人とくるまのテクノロジー展 2023
HKS、EVバッテリ残存性能診断システムで中古EVのバッテリ性能も数値化
2023年5月26日 17:25
- 2023年5月24〜26日 開催
- 入場無料(登録制)
5月24日~26日の期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)からHKSブースの模様をお伝えする。
スポーツパーツメーカーとして名が知れているHKSでは、スポーツパーツ事業と並行してサプライヤー事業も手掛けてきた。現在はIoT技術を使った製品やサービス、EVバッテリなどの製造から、先進の内燃機エンジンパーツ設計、製作なども行なうモノ作り企業である。そのHKSが出展していた製品から注目度の高いものを紹介しよう。
まずは電動車に積まれているバッテリの「残存性能」を診断するシステム「BLDS」だ。この機器はHKSと東洋システムの共同開発で、車体からデータを取るところやクラウドへアップする部分をHKSが担い、クラウド上の処理を東洋システムが行なっている。
BLDSはIoT機器で、本体につながるコネクタを車体の診断端子であるOB-LINKに接続。そこからバッテリの情報を引き出し、クラウド上のオリジナルアルゴリズムで演算することでバッテリの残存性能を診断するというものだ。なお、診断時は充電状況等のデータが必要なことから急速充電をしながら行なうようになる。
電動車の価値を評価することにおいて重要なバッテリの残存性能が分かることで、長く乗りたい人には適切な交換タイミングを知ることができるし、乗り換え時の査定の際はクルマの程度を適切に評価できるようになるはずだ。
実際、電動車を手放すときは、年式や距離を参考に一律のような感じでバッテリの残存性能を「買い手が決めている」ような部分があったが、オーナーによってはバッテリの劣化を抑える意味で急速充電はあまり使わず、普通充電を中心にまかなってきた人もいるだろう。
しかし、従来の査定の評価ではバッテリの残存性能が調べられないため、オーナーが気を使ってきた面が評価されない状態でもあったが、BLDSがあればバッテリの状態が数値で見えるので、そうしたことも減っていくように思える。
また、電動車のバッテリはクルマで使い終えたあと、他の用途にリユースされることが多いが、その際もバッテリの残存性能が明確になれば適所で効率よく使用することができるようになるだろう。
つぎに紹介するのは環境省委託事業「バッテリ交換式EV開発及び再エネ活用の組み合わせによるセクターカップリング実証事業」用交換式バッテリパックへの参画だ。
これは伊藤忠商事が中心となり、いすゞ自動車、JEFエンジニアリング、ファミリーマート、そしてHKSの共同で行なっていてHKSはバッテリパック開発を担当。
トラックをEV化するにあたっての問題点として、バッテリが車体に固定されていると充電中に稼動できないことから稼動時間が長く、配送車には導入が困難とされていた。そこでバッテリを交換式とすることで配送車のEV化を可能とし、物流網の脱炭素化を実現させるというもの。また、充電ステーションやEVトラックを蓄電池に見立てて災害時には給電設備として対応することも狙いの1つだ。