イベントレポート
【フランクフルトショー 2019】ルノーCEO、日産のリカバリーに対して協力できることはすべてやると変化を歓迎
2019年9月11日 15:40
- 2019年9月10日(現地時間) 開催
仏ルノーは、9月12日(現地時間)にメッセ・フランクフルトで開幕する「IAA 2019(Internationale Automobil-Ausstellung、通称フランクフルト・モーターショー)」に先だって9月10日(現地時間)から行なわれているプレスデーにおいて記者会見を開催。同社のコンパクトSUV「Captur(キャプチャー)」のプレゼンテーションを行なった。新型キャプチャーはすでに7月に報道発表されており、今回の記者会見はそのお披露目という形になる。
記者会見の後半では質疑応答が行なわれ、出席したルノー CEO ティエリー・ボロレ氏には、この会見の前日(9月9日)に日本で日産自動車 代表取締役社長 CEO 西川廣人氏の辞任と、山内康裕代表執行役がCEO代行に就任する発表(関連記事)が行なわれたことに関する質問が多数投げかけられた。
これに対し、ルノー CEO ティエリー・ボロレ氏は「アライアンスにとって最重要課題は日産がリカバリーすることで、ルノーとしてもそのための手助けは惜しまない。すべての変化や動きは信頼性の回復につながる」と述べた。
90か国で150万台を販売したキャプチャー。内外装も新しくなりカスタマイズ性を向上
今回ルノーが行なった記者会見では、新型となったコンパクトSUV キャプチャーにフォーカスが当てられ、その特徴などが説明された。新型キャプチャー自体はすでに7月に概要が明らかにされており、ルノーの会見で行なわれた発表もすでに公開されている内容の確認となった。
ボロレ氏は「キャプチャーはこれまでに90か国で150万台も売れている大ヒットのコンパクトSUVとなった。これまで競合他社も同じような製品を出そうとしてきたが、対抗できているメーカーはない」と述べ、キャプチャーが大成功を収めた商品で、新型キャプチャーはそうした初代キャプチャーの成功の延長線上にある製品だと強調。ボロレ氏は「キャプチャーはCMF-Bプラットフォームを利用して設計されており、PHEVを含む複数のパワーユニットを用意している。特にPHEVはルノーF1で培われた技術も活用しており、電気だけで最大65kmの航続距離を実現している」と述べ、新型キャプチャーのパワーユニットが多彩であると強調した。
続いて登壇したのはルノー コーポレートデザイン担当 上級副社長 ローレンス・ヴァン・デン・アッケル氏で、キャプチャーの特徴について解説した。
アッケル氏は「新しいキャプチャーは中も外もデザインを見直している。内装に関しては10V型のディスプレイを用意しており、まるでタブレットのように利用できる。また全席用にUSBソケットを合計で4つ用意しており、スマートフォンを充電するシステムも用意している」と述べ、内装も現代風にデジタル系の機能を充実させたと説明した。また、車体の全長を11cmほど長くしたため、荷室にも余裕ができ、536Lと十分な容量を確保した」と紹介している。
外装に関しては「カスタマイズが可能だ」(アッケル氏)とのことで、ボディ本体の色、プロテクターの色などにより、外装は19の組み合わせから選ぶことができるとした。内装に関しても同様で、18の組み合わせから選択可能だとアッケル氏は説明した。
日産のCEO交代劇について、変化を歓迎し、アライアンスとして協力できることは何でもするとコメント
キャプチャーの説明が行なわれた後には質疑応答が行なわれた。今回の記者会見は、日産が代表取締役社長 CEO 西川廣人氏の辞任と山内康裕代表執行役のCEO代行就任を発表した直後に行なわれたこともあり、その件に質問が集中した。
ルノー CEOのボロレ氏は「われわれのアライアンスにとっての最重要課題は日産が(通常の状態へ)リカバリーすることだ。将来を考えればそれが何よりも重要で、われわれもできる限りの協力を惜しまない。今朝、山内さんとビデオ会議を行ない、そこで話し合われたのはレベル4の自動運転をアライアンスとしてどうするかということだった。われわれは現実的にビジネスをどう進めていくのかを話あっている。アライアンスとしてプラットフォームをどうするのか、どのように技術を開発していくのか。とても有意義な会議だった」と述べ、日産と密接に協力していく姿勢を示した。
また、日産の次期CEOはどんな人材がいいと思うかという質問については「それは日産の取締役会が決めることだ。私がそれについてコメントをする立場にはない」と、コメントを控えた。
日産のリストラなどの速度がルノーが期待しているよりも遅いのではないかという質問に関しては「日産がリカバリーするためにアライアンスとしてできることは何でもやる。すべての変化や動きは信頼性の回復につながる。それはアライアンスにとってよいことだ」と述べ、ルノーが西川氏のCEO辞任を歓迎していることを示唆して、日産に対して今後も変化を促していくという姿勢を明確にした。