イベントレポート

ホンダ、次世代バッテリEV「Honda 0シリーズ」3車種は2027年に日本へ導入と三部敏宏社長が言及

陸、海、空、宇宙まで“未来にワクワクを感じられるモビリティ”をジャパンモビリティショーで一挙公開

2025年10月29日 開催
ジャパンモビリティショー2025でスピーチを行なった本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏

 本田技研工業は10月29日、ジャパンモビリティショー2025(一般公開日:10月31日~11月9日)のホンダブースにてプレスカンファレンスを実施し、取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏がスピーチを行なった。

 三部社長は自社が手掛けるハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE(ユニワン)」に載って登場。第48回目となる2025年のショーテーマ「ワクワクする未来を、探しにいこう!」に触れつつ、「ホンダブースでは、陸、海、空、そして宇宙領域にいたるまで、“未来にワクワクを感じてもらえるモビリティ”を多数用意しました」とあいさつ。

三部社長はハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」に載って登場

 まずは、ホンダが原点に立ち返りゼロベースで提案する次世代BEV(バッテリEV)「Honda 0(ゼロ)シリーズ」について三部社長は、「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」という独自の開発アプローチで、まったく新しい価値を生み出すシリーズになります」と説明。

 外観からは想像できないほどの広い室内空間を持つフラグシップモデル「Honda 0 サルーン」、シリーズ第1弾として発売予定の中型SUVモデル「Honda 0 SUV」、いずれも独自のビークルOS「ASIMO OS(アシモ オーエス)」を搭載し、使えば使うほどクルマ自体が進化して、一人ひとりに“超・個人最適化”された移動体験を提供すると紹介した。

Honda 0シリーズのフラグシップモデル「Honda 0サルーン」を紹介する三部社長

 加えて、Honda 0シリーズならではのスリークで洗練されたデザインと、SUVらしい力強さを表現した独創的なプロポーションの2つを併せ持つ新型モデル「Honda 0 α」にも言及。「Thin(薄い)の思想に基づいたパッケージ設計により、低全高なスタイルとロードクリアランスを両立させ、薄型のキャビンでありながら広々とした快適な室内空間を実現しました」と完成度の高さを強調。

 なお、日本では「Honda 0 サルーン」「Honda 0 SUV」「Honda 0 α」の3車種は、2027年度中に届けると明言した。

北米向けブランドAcura(アキュラ)のプロトタイプSUVを国内で初公開

 続けて、日本初披露となったAcuraブランドの次世代EV「Acura RSX Prototype」について三部社長は、「非常にカッコいいデザインなのですが、北米モデルなので、みなさんから“欲しい!”と言っていただければ、国内投入も考えたいと思っていますので、ぜひ感想をお聞かせください」と大きな反応に期待を寄せていた。

Acura RSX Prototype
Acura RSX Prototype
展示車両の装着タイヤはミシュランの「パイロットスポーツ4SUV」で、サイズは前後とも265/45R21

バイクにも電動化技術の投入を推進するホンダ

 次に、2030年以降のバイクの新しいあり方を提案するコンセプトモデルとなる「EV OUTLIER Concept(イーヴィー アウトライヤー コンセプト)」を紹介。前後両輪にインホイールモーターを採用することで、ダイナミックでロープロポーションなスタイルを実現したほか、電動化を通じて今までにない新しい価値を生み出すとした。

EV OUTLIER Concept
ステアリングバー上に横長ディスプレイメーターを配置
独特な形状のシートデザイン

ドライバーとクルマの一体感の追求も忘れていない

 さらに三部社長は、「ホンダならではの“操る喜び”は、時代やパワートレーンが変わっても、変わることはありません」と強調し、今回のモビショーでは、世界初公開となる小型EV「Super-ONE Prototype」と、9月5日に発売し、1か月で計画の約8倍となる2400台ちかくの受注があったという新型「プレリュード」について言及。

 新型プレリュードに関しては、「自分が社長に就任当初、今のホンダを象徴するような粋なクルマを作りたい!」と、強いこだわりを持って開発に踏み切ったという過去にも触れ、「実は今すでに愛車として、普段から乗っています」と満面の笑みで紹介した。

Super-ONEは、2026年より日本を皮切りに、アジア各国や英国など、小型EVのニーズの高い地域に展開すると三部社長がアナウンス
新型プレリュードは、発売直後なのと展示車に乗れることもあり終日大人気で近寄れなかった

 また、モビリティの「知能化」領域の中核を担う技術のひとつである次世代ADAS(先進安全装置)の開発強化については、ナビで目的地を設定すると、クルマがアクセルやハンドルなどの運転操作を主体的に行ない、まるでベテランドライバーの運転で目的地まで快適に移動できる機能で、すでに米国の公道でテスト走行を行なっており、開発は順調に進んでいると説明した。

次世代ADASは2027年ごろから、EVだけでなくハイブリッド車にも搭載する予定という

陸・海・空・宇宙領域にわたる幅広いモビリティに挑戦

実際にテストに使用したロケットを展示

 最後に、2025年6月に北海道で行なったロケットの離着陸実験に使用した実験機の機体を紹介。今回の実験では、自動運転や航空機開発で培った制御技術を生かすことで、離陸から着陸まで姿勢や速度を正確に制御し、計画通りの動きを実現できたと語った。

うっすらとした汚れなどが実際にテストに使用した状態を物語っていた

 そのほかにも、室内乗車体験が可能な小型ビジネスジェット機「Honda Jet エリート」や、ホンダマリンのフラグシップ船外機「BF350」を3連装着したコンセプトボート、ラストワンマイルを手軽に移動できる「マイクロモビリティ」なども展示されている。

小型ビジネスジェット機「Honda Jet エリート」
コンセプトボートは、最高出力350PSのBF350を3基搭載し、実質1050PSというハイパワー仕様。ただ現在でも、海外ではBF350を4基または5基搭載できるサイズのボートが実在するという
ラストワンマイルを手軽に移動できるマイクロモビリティ
マイクロモビリティの内装
展示車の装着タイヤはミシュランの「パイロットエグザルト PE2」でサイズは185/60R13

CR-V e:HEVの日本専用モデル「RS ブラックエディション」

 洗練されたスポーティさと上質さを兼ね備え、内外装に黒の加飾を施した日本専用の「CR-V e:HEV RS ブラックエディション」のプロトタイプも展示中。快適な室内空間と「アコード」のハイブリッドモデルにも搭載されている新開発の高出力モーターを採用したことで力強い走りを実現している。

CR-V e:HEVの日本専用モデル「RS BLACK EDITION」
展示車の装着タイヤはミシュラン「ラティチュード スポーツ3」でサイズは235/55R19
視界の広い水平基調のダッシュボード
ステアリング
センターコンソール
センターディスプレイ
前席
後席
広々としたラゲッジスペース
展示車はパノラマルーフを装備
リアには「ブラックエディション」と「RS」のロゴがあしらわれる
RSはフロントグリルにも配されている

ホンダブースでオリジナルホンダグッズを買える!

 ホンダブースの向かって右側には、キャッシュレス決済のみの「ホンダグッズ販売店」も用意されていて、オリジナルTシャツや、ダイキャストカー、子供用自転車、ステッカー、腕時計など、さまざまなホンダグッズを購入できる。

ホンダグッズ販売店も併設
さまざまなホンダグッズが売っている
タープチェアは参考出品。どちらかというとBtoB商品とのことで、イベント用に自社カラーにしたりロゴを入れたりした仕様を制作できるとしている。詳しくはスタッフに訪ねていただきたい
ホンダブースは東ホール
編集部:塩谷公邦