人とくるまのテクノロジー展 2019

新型「Mazda3」の展示と技術解説を行なうマツダブース

2019年5月22日~24日 開催

入場無料

マツダブースに展示されていた新型「Mazda3」。北米仕様で左ハンドルモデルになる

 自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」が5月22日、神奈川県のパシフィコ横浜・展示ホールで開幕した。会期は5月24日まで。登録が必要だが入場は無料。

 マツダブースでは北米仕様の「Mazda3」が展示され、内外装やシャシー、エンジンなどの新しい技術についての解説が行なわれている。昨年に市販モデルが発表されたMazda3はすでに北米では顧客への販売が開始されている。

北米仕様のMazda3

 Mazda3はマツダがラインアップする次世代商品群のトップバッターとして導入するモデルで、多方面で新しい考えに基づいた技術が採用される。そのひとつが、「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル・アーキテクチャ)」。

 これまでもマツダの開発思想として「人間中心」を謳ってきたが、さらに人間の能力を生かすのがこの技術になる。興味深いのは、人間のバランス保持能力を発揮させるための着座姿勢で、脊柱がS字カーブを描くようにして骨盤を立たせて座ることになる。人間の持つバランス保持能力は歩行中に見ることができ、骨盤や上体を逆方向に動かすことで頭部を安定させながら歩いている。この状況を着座中にも再現される。脊柱をS字に曲げながら座らせるシートは路面からの入力が的確に骨盤に伝達し、コーナリング中でも頭部が安定するのだ。

新型Mazda3は内装も新たな技術思想によって造り込まれていて、シートは人間のバランス保持能力を最大限に活かす設計となっている。

 もちろん、シャシー性能などが引き上げられているのは言うまでもなく、タイヤのバネ特性を見直した新しいモデルやボディ剛性の最適化、サスペンションストロークのブレをなくすジオメトリーや装着位置の見直しなどによって、理想的なダイナミクスを実現している。

乗り心地や乗り味などの最適化を図った「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル・アーキテクチャ)」。マツダが謳っている人間中心の思想を突き詰めている。

 また、ブース内のパネル展示では、「第69回自動車技術会賞」に輝いた内容の解説も行なっている。1つ目は、プレミアムカラー実現に向けた、光学測定の進化による「匠」の目の質感評価技術の確立。非接触、面測定、高精度なin-situ光学測定技術は、見る環境によって異なるボディやバンパーの質感の差を測定し、生産工程で高精度な品質管理が可能となる。

 2つ目が、環境負荷低減につながる自動車用高機能樹脂材料技術の進歩発展への貢献。これは、ポリプロピレン樹脂や繊維強化樹脂配合材の成分や配合処理を工夫することで剛性や耐衝撃性を向上させ、発表当時クラス最軽量のバンパーを実現した。また、機能統合モジュールの軽量化にも貢献している。加えて、廃車のバンパーから新車のバンパーを作り出すリサイクル技術や100%植物由来の繊維から生産させる自動車用シート表皮の開発といった技術が技術貢献賞を受賞した理由だという。

プレミアムカラー実現に向けた、光学測定の進化による「匠」の目の質感評価技術の確立
発表当時クラス最軽量を実現した薄肉バンパ
機能統合モジュールの軽量化にも貢献
リサイクル技術

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。