人とくるまのテクノロジー展 2023

パナソニック、熱を伝えやすい「基板用フィルム」や「空冷ユニット」など熱に関するデバイス展示

2023年5月24日~26日 開催

入場無料(事前登録制)

パナソニック インダストリーのブース

 パナソニックから2022年4月に分社化して誕生したパナソニック インダストリーは5月24日~26日に開催している「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA(会場:パシフィコ横浜)」の同社ブースに、新製品となる「高熱伝導性多層基板用フィルム R-2400」や、車載向けの空冷ソリューションなどの展示を行なった。

 高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」は、2.7W/m・Kの高い熱伝導性をしたフィルムで、放熱板とパワー半導体など熱源との間に電気的な絶縁層を作りながら熱を伝えるもの。熱伝導性が高いことにより、パワー半導体などの熱を発するものを利用する際、冷却ユニットを小型化することが可能になる。同時に優れた樹脂流れ性を持つため、絶縁層の形成が可能なため、基板の多層化が可能などの特徴を持つ。

高熱伝導性多層基板用フィルムR-2400(左)と従来品(右)、見た目に差はほとんどなく、重量などもほとんど変わらない
高熱伝導性多層基板用フィルム R-2400の特徴

 一緒に展示されていた車載向け空冷熱対策品では、冷却ファンとヒートシンク一体の最適化設計を行なった場合と、従来品との比較を行なった。冷却システム自体の小型化に加え、前述の高熱伝導性多層基板用フィルムと組み合わせることで、小型で静音で最適な設計になるという。

従来のファンとヒートシンクの組み合わせ(左)に対し、小型になった熱対策ソリューション
熱対策ソリューションの説明

 また、熱対策の材料としては、温度変化が激しく振動のある自動車特有の環境で、半導体と基板の接合部のはんだクラックを防止する基板と部品の間に充填する二次実装補強の材料の展示や、直射日光にさらされるHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の遮熱フィルムなども展示している。

二次実装補強の展示、基板上のチップを隙間を埋めている
二次実装補強の材料や、遮熱フィルムの説明

 さらに、車載用ではないが、工場などで使う小型のレーザー測距センサー「HG-F1」を展示。従来は測距センサー2点からレーザーを出して測定したが、1点で測定可能とし約80%の小型化を実現したという。

距離を測るセンサーの展示。左端から右へレーザーを当てて、わずかな階段状で距離が変化するところを正確に測定している
下側に従来の2点計測のセンサーと新型が並んでいる。約80%と大幅な小型化が進んでいる