人とくるまのテクノロジー展 2023
ZF、ピックアップトラックや商用バンを電動化する「eBeam Axle」や温まるベルト「ヒートベルト」展示
2023年5月25日 13:58
- 2023年5月24日～26日 開催
- 入場無料（登録制）
神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」が5月24日～26日の会期で行なわれている。入場料は無料（登録制）。
ZFブースでは「Next Generation Mobility NOW.」をテーマに設定し、「Eモビリティ」「自動運転」「車両制動」「統合安全」という4つの技術領域で、持続可能な次世代のモビリティを実現する幅広い製品を展示している。
Eモビリティ
後輪駆動のピックアップトラックや商用バンを電動化するリジッド電動アクスルとして開発された「eBeam Axle」。トーイングなどの高負荷による大きな発熱に対応するため、ギヤボックスには油冷式を採用。冷却は熱交換器を介して車両のラジエターで行なう。
展示品には1世代前の400V版のモーターが使われているが、同ブース内で展示されている800Vモーターにも置き換え可能なモジュラー構造を採用しており、最大出力350kWの高出力にも対応している。
最大トルク密度5210Nm/74kgを達成した統合型高性能800V電動ドライブシステムとなる「EVSys800」。遊星歯車を使った同軸一段減速ギヤを備えて損失を最適化したほか、小型化や高い静粛性も誇る。モーターでは重希土類フリー磁石を使い、サスティナビリティに配慮してコスト抑制も実現した製品となっている。
自動運転
8Mピクセルの分解能と前方視野角120度を持つ多目的な補助カメラヘッド付きADAS前方カメラの「スマートカメラ 6」。長距離での物体解像検出が強化され、「EyeQ6チップ」を搭載してドライブレコーダーとしての機能も備える。
「ProAI」はソフトウェア・デファインド・ビークル（SDV）向けの車載用スーパーコンピュータとして開発され、自動運転のレベル5まで対応するスケーラブルプラットフォーム。1500兆回/秒の演算力を備え、異なるボード上のドメインに設定されたADASやインフォテイメント、シャシー機能などを1つのデバイスでサポート可能としている。
車両制御
アクチュエータを使って後輪に舵角を与える「後輪操舵システム（AKC）」。定速走行時の機敏な旋回性、高速走行時の安定性などを実現するほか、トーイングを行なうSUVやピックアップトラックなどではけん引走行中の直進性向上などを目的に搭載されるケースもあるという。
サスペンションのアッパーアームなどに設置される「スマートシャシーセンサー」。走行中にアームの動きを検知して道路状況を把握するほか、角度を検知して現在の車高などを測定。後席乗員の人数に合わせたヘッドライトレベリングなどにも利用される。
統合安全
ZFのシートベルト関連機能を紹介するデモ機では、1月に開催されたCESで世界初公開された暖房機能付きシートベルト「ヒートベルト」も体験可能。
シートベルト内に設置された2本の金属ワイヤーを最大40℃まで過熱して乗員の体を直接温められるというヒートベルトは、見た目や手触りなどは一般的なシートベルトとほぼ同じで、説明員から教えられてよく見ると発熱用のワイヤーが薄く判別できる程度だが、発熱機能をONにすると即座にベルト全体が温まって高い効果を発揮する。
このほか、シートベルトを巻き上げるリトラクターやバックルに設定したモーターを利用するハプティック機能では、ドライバーの居眠りといった異常を検知して揺り起こすように作動する警告機能、ADASによる緊急ブレーキの作動時に、乗員が正しい着座姿勢になるよう事前にベルトを巻き上げるプリテンショナー機能などを体感できた。
