人とくるまのテクノロジー展 2023

トヨタ、マイナスからゼロを超える「BEYOND ZERO」をテーマに、クルマが関わる社会課題解決の具体例を示す

2023年5月24日~26日 開催

入場無料(登録制)

マイナス(課題)からゼロへ(解決)を超えた新たな価値を作ることを目指す取り組みを紹介するトヨタブース

 5月24日~26日の期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)からトヨタブースの模様をお伝えする。

 トヨタブースが掲げていたコンセプトは「BEYOND ZERO」というもの。これはゼロを越えてその先へ、という意味であり、ゼロとはCO2排出量をゼロにするのゼロや、交通事故死傷者ゼロのゼロなど、クルマが関わるさまざまな社会課題に対してマイナスな部分をゼロにするという意味がある。そしてゼロにするだけでなく、プラスアルファの価値を提供していくこと。これを「ゼロを越える」と表現しているのだ。

BEYOND ZEROをコンセプトとしたブース

 トヨタでは現在、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいる。燃料で言えば水素、電気、eフューエル、バイオ燃料という再生可能エネルギー。そしてパワートレーンは従来のエンジンだけでなくFCEV、BEV、PHEV、HEVといわゆるフルラインアップで揃えているが、これらはクルマだけではなく、他の乗り物や産業、社会システム全体へも展開できる。これは前記したように「地域にあわせたCO2ゼロを実現するための展開であり、そのためにはどれか1つではなくて、多様な燃料を普及させていく必要があるため、トヨタはそれらを使うパワートレーンを用意し、エネルギーの未来と地域ごとの現実に寄り添った仕組みを作っているとのことだ。

トヨタが手掛ける多様な選択肢を表した図

 そのほかの展示としては新型プリウスPHEVのカットモデルを軸とした「電動車の給電能力」の紹介。日本でも自然災害によって停電など起こることも増えているが、電動車であればそういうときに「クルマから給電ができる」のだ。また、EV、FCV、PHEVのEV給電モードを使うことによる給電については、給電のためにエンジンが掛からない(エンジンがない)ため、エンジン始動に規制があるキャンプ場などでも電動車は便利であることを紹介していた。

新型プリウスPHEVのカットモデルを展示
これは「災害時の給電車支援マッチングシステム」というアプリを使ったサービス。どの避難所に給電車をどのように支援すればいいかをこのアプリで申請、確認するもの。現在は実証実験中とのこと

 もう1つは「おうち給電システム」というもの。こちらは2022年よりすでに発売しているもので、作りとしては家(戸建て)に蓄電池をセット。その電池には通常の電気や太陽光パネルが発電した電気が蓄えられるが、停電、そして太陽が出ていない状況になったときにトヨタのHEVやPHEV、BEV、FCVなどの100Vコンセントから家用の蓄電池ユニットの充電を可能にするシステム。システム構成は蓄電池ユニット、DCDCコンバータ、ハイブリッドパワーコンディショナ、車両給電アダプタ、専用接続ケーブルとなっている。

おうち給電システムの構成
おうち給電システムの解説
深田昌之