人とくるまのテクノロジー展 2023

コンチネンタル、「薄型LiDAR」や「電動化時代のブレーキ」「ディスプレイ」など最新ソリューションを一斉展示

2023年5月24日~26日 開催

入場無料(事前登録制)

コンチネンタルのスリムタイプLiDAR。ルーフなど車体上部に搭載しやすく薄型にした

 コンチネンタル・オートモーティブは、5月24日~26日に開催の「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA(会場:パシフィコ横浜)」において、センサー、セキュリティ、最新パーツなど同社のさまざまなテクノロジーを展示した。

 最近の製品として展示されたのは、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転に使うスリムタイプのLiDAR(ライダー)となる。ルーフなど車両の上部に装備することで、検知範囲を広げることができるもので、車両デザインに合わせるためにも薄型化したもの。

こちらは従来タイプ。バンパーなどに装着を想定したもの

 構成部品の組み換えなどで実現しており、技術的に目新しいものではないというが、デザイン面を犠牲にせず機能面でも充実したセンサーを備えたいという需要から薄型を揃えた。上部に装着するためには熱対策も必要になるが、空冷ファンを備えるなどのオプションが可能だという。

右が電動化車両を想定したブレーキ。減りがかなり遅いためパッドも薄い

 ブレーキ関連部品も展示。クルマを電動化した場合、回生ブレーキなどの多用で従来の摩擦ブレーキの利用頻度が大きく減り、パッドがほとんど減らなくなることが知られているが、コンチネンタルではブレーキの最適化を提案している。

ローターもソリッドディスクとなり、かわりに直径を大きくしている

 非常時の急ブレーキなどしか使わなくなれば、ブレーキローターをベンチレーテッド構造にする必要がなく、ブレーキパッドも減らないため最初から薄いものを装着する。ただし、ローター直径は少し大きくしている。この結果、Dセグメントの車両を想定したブレーキでは、1輪あたりブレーキキャリパーで2kg、ブレーキローターで3kg、計5Kgの軽量化を実現できる。

電動化に移行させるため、ブレーキマスターも油圧と電動のためのセンサーを兼ねたものになる
将来、フル電動ブレーキになると、油圧(ウェット)はなくなり、すべて電気信号で制御し、キャリパーも電動(ドライ)になるという説明

 また、ブレーキの電動化も進めている。現在はブレーキは油圧から一部電動化が開始されているが、今後は徐々に電動に置き換えていく。ブレーキが電動化すればコンピュータと連動した制御がしやすくなり、自動運転との相性もいい。ただし、信頼性や安全基準などのと関係もあり、完全に電動に置き換えるにはまだ時間が必要。ブースではリアブレーキから電動化し、将来すべて電動化する流れを説明していた。

運転席のディスプレイは1つのプロセッサでメーターからオーディオ、全方位モニターの合成までまかなう
クルマの四方に装着したカメラの映像を全方位モニターに映し出している

 運転席のディスプレイでは、プロセッサの高機能化により、ディスプレイオーディオなどとの統合が進むとしている。1つのECUでメーター表示、ディスプレイオーディオ、全方位カメラの合成表示までサポート。コンチネンタルでは標準的な機能を用意しており、短い開発期間で実装できるという。

 また、現在のようにクルマの制御がコンピュータ化されていくと、コンピュータの制御が乗っ取られれば、アクセルもブレーキもハンドル操作も悪意のもとで操作されてしまう。そこで、自動車サイバーセキュリティ対策として、2017年にコンチネンタル傘下に入ったARGUSが展示を行なっている。

セキュリティのARGUSの展示

 コンチネンタルでは、そのほかにもクルマに関わるさまざまな製品やソリューションを手掛けていて、今回もいろいろ展示されている。

前面投影システム
ヘッドライトにもなれば、道路に情報を照射することもできる
EV(電気自動車)のバッテリの安全のためのセンサーなど。チューブ状のものは張り巡らしたチューブに気圧変化などの状態変化から異常を感じ取る
インフラ協調による自動運転として、駐車場側のセンサー情報をもとに、クルマを自動的に駐車スペースに入れるシステムも手掛けている
レーダーセンサーなど
正田拓也