TOYOTA KIKAI」の3モデルを世界初公開する。また、2015年末に市販を開始する新型「プリウス」、9月に開催されたフランクフルトモーターショーで初公開した5ドア版の「TOYOTA C-HR Concept」を日本初公開する。

 このほかにトヨタブースでは、ロボット宇宙飛行士となった「KIROBO」をベースに、人々の日常生活に寄り添えるサイズを追究して進化させた「KIROBO MINI」(世界初公開)、2017年からの参戦に向けて開発を続けているWRC(世界ラリー選手権)テスト車両、「五大陸走破プロジェクト」で使用された豪州仕様ランドクルーザーなどを展示する。

クルマファンの拡大を目指すコンパクトFRスポーツ「TOYOTA S-FR」

 トヨタが誇るコンパクト5ドアハッチバック「ヴィッツ」よりも105mm長く、180mm低いという3990×1695×1320mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2480mmのコンパクトなボディーにエンジンをフロントミッドシップレイアウトし、4人乗りの本格的FRライトウェイトスポーツカーとして開発された「TOYOTA S-FR」。運転好きに止まらず、価格を抑えた手ごろなモデルとすることでエントリーユーザーにも乗ってもらい、このクルマをつうじてクルマファンを拡大することをコンセプトの1つとしており、軽量化を徹底追究することで強大なエンジンパワーに頼らなくても軽快な走りが楽しめるよう設計。重量配分の最適化と独立懸架サスペンションの採用、6速MTの搭載により、ドライバーの意のままにクルマが反応し、日常的な走行シーンからクルマと乗員が対話できるといった独自の心地よさを追求しているという。

キャラクターの強いフロントマスクをはじめ、愛着のわく普遍的なデザインを目指したというエクステリア
ルーフパネルをブラックアウトし、テール形状はダックテールスタイルを採用
フロントフェンダー後方に「TOYOTA S-FR」の車名ロゴを設置

 デザインテーマは「川の流れで角が削り取られた丸い石」。基本骨格を残しつつ、人に優しく洗練された形状を目指している。外観はトラッドテイストのロングノーズ&ファストバックスタイルを基軸に、丸みを帯びたスタイルと曲面の構成で親しみやすいモデルであることを表現。インテリアは「シンプル&モダン」をキーワードにデザインして、ドアトリムにはフロントフェンダーからイメージを連続させるカラーパネルを装着。水平方向、垂直方向の車両姿勢を把握しやすいようにして、エントリーユーザーのスポーツ走行を支援する。

 今回のモデルはデザインとコンセプトを提案してさまざまな意見を募るスタディモデルとの位置づけ。そのため搭載エンジンについては敢えて公表せず、モーターショーの会場に足を運んだ来場者から要望などを募りたいとしている。

TOYOTA S-FRのインパネ
ドアトリムのカラーパネルやステアリングのステッチ、シートアクセントなどに蛍光色のイエローを起用。ヴィヴィッドな車内空間を演出している
メーターパネルは単眼式のコンビネーションタイプ。メーターの右下に「NOMAL」「SPORT」の文字が読み取れる
シンプルなセンターコンソール。トランスミッションは6速MTとなっている
フロントシートはホールドを強めたセミバケットタイプ。車内にはハニカム形状のモチーフをアクセントとしてちりばめる
TOYOTA S-FRの走行イメージ

FCVが将来的に担う新たな役割を表現した「TOYOTA FCV PLUS」

「TOYOTA FCV PLUS」

「TOYOTA FCV PLUS」は、現在から数十年後の、水素がエネルギーとして広く一般に普及した時代を想定して製作されたコンセプトモデル。

 ボディーサイズは3800×1750×1540mm(全長×全幅×全高)で、FCスタックをフロントタイヤのあいだに搭載し、水素タンクはリアシート後方にレイアウト。モーターは4輪インホイール式を採用することで車両設計の自由度を高め、キャビンスペースを広げている。また、TOYOTA FCV PLUSは環境負荷の低いエコカーから、“エネルギーの地産地消”の一翼を担う「エネカー」というポジションが与えられ、自宅や移動先で車外からの水素供給を受けて発電し、地域に電力供給を行って社会インフラに貢献。車両が寿命を迎えたあとにはFCスタックを取り外し、発電設備として再利用することも想定されているという。

4輪インホイールモーターの利点を生かして空力性能を追究した独自のボディー形状
インテリアには軽さと剛性を両立する立体骨格構造などを用いるという想定

「TOYOTA KIKAI」

「TOYOTA KIKAI」

 世界初公開となる「TOYOTA KIKAI」は、車名どおりクルマを人の手が生み出す機械としてとらえ、機械が持つ精巧さや美しさ、素朴さや温かみ、動きのおもしろさなどを1台のクルマで表現。「人とクルマ(機械)の関係再構築」をテーマに、これまでの常識にとらわれない新しい魅力を発信するコンセプトカーとして位置づけている。

マンガの世界から飛び出してきたようなユーモラスな外観。ドアガラスはルーフ側まで設定され、走行中に頭上を流れ去る景色も楽しめる。ドアハンドルが車両前方側に設定されており、車両後方側にレールが用意されていることからスライドドアとなっていることが予想される

 車両前後のメカニズム部分とキャビンを明確に分離した特徴的なボディーには、ハイブリッドパワートレーンをリアミッドにレイアウト。ボディーサイズは3400×1800×1550mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2450mmとなっており、車両中央にドライバーズシートを設定。後方左右に2人分のシートを用意する3人乗り仕様となる。

 エンジンや吸排気系の配管、サスペンションアーム、ショックアブソーバーなど、通常であればボディーパネルによって隠されている機械要素を敢えて見せる構成となっており、それぞれの見た目のデザインにまでこだわっているほか、運転中の車内からサスペンションのアッパーアームなどが視野に入るようにして、日常的な走行シーンからクルマのパーツが働く光景を楽しめるようにしている。

足まわりやパワートレーンなどが車外から見えるようになっていることも大きな特徴。オフセット配置の3座式シートは、乗員間のほどよい距離感も狙っているという
赤を基調とした刺激的なインテリア
4つの大きな丸形パネルをステアリング前方に設定。燃費計もアナログ式になっている。スイッチ類も動かす感覚にこだわりトグル式を採用している
ドライバーズシートの両サイドに設定された小窓から足まわりを視認可能
燃料系もアナログ感覚のデザインとしている
都市から田園地帯まで、日本の多彩な光景にマッチするデザインを目指して開発したとのこと

「KIROBO MINI」

「KIROBO MINI」

 2013年8月にISS補給船「こうのとり」4号機で宇宙に旅立ち、2つのギネス世界記録にも認定されたロボット宇宙飛行士「KIROBO」をベースに、人の生活に常に寄り添いながら会話やアクションなどのコミュニケーションで癒やしを与える存在として開発された「KIROBO MINI」。自立や歩行といった機能をオミットして、座高100mmのコンパクトなボディーを実現。ユーザーの顔を検出して視線を合わせ、会話で得た情報を思い出として記憶。会話のキャッチボールによって愛着や信頼を感じられるロボットとしている。

日本語の会話としぐさなどで人間とコミュニケーション可能
2015年末に市販開始予定の新型「プリウス」を日本初公開(写真はすべて北米仕様)。ボディーサイズは4540×1760×1470mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mm。乗車定員は5人
新型プリウスの走行イメージ
新型プリウスのインテリア
フランクフルトモーターショーで初公開された5ドア版の「TOYOTA C-HR Concept」を日本初公開。ボディーサイズは4350×1850×1500mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2640mm。乗車定員は5人

(編集部:佐久間 秀)