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日産、西川社長は違法性ないが辞任。カルロス・ゴーン氏らは不正認定
元会長らによる被害総額はおよそ350億円規模と推定
2019年9月9日 23:05
- 2019年9月9日 開催
日産自動車は9月9日に記者会見を行ない、同日に行なわれた取締役会において監査委員会から元会長 カルロス・ゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の結果として、不正行為を認定したとの報告を発表した。一方で同社代表取締役社長 CEO 西川廣人氏には違法性はないとしながらも9月16日付けでの辞任を要請し、西川社長は了承したという。
カルロス・ゴーン氏らの不正行為に関する社内調査結果
この調査結果は、2018年10月より外部法律事務所と連携して行なってきたものとのこと。ただし、社内調査の報告書については、個人情報をはじめ機密性の高い情報を含む社内資料であり、今後検討していく司法手続きへの影響を考慮して、概要のみを公表した。
社内調査を通じ、監査委員会が認定した不正行為は以下のとおり。
・カルロス・ゴーン氏の取締役報酬開示義務違反
・役員退職慰労金打切り支給としてカルロス・ゴーン氏に支給される可能性のある金額の不正操作
・グレッグ・ケリー氏の取締役報酬開示義務違反
・カルロス・ゴーン氏の会社資産の私的流用等
・販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為
これらの不正によって会社が被った被害総額はおよそ350億円規模と推定される。日産は、今後、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、損害賠償請求のための提訴を含めた必要な対応をとっていくとしている。
また、ゴーン氏、ケリー氏以外の役員のSAR行使による支払いに不正な点があった点に関しては、これらの役員らはいずれも、自己の報酬が不正な手法により増額されたことを認識しておらず、また、ケリー氏らに対してそのような指示ないし依頼をした事実もないことから、不正行為に関与したとみる余地はないとし、これらの役員らに対して責任追及をすることは予定していない。
ただし、不正の認識等が一切認められなかった者についても、不正な手法による増加額に関しては返納を求めるといい、報酬の増額を受けていた西川社長ほか元取締役1名から返納の意思を確認しているとした。
また、SARの行使日を恣意的に操作することで公私益を不正に増額することが可能だった点やガバナンス上の問題として重く認識しており、2020年には本制度を廃止するとした。