人とくるまのテクノロジー展 2023

ボッシュが目指す「安全」「サスティナブルかつ魅力的なモビリティ」「横浜の新研究所」についてクラウス・メーダー社長が語る

2023年5月24日~26日 開催

入場無料(登録制)

ボッシュの代表取締役社長 クラウス・メーダー氏によるコーポレートカテゴリーのプレゼンテーションが行なわれた

 5月24日~26日の期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)からボッシュブースの模様をお伝えする。

 登壇した代表取締役社長 クラス・メーダー氏が最初に語ったのはボッシュについて。メーダー氏は「本日は当社がさまざまな課題のなかで、どのようにビジネスを成長させているのか。また市場の変化についてどのように対応しているかをお話ししたいと思います。はじめに当社について簡単にご説明します。ボッシュはテクノロジーとサービスを提供するリーディンググローバルサプライヤーです。昨年の当社の売上はおよそ882億ユーロでした。最大のビジネスセクターであるモビリティソリューションの売上高はそのうちのおよそ60%となります。また、研究開発に72億ユーロを投入しております。全世界では42万人を超える従業員を雇用しております。そのうちおよそ8万6000人は エンジニアリングなど研究開発に携わっております。当社は常にイノベーションへの投資を積極的に行なっています。ボッシュは1911年に日本で事業を開始し、2023年に112周年を迎えます。以来、ボッシュグループは4つの事業領域において日本のお客さまにサービスや製品を提供して参りました」と解説した。

ボッシュについてのプレゼンテーション資料

 またメーダー氏は、ボッシュのサスティナビリティ戦略の1つであるカーボンニュートラルについて解説。「2020年の春に世界的な事業展開をする企業としては、初めてカーボンニュートラルのスコープ1と2を達成しました。現在はサプライチェーン全体並びに製品のライフサイクルを通じて発生するCO2排出量を、2030年までに15%削減するという目標を掲げています。このようにボッシュは気候変動に対して非常に真剣に取り組んでいます。これは義務であるだけでなく、未来を創造する機会として捉えております」と語った。

カーボンニュートラルへの取り組みについて。スコープ1と2という項目に関してはすでに達成しているという

 続けて、乗用車におけるパワートレーンの動向についてメーダー氏は、「パワートレーンについては、電動化率が年々拡大しております。そして2030年には全体の42%をBEVが占めると予測しています。なお、地域別にBEVへの移行が加速しているのは、ヨーロッパや中国などがあげられます。いっぽう日本はBEVへの移行に関する予測値は低いものになっております。その理由としては、日本ではハイブリッド車が多く選ばれているからです。そうしたことから日本の自動車メーカーの電動化戦略はユニークであると感じております。そこで、われわれも日本の自動車メーカーの考えに関心を持ち、サービスを提供していきたいと考えております」と海外と日本における電動化の方向性の違いを紹介した。

世界および国ごとの電動車の分布。日本はハイブリッドが主流なので他の国とは傾向が違う

 FCV(燃料電池車)については「FCVについて私どものメインのターゲットは大型車両です。なお、ボッシュでは都市ガス、バイオガス、水素など、さまざまな燃料で稼働することが可能な固体酸化物形燃料電池のSOFC(固体酸化物形燃料電池)も開発しております。こちらは2025年までに5億ユーロ以上投資していきます。なお、2024年に完成予定の新研究開発拠点にSOFCシステムを設置する予定です。また、ボッシュは水素社会の発展のためにさまざまなアイデアを提供しております。水素社会というのはカーボンニュートラルを達成するための大切なソリューションであります」と解説した。

FCV、SOFCについての資料
2024年からSOFCの実証実験を開始するという

 現在ボッシュは、神奈川県横浜市都筑区に新しい研究施設を建設している最中。そこでメーダー氏は「この拠点にはおよそ390億円の投資をします。社屋にはモビリティソリューションの大部分の事業部を集約します。並びに関連するグループ企業もこちらに入居します。また、現在は渋谷に置いている本社機能もこちらに移転します。竣工は2024年となります。この施設の敷地内には、横浜市都筑区の区民文化センターを建設いたします。こちらの建設プロジェクトは、ボッシュグループとしては初めての公民連携のプロジェクトになります。このプロジェクトを通して、ボッシュは、日本の自動車産業、そして地域への貢献を行ないます」と言及。施設およびその他の施設についても説明した。

横浜市都筑区に建設している新研究施設について
新研究施設の設備について

 最後にボッシュ従業員の柔軟な働き方に関する取り組みについてメーダー氏は、「ボッシュは創業以来、人材育成を重要課題と捉えております。ご存知のように、自動車業界は大きな変革の時期を迎えております。この急速に変化する環境に対応するためにボッシュも変革のスピードを早めております。従業員は競争力を確保するために、新たな可能性や知識を身に付ける必要があります。そこで、従業員に対しさまざまな学習の機会を与えております。トレーニングに関しては、社内にボッシュトレーニングセンターと呼ぶ組織があります。2022年の実績ですが、年間で265回の研修を行なっております。今後はソフトウェア開発に必要な知識が取得できるようなトレーニングプログラムを行なうことになっております。その他にもさまざまな人材育成プログラムを用意しております」と社内における人材育成の状況を解説した。

 以上がメーダー氏によるプレゼンテーションの主な内容。なお、ブースではグループ企業のITKエンジニアリング、ボッシュグローバルソフトウェアテクノロジーズ、ボッシュエンジニアリングが、それぞれの最新ソリューションを展示している。

ITKエンジニアリング株式会社の展示
ボッシュグローバルソフトウェアテクノロジーズ株式会社
ボッシュエンジニアリング株式会社の展示
人とくるまのテクノロジー展に出展したボッシュ
深田昌之